なぜイスラエルは攻撃を続ける?【サンデーモーニング新春スペシャル】|TBS NEWS DIG

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なぜイスラエルは攻撃を続ける?【サンデーモーニング新春スペシャル】|TBS NEWS DIG

今イスラエルは、なぜここまで苛烈なガザ攻撃を続けるのか。その理由をユダヤ人の悲劇から紐解きます。

■ホロコースト生存者の思い

延々と続くコンクリートの壁。ドイツ南部、ミュンヘン近郊。この壁の向こうで多くのユダヤ人が殺されました。

ナチスドイツが建てたダッハウ強制収容所。

「こんにちは」
アバ・ナオールさん、95歳。ユダヤ人の大量虐殺、ホロコーストを生き延びました。

「いつ殺されるか分からなかった。ここに来ると人間がいかに残酷であるか思い出す」

政権を掌握したナチスドイツはヨーロッパ各地に収容所を建設。そこにユダヤ人たちを次々送り込み、強制労働やガス室での虐殺を繰り返します。ナオールさんは13歳の時に収容所に送られました。

「寒さや飢え。人間とは思えない暮らし。本当に孤独だった」

4年にも及ぶ収容所生活を耐え忍んだナオールさん。しかし、母と兄弟は別の収容所に連れて行かれ亡くなったといいます。

ここではかつての収容所施設が再現されています。狭い場所に大勢のユダヤ人が押し込まれました。

「厳しい強制労働、隣にいた人は朝起きたら死んでいたんだ。皆が飢えていた。犬小屋に犬が食べ残したエサがあってそれを私は食べたかった。私たちユダヤ人より犬の方が大切に扱われていたよ」

■ホロコーストの悲劇

ホロコーストによって命を失ったのはおよそ600万人。世界のユダヤ人の3分の1に達したといわれます。この未曾有の悲劇からおよそ80年。

「我々は勝利するまで戦いを続ける。誰にも止めらない」

かつて迫害を受けたユダヤ人が建国したイスラエルが今度は、パレスチナを過酷な占領下に置き続けているのです。そして、今回のガザ攻撃はなぜここまで苛烈を極めるのか。

その理由を、ホロコーストの生存者は…
「私たちがパレスチナを襲ったわけではありません。パレスチナ側からの攻撃で、イスラエル人が殺されることは受け入れられません。イスラエルは私たちの国なんです。自己防衛が必要なんです。イスラエルを消し去ろうとする悪者を潰すことが第一です」

語られたのは仲間が殺され、国を失うことへの恐怖心。その背景には、長い年月に渡り迫害され続けた、ユダヤ人の歴史が関係しています。

■ユダヤ人の歴史

遡ると、中東パレスチナの地にはユダヤ人の国がありました。しかしその後、ローマ帝国によって滅ぼされユダヤの人々は以後、「祖国なき民」となり、ヨーロッパ各地に移り住みました。

けれど、そんな彼らを待っていたのは宗教的な偏見や差別に基づく迫害。それが極限に達したのがホロコーストでした。その後、犠牲者となったユダヤ人への国際的な同情が高まり1948年。パレスチナの地にイスラエルを建国。

ようやくユダヤ人は祖国を手に入れたのですが。建国の翌日からエジプト、シリアなどアラブ諸国がイスラエルを攻撃しました。

しかし、イスラエルはアメリカなどの支援を受け、パレスチナ・アラブ諸国を圧倒。4度の戦争の末に、パレスチナ全域を占領したのです。

■背景にはガザ攻撃

そして今、ガザでの攻撃をやめないイスラエル。そこには迫害され、虐殺されたユダヤ人のトラウマがあるのでしょうか。

ミュンヘンでユダヤ人コミュニティの会長を務めるクノブロッホさん、91歳。彼女もまたナチスの迫害を受けた一人ですが今のイスラエルによる攻撃を正当化します。

「(ハマスの攻撃で)罪のないユダヤ人が犠牲になりました。これはナチス・ドイツと同じです。双方が話し合いをすることができれば一番良いのですがそれは不可能です。彼らのことは理解できません。イスラエルにとって自己防衛はとても重要なことなのです」

しかし、今回のガザ攻撃を巡って世界各地で抗議の声が。

■各地で広がる反ユダヤの活動

「パレスチナは自由になれる」

今回のガザ攻撃を巡って、世界各地で広がるイスラエルへの抗議の声。ニューヨークでは、それがユダヤ人やユダヤ教への反感にまでエスカレート。大規模な抗議デモがユダヤ教の礼拝所近くに向かいました。

アメリカ国内でのユダヤ人に対する嫌がらせや暴行などは前年の4倍以上に増加したといいます。

さらにパリでは…
市内各地でユダヤ人を象徴する「ダビデの星」の落書きが。かつてナチスドイツが、ユダヤ人の目印のために家や衣服などにつけさせたものです。

こうした中、ユダヤの人からこんな声が…

ユダヤ系アメリカ人
「(イスラエルは)すぐに攻撃を止めるべきです。ガザで行っていることは無茶苦茶なことです。彼らは憎しみによって自分たちが何をしているか見えていません」

それでもイスラエルの自己防衛の名の下、攻撃に晒され続けるパレスチナの人々。かつての悲劇が今また、新たな悲劇を生み出しているのです。

(「サンデーモーニング」2024年1月7日放送より)

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