琵琶湖「マイナス62cm」各所で異変 名物・ビワマスにも影響?(2023年11月22日)

琵琶湖「マイナス62cm」各所で異変 名物・ビワマスにも影響?(2023年11月22日)

琵琶湖「マイナス62cm」各所で異変 名物・ビワマスにも影響?(2023年11月22日)

 季節外れの暖かさとなった22日。観光地の箱根では紅葉が見頃を迎えています。一方、およそ1500万人の生命線である「水がめ」琵琶湖では深刻な渇水となっています。現地を緊急取材しました。

■紅葉が彩る箱根“秋の絶景”

 列車は赤く染まり始めた山間を走ります。

 神戸から来た人:「箱根って言ったら有名でしょ。紅葉が有名だからそれ見に」     

 列車を降りると、鮮やかな紅葉が待っていました。神奈川県箱根。ピークを迎えた紅葉と雲一つない青空。彫刻の森美術館では“芸術の秋”と紅葉を楽しむ人でにぎわいます。

 東京から来た人:「思ったよりシーズンで人も多くてとても素敵」

 箱根ならでは。温泉も楽しめます。

 アメリカから来た人:「足湯はとても変わっていて最高です。ここ最近でも最高の体験ですね」

 各地で20℃近くの小春日和となった22日。11月下旬とは思えない暖かさとなりました。ただ、穏やかな天気が悩ましい場所もあります。

■水位「マイナス62センチ」に低下

 近畿の水がめ、およそ1500万人の暮らしを支える琵琶湖です。晴れた22日も渇水が解消されることはなく、基準の水位からマイナス62センチと徐々に下がっています。

 琵琶湖に注ぐ真野川の河口。この川も中洲が見え、すっかり流れが止まったように見えます。漁港も少しずつ水位が下がっている様子が見てとれます。

 滋賀県民(80代):「琵琶湖の水位だいぶ低い。水が減ってきたら滋賀はもちろん京都や大阪がひどくなる」

 大津市の降水量、今年は特に7月が平年の37%。9月の降水量も58%という少なさで渇水となる状況もうなずけます。

 滋賀県民:「夏場は全然雨が降らず、ずっと暑かった」

■“水がめ”琵琶湖で渇水危機

 マイナス62センチの異変を肌で感じている人がいました。この道20年、琵琶湖の「釣りガイド」大仲正光さんです。

 ビワマスプロガイド協会 大仲正光理事:「ここからは近寄れないけど、土が見えている所は普段は水の中」「(Q.どの辺りまで見えない?)薄茶色の部分は見えなくて岸に生えているアシ、根っこまで(普段は)水がある」

 水位の低さは船にとっての脅威となります。

 ビワマスプロガイド協会 大仲正光理事:「浅いでしょ、この辺も。我々が船を出す時は元々、琵琶湖が浅いので(船を)出す時に座礁する危険をはらんでいるので一番怖い」

 琵琶湖の名所でも…。

 ビワマスプロガイド協会 大仲正光理事:「右側に見えるのが堅田の『浮御堂』という観光スポット。ギリギリ水の中につかっていますけど、渇水がこれ以上進むと陸地になってしまう。下の柱が立っている所」

 8年前にはまるで湖に浮かんでいるようですが、22日は水面から離れた印象です。柱の根本の部分、印を入れてみるとその長さが伸びたのがはっきり分かります。さらに進むと、湖の中に「白鬚神社」の鳥居が…。

■ビワマス 蘇る“94年の記憶”

 異変は水の下でも…。

 ビワマスプロガイド協会 大仲正光理事:「これは全部ビワマス。この弓なりになっているのが、魚が映っている。今は禁漁期間中で釣ったら駄目なので彼ら(ビワマス)も安心している」

 サケ科の琵琶湖固有種「ビワマス」。例年なら今の時期、雨で増水した川を上り産卵するのですが…。

 ビワマスプロガイド協会 大仲正光理事:「川の水が減るとちょっとしたせきが水が少なくて上れない。そういう影響が出てくる」

 今後、個体数が減る心配があるそうです。

 脂が乗ったビワマスのお刺身にビワマスの筋子を乗せて、名物「ビワマスの親子丼」です。ビワマス料理が売りの店では、数年前から異変を感じていました。

 喜烙亭 藤原省次オーナー:「ビワマスをメインでやっているので本数がだんだん少なくなってきた。ビワマスがなくなるとどうしようかと」

 記憶に蘇るのは過去の渇水です。観測史上最低水位のマイナス1.23メートルを記録した1994年には40日以上の「取水制限」が実施されました。当時の映像を見ると湖底が剥き出しになり、岩が露出しています。浮御堂も干上がっているようにみえます。

 喜烙亭 藤原省次オーナー:「(1994年は)魚が取れないし琵琶湖に近付くと臭い。(これ以上進むと)魚もそうだが滋賀県だけじゃなくて京都・大阪も大変なことになるので心配」

 その時に近付いているのでしょうか。大津市では水中にあった坂本城の石垣が姿を現す事態に。坂本城は湖岸に本丸を置き、織田信長の命を受けた明智光秀が築きました。沈んだ幻の城が浮かび上がる自体。知事も危機感を示しています。

 滋賀県 三日月大造知事:「(関西広域連合で)例えばマイナス90センチになれば取水制限もお願いしなければならなくなりますと。水を大切に使うことを意識して下さいと申し上げました」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

ANNnewsCHカテゴリの最新記事