なぜ倒壊?輪島市7階建てビル根本から…“軟弱”地盤で杭に損傷か 木造家屋にも影響【報道ステーション】(2024年1月11日)

なぜ倒壊?輪島市7階建てビル根本から…“軟弱”地盤で杭に損傷か 木造家屋にも影響【報道ステーション】(2024年1月11日)

なぜ倒壊?輪島市7階建てビル根本から…“軟弱”地盤で杭に損傷か 木造家屋にも影響【報道ステーション】(2024年1月11日)

能登半島地震で完全に横倒しになった、輪島市河井町の7階建てビル。なぜこれほどの被害になってしまったのか。調査をした専門家への取材から、原因の一端が見えてきました。

■今も手付かず…横倒しのまま

宮本華記者
「発災から11日が経ち、輪島市内では比較的、この辺りも車通りが戻りつつありますが、倒壊した7階建のビルは、そのままになっています。下の歩道も盛り上がったまま、がれきも散乱したままとなっています」

7階建てのビルが根元から折れ曲がった光景は、一目で、ことの重大性を知らしめるに十分でした。押しつぶされた建物には2人が取り残され、高い危険を伴う救助活動も行われてきました。

■“軟弱”地盤 杭に損傷か。

なぜ、こんな大きなビルが倒れてしまったのか。輪島市に入って被害の調査を行った、東京大学地震研究所の楠浩一教授。まず注目したのは、折れ曲がったビルの根元に見える“穴”です。

東京大学地震研究所 楠浩一教授
「四角い箱のようなものが見えると思います。サイコロのような穴。その下に建物を支える杭が配置されているわけですが、杭がくっついていたところが、この円い穴として残っています。深さ10~15センチ程度。現地からは杭の先端部分は確認できませんでした」

楠教授が指摘しているのは、建物の基礎部分。本来ビルには、建物の底と地下の岩盤を接合する杭が打たれていたとみられるのですが、揺れの大きさによって抜けてしまったとみられています。

もう1つ注目したのは、下の階層が地面にめり込むようにして倒れていること。ビルには地下室があったとみられています。その下にも岩盤とつながる杭が打たれていたとみられますが、杭になんらかの損傷が起きて地下室が崩れ、それがビルの転倒を助長した可能性があると教授は分析しています。

重要なのは、地下の杭の損傷を引き起こした要因。調査結果から導き出されたのは、建物そのものの欠陥ではなく“地盤の弱さではないか”という見立てです。

東京大学地震研究所 楠浩一教授
「被害地域が、地盤が軟らかい地盤だった。建物を支えるために杭という基礎構造を採用している地域だった。鉄筋コンクリート構造という硬い建物、強い建物の被害をみると、ほとんどの建物が地面より上に被害が生じているというよりは、地面の下で何らかの被害が起き、傾いた被害が散見されました。これが一つ特徴的な被害だと認識しています」

■“軟弱”地盤 木造家屋にも影響

これは木造家屋も同じです。今回、1階部分が押しつぶされている住宅を至る所で目にするのですが、弱い地盤によって伝わる揺れが大きくなり、倒壊させた可能性が高いと教授はみています。

発生翌日の衛星画像をもとに、民間の測量会社が分析した建物の被害状況では、あくまで視認できる範囲にはなりますが、被害を受けた可能性のある建物が、輪島市の1部分、5キロ四方の範囲だけでも、少なくとも1220以上に及んでいることが判明したといいます。

一般的に、海の近くや川沿いは地盤が弱いとされています。

東京大学地震研究所 楠浩一教授
「今回の輪島市のように、河川が海に流れ出るあたり、そういったところに市街地が広がっていると、どうしても地盤が柔らかい状況になりますので、地盤被害に対しては地面より下の部分の配慮(対策)が、被害の明暗を分けたのではないかと」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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