鎌倉で「タイワンリス」急増、横浜の市街地などにも…なぜ今年増加?【Nスタ解説】|TBS NEWS DIG
見た目はかわいらしいリスですが…鎌倉市では住民の被害が急増し、異常な捕獲数である事が分かりました。なぜ今年、“迷惑リス”が増えているのでしょうか?
■タイワンリスもクマ同様、山のエサ不足で市街地に出現か
山内あゆキャスター:
神奈川県の鎌倉などで大繁殖しているのが「タイワンリス」です。
尻尾まで含めた全長で約40センチ。日本原産の「ニホンリス」と比べると、一回り以上大きいということになるでしょうか。特定外来生物に指定されています。
耳の形とか、結構違いますよね。タイワンリスは丸っこいんですけれども、ニホンリスはピッとしています。
増えている数の推移をみていきましょう。鎌倉市だけで捕獲された数は、最もこれまで多かったのが2018年の1571匹。少し減った年もあったんですけれども、今年2023年は、ここまでで1553匹。年度で数えているので、最高を超えることはほぼ確実となっています。
一体、なぜこんなに増えてしまったのか?増えた背景には、タイワンリスの特徴がありました。
まずは、どんな被害が報告されているかです。▼タイワンリスは雑食なんですけれども、どちらかというと植物性のものが好きということで、大根などの作物を食い荒らすことがあります。
また、▼住宅への侵入。かじって穴を空けて、巣にして繁殖してしまったことがあるそうです。
外来種のタイワンリスが、なぜそもそも日本にやってきたのでしょうか?1930年代に、主にペットとして輸入されました。飼育されていたものが捨てられたり、閉園した動物園などから逃げ出したりすることによって繁殖、定着してしまったということです。
では、なぜ鎌倉で2023年に限って多くなっているのか?これはクマのニュースでも同じなのですが、鎌倉市環境保全課の担当者によると、猛暑で山の中のエサが減ってしまったそうで、市街地にも現れるようになりました。
クマのニュースのときに、どんぐりが不作で街のほうに来てしまうというのがありましたが、タイワンリスも、猛暑で山のエサが少ないので市街地に来てしまっているというのが現状だそうです。
また、その“驚くべき適応力”も増えてしまう要因です。まず、▼環境に適応します。▼食べ物は、何でも食べてみて適応します。▼行動力は大変あり、運動神経もいいです。
さらには、▼人間を怖がらない。▼天敵が少ない。▼繁殖力が強い。このような点があって増えてしまっています。
森林総合研究所の田村さんによると、現在は横浜の市街地など、鎌倉を超えて生息エリアを拡大しているそうです。では現状、鎌倉市はどのような対策を取っているのでしょうか?
外来生物に指定されているので、駆除することができます。リスの通り道に「箱罠」というワナを仕掛け、捕らえて駆除しているということです。
鎌倉市では、ワナ200台を市民に無料で貸し出ししています。例年よりも被害が大きく、対策費は通年の700万円プラスでかかり、これから予算が通るということです。
私たちに一体、どんなことができるのか?鎌倉市からは、こんなお願いがありました。「年末年始など観光で鎌倉を訪れた際は、タイワンリスを見つけて可愛いと思っても、絶対にエサはあげないでください」ということです。
井上貴博キャスター:
どの動物もそうですが、外来種が急増してしまうと、なかなか対応が追いつかなくなります。可能性としてですが、リスは感染症も媒介しますし、そういうリスクもあるわけですね。
産婦人科医 宋美玄さん:
噛まれたりしたら、またそこから病原体が入ったりもするでしょうし。
でもこれ、びっくりなんですけど、飼育されて最初に逃げ出してから100年ぐらい経っているんですね。そりゃあ100年も経てば住み着いてしまいますよね。
山内キャスター:
しかも栄養状態がいいと、通常は年に1回しか出産をしないのですが、年に3回出産することもあるんですって。すごい能力を持っているんですよね。
■外来種のリス問題はイギリスでも…年間被害額は約67億円!
山内キャスター:
同じような外来種のリスに苦しんでいるのが、実はイギリスです。こちらも大型で、約270万匹が生息しているという「トウブハイイロリス」が増えているので、在来種のリスがどんどん減ってきてしまっています。生態系にも影響が出ているということです。
イギリスのガーディアン紙によりますと、年間の被害額は約67億円(3700万ポンド)。▼電気配線の絶縁体を剥がしてしまったり、▼断熱材を引き裂いてしまったり、あとタイワンリスもそうなのですが、▼耳に障るようなキャーキャーという鳴き声を出します。このような騒音による睡眠障害なども問題になっています。
トウブハイイロリスは、世界の侵略的外来種ワースト100の中にも入ってしまっています。もともと動物自体には問題はないんですけれども、その増え方、生息地域によっては、人間と一緒に暮らしていくのがなかなか難しいという現状です。
井上キャスター:
もう今は国境はありませんし、住みやすい環境を求めて動物が移動してくるのが当たり前です。山…(https://newsdig.tbs.co.jp/list/article?id=jnn-20231208-6126299)
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