“大動脈”寸断・空港も閉鎖 海上ルートで運搬も…隆起が影響 支援物資に遅れ【報道ステーション】(2024年1月5日)
被災地では、幹線道路などが徐々に開通し、物資が届き始めていますが、まだ十分な量が行き渡っていないところもあります。
七尾市・能登島の東部。50人あまりの住民が集会所に自主的に避難しています。調理場には食料がありますが、皆さんが自宅から持ち寄ったものだそうです。断水が続くなか、水が圧倒的に足りていません。
住民:「一番困るのはトイレ。水がやっぱり。トイレが一番、みんな困っている。『これは洗う水にしましょう』『これは飲めます』とか分けている」
物資は島の中部にあるコミュニティセンターに集められていて、住民が、1日1回、軽トラックで取りに行くしかないそうです。
住民:「道がいつ砕けるか。ひび割れがすごい。役所から『ここは危険ですよ』と言われても、そこを通らないといけないので、ひび割れた危険地帯はよけて行く」
能登半島北部の輪島市では、事態はさらに深刻です。
土砂が崩れた現場で、住民が手渡しで、物資を孤立した集落へ運んでいます。3つの避難所が孤立状態となっていて、合わせて約500人が取り残されているそうです。
平らな土地が少ない能登半島。各地で発生した土砂崩れが、物資の輸送を阻んでいます。
能登半島をぐるりと回る国道249号。“能登の大動脈”と呼ばれるこの道路があちこちで寸断され、北部へアクセスできる道は限られています。さらに、物資輸送の拠点となるはずの能登空港も、地震の影響を免れていません。滑走路には亀裂が。滑走路は24日まで閉鎖され、ヘリ以外は使えない状態です。
被災地へ物資を送る拠点は金沢市にあります。倉庫のような施設に物資が所狭しと積まれています。
実際、陸路での輸送はどのような状況なのか。
穴水町に向かうトラックに同行しました。悪路と渋滞の末、ようやくたどり着きました。通常は、1時間半で着く場所ですが、4時間ほどかかりました。
穴水町では、停電や断水が続いています。
穴水町観光交流課・牛谷政樹さん:「本当に、いま水が足りなかったので、それをたくさんいただいて、すごく助かっています」
陸路での輸送に限界があるため、海上ルートが頼りとなります。
5日、海上自衛隊の輸送艦に積み込まれた大型トラック6台、中型車両12台分の物資。向かう先は、輪島市の沖。その先の輸送も一筋縄にはいきません。今回の地震によって海岸の広い範囲で隆起が確認されています。輸送艦が接岸できる状態ではありません。沖から物資を運ぶのは、ヘリやホバークラフトに頼るしかないのが現状です。
■被災地では、今も水や電気などのライフラインが復旧していない地域が多くあります。
断水の状況です。
厚生労働省の災害対策本部によりますと、5日午後4時15分の時点で、3県で8万軒近くが断水しています。石川県七尾市や輪島市など、14の市や町で、約6万8212軒。富山県氷見市・小矢部市で合わせて8940軒。新潟県新潟市・佐渡市で、合わせて367軒となっています。
続いて停電情報です。
北陸電力によりますと、5日午後8時の時点で石川県輪島市で約1万軒、珠洲市で約7400軒が停電。そのほか、能登町・穴水町・七尾市でも停電が続いています。ほかの電力会社の応援も含め、900人態勢で復旧作業を進めていますが、道路が寸断されていて、立ち入りが困難な地域があるため、復旧の見通しは立っていないとのことです。
避難所の情報です。
石川県では、穴水町や輪島市など、15の市と町で、合わせて372カ所の避難所が開設されていて、5日午後3時の時点で3万2616人が避難しています。
支援物資の状況について、県の担当者に聞きました。
現在、県全体の拠点となっている金沢市には、水・食料・毛布などの支援物資が集まってきているといいます。ただ、今、足りないものもあって、たとえばブルーシート。雨や雪・寒気への備えで、家を補強したい人が多く、足りていないということです。
集まった支援物資は、それぞれの被災自治体の拠点まで順次、届けています。ただ、その先の被害が大きかったエリアには、物資が届いていない可能性もあるそうで、その理由として、輸送手段やマンパワーの不足、そして、道路状況が悪く、輸送ルートが確保できていないなどが考えられるとのことです。
石川県では、支援物資の輸送に影響が出る恐れがあるとして、能登半島への不要不急の移動は控えてほしいとしています。また、混乱を避けるため、個人からの支援物資は、現在、受け付けていません。企業や団体からの物資は、まず県の担当窓口(厚生政策課)に連絡してほしいとしています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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