“さよならパンダ”返還相次ぐ 英国は0頭・米国4頭に 中国・相手国の多角化も【もっと知りたい!】(2023年12月1日)

“さよならパンダ”返還相次ぐ 英国は0頭・米国4頭に 中国・相手国の多角化も【もっと知りたい!】(2023年12月1日)

“さよならパンダ”返還相次ぐ 英国は0頭・米国4頭に 中国・相手国の多角化も【もっと知りたい!】(2023年12月1日)

 人気者のパンダに異変が起きています。イギリスでは2頭が近く中国に返還されることになり、国内からパンダがいなくなります。さらに、アメリカでも返還が相次ぎ、来年にもパンダがいなくなる可能性があります。

■中国の外交大使として…18カ国に60頭以上

 1972年、日中国交正常化を記念して、上野動物園にやってきたパンダ。公開初日には一目見ようと訪れた人が長い列を作り、今でいう「DJポリス」が誘導を行っていました。

 以来、日本では赤ちゃんが生まれると、その度に“パンダフィーバー”が起きました。上野動物園周辺では、先月30日も様々なパンダグッズが並んでいました。

 上野動物園近くの日本茶専門店では、ずらっと商品が並ぶ中で、なんとパンダのぬいぐるみが置かれています。そして、パンダ関連の商品も販売されています。

 10代:「見た目が愛らしくて、かわいいなと思います」

 5歳:「(Q.どうだった、上野動物園?)楽しかった」「(Q.一番好きな動物は?)パンダ」

 また、仙台市は東日本大震災からの復興のシンボルとして、2011年からパンダを誘致する活動を進めています。

 日本だけでなく、世界中からラブコールを受ける中国のパンダ。現在、中国の外交大使として、18カ国に60頭以上います。

 しかし、今この状況に異変が起きているのです。

■中国に返還後…英国国内のパンダがゼロに

 寝そべりながら、一心不乱に笹の葉を食べるパンダ。ここは、イギリス北部・スコットランドにあるエジンバラ動物園です。

 この動物園には、オスとメスの2頭のパンダがいますが、ホームページ上には「エジンバラ動物園でパンダに会える最後のチャンス」と掲載されていました。

 今からおよそ6時間前に一般公開は終了。今後、中国に返還され、イギリス国内からパンダがいなくなることになります。パンダはあくまで中国から貸し出されたもので、今回の返還も契約期間の終了を理由に挙げています。

■米国には現在4頭のみ 来年レンタル契約終了

 同様の動きはアメリカでもありました。

 「戻ってきてくれることを願っています」「寂しくなります。ハグしてあげたいです」と、人々が別れを惜しんでいるのは、ワシントンにあるスミソニアン動物園で飼育されていたパンダです。

 この動物園には3頭のパンダがいましたが、先月8日に中国に返還されました。

 アメリカには元々、ワシントン、メンフィス、サンディエゴ、アトランタの4カ所にパンダがいました。しかし、ここ5年で立て続けに7頭のパンダが返還され、残すはアトランタにいる4頭のみ。その4頭も、来年にはレンタル契約の終了が迫っています。

 これまで契約期限を迎えても延長されることが多かったパンダ。なぜ返還が相次いでいるのでしょうか?

■高額なレンタル料・エサの高騰…経営を圧迫

 専門家は次のように話します。

 東京女子大学 家永真幸教授:「コロナの影響で、ランニングコストの問題で、維持できなくなっている所はポツポツと出てきている」「(Q.パンダのレンタル料は?)ケース・バイ・ケースのようですが、相場としてはペアで1年間借りると100万ドル(約1億5000万円)程度」

 高額なレンタル料に加え、大量に食べる餌(えさ)が高騰しているため、新型コロナで厳しくなった動物園の経営を圧迫しているというのです。

 一方で、別の見方もあります。

 アメリカのニューヨーク・タイムズは、ここ数年間で米中の緊張が高まり、両国の関係が悪化しているため、中国がパンダの返還を求めているのではないかという臆測があると伝えています。

■新たな動きも「パンダ送る相手国の多角化」

 そんななか、先月アメリカを訪れた習近平国家主席は、返還されたパンダの一部を再びアメリカに戻す可能性を示唆しました。

 中国はアメリカとの「パンダ外交」をどう進めるつもりなのでしょうか?

 家永教授:「パンダがやってくれば、中国に対するイメージが和らぐという効果を期待していると思いますし。アメリカにパンダがいることの意義っていうのは見いだしているのは間違いない。いよいよ(アメリカで)ゼロになりそうになったから、そこまでする必要はないということで、トップが出てきて、新しいパンダを提供すると言い出したのかなと推測している」

 また、中国はパンダ外交で新たな動きも見せているといいます。

 家永教授:「全体としてはパンダを送る相手国の多角化というのが起こっていて、最近だとW杯の時にカタールに送られたりしているので。今後、おそらく今までパンダを受け取ってこなかった国に、中国が送り出すということはいくつか事例が出てくると思います」

(「グッド!モーニング」2023年12月1日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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