能登半島地震による「液状化の被害」深刻化 “歪むメカニズム”専門家が分析【スーパーJチャンネル】(2024年1月17日)

能登半島地震による「液状化の被害」深刻化 “歪むメカニズム”専門家が分析【スーパーJチャンネル】(2024年1月17日)

能登半島地震による「液状化の被害」深刻化 “歪むメカニズム”専門家が分析【スーパーJチャンネル】(2024年1月17日)

 能登半島地震による液状化の被害が深刻化しています。今後どのように解消していくのでしょうか。

■広範囲で液状化 地形的な特徴も?

 震災直後(3日)に現地調査にも入った東京農工大学の石川芳治名誉教授に水槽を使った実験を交えて解説してもらいます。

 金沢市に隣接する内灘町の様子を見てみると、住宅などが立ち並んでいますが、電柱やブロック塀などが大きく傾いています。また、道路も波打っていて車も傾いた状態で走行しています。

 現地調査にも入った石川さんは今回の能登半島地震で液状化の現状をどう見ていますでしょうか?

石川さん:一般的に震度5以上の揺れで液状化が起きると言われています。今回の地震では、震度5の揺れの範囲が広く、新潟県・富山県・石川県と広い範囲で液状化が起こっています。

 番組でも調べたところ、震度4の揺れだった富山県魚津市でも液状化が確認されました。なぜこれほど広範囲に液状化が起こってしまったのでしょうか。

石川さん:地形的な特徴で、日本海側は砂丘が非常に発達しています。あとは大きな川の下流部の低地が発達しているところで砂地が多いことと、低地なので地下水が多いです。そういったことが原因と考えています。

■液状化現象を実験で再現すると

 では「液状化」がどのようにして起こるのか、水槽を使って実験をしてみます。

 水槽の中に入っているのは水分を含んだ砂で、地盤となります。その上に重りを入れた赤いブロックと軽めの黄色い筒を置きます。そこに、石川さんが持っている機械で地震に見立てた揺れを水槽に与えます。

 機械を当てて水槽に振動を与えると、間もなくして広い範囲に泥水のようなものがしみ出てきて、水たまりの状態になっていきます。

 そして、重りが入っている赤いブロックが傾いてきました。だんだん地面にめり込むように沈んでいきます。黄色い筒も若干、上に浮き上がってきています。

 こういったことが液状化という現象になるのでしょうか?

石川さん:こちらの水槽の中には、ゆるく詰めた砂と十分な水が入っています。そこに振動を与えますと、砂粒が水の中でバラバラになって水に浮くような形になります。そうすると、水がしみ出してきて液体のようになってしまいます。

 自分の住んでいる場所が液状化になりやすいというのは、どのようにして分かるのでしょうか?

石川さん:液状化の原因としては、1つは緩い砂がたまった所、もともと水が多い所で起こりやすいです。そこに地震などで大きな揺れが作用すると液状化が起こるということです。ゆるい砂がたまって地下水が高い所は、基礎的な原因があることになります。

 ハザードマップなども作られているのでしょうか?

石川さん:そうですね。各市町村で作っています。各市町村のホームページなどで危険な地域を知ることができますの、ぜひ見ていただければと思います。

■復興への道筋、再び生活するためには?

 復興への道筋を聞きたいのですが、液状化による隆起は自然に戻るものなのでしょうか?

石川さん:液状化で変形した地盤は元には戻りません。ただ水は、ある程度時間が経てば引きます。
地盤自体は1週間ぐらいである程度落ち着いて、変形したまま残ります。

 液状化の被害が深刻な内灘町では、17日から建物の危険度調査が始まっています。そして多くの住宅に倒壊などの危険を示す赤い紙が貼られていました。

 では再び生活できるようにするためにはどうすればいいのでしょうか?

石川さん:建物の被害にもよると思いますが、被害の程度が少ない場合には基礎の土台のところにジャッキを入れて持ち上げて家を水平にしておいて、その下に新しくコンクリートなどで基礎を作り直す方法があります。
結局のところ地盤の方はそのままですので、また震度5以上といった揺れがくると再び液状化が起こる可能性が残っています。
建物の被害がひどい場合には、建物を取り壊して新築にする方法も考えられます。取り壊したところで、杭を打ったりして地盤を固める工事をすれば、次の地震に対しても安全になると思います。

 いずれにしても時間とコストがかかるかと思いますが、液状化の被害に遭った地域をどのように復旧するのか、今後、重要になっていきます。

(スーパーJチャンネル「newsのハテナ」2024年1月17日放送)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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