【独自】現役幹部語る「自浄作用は難しい」エホバの証人弁護団が実態調査(2023年11月20日)

【独自】現役幹部語る「自浄作用は難しい」エホバの証人弁護団が実態調査(2023年11月20日)

【独自】現役幹部語る「自浄作用は難しい」エホバの証人弁護団が実態調査(2023年11月20日)

『エホバの証人』の元2世信者らを支援する弁護団は20日、こども家庭庁に、エホバの証人の実態調査の報告書を提出しました。教団の“教義”による行為は、厚生労働省が昨年末に定めたガイドラインに違反し、“宗教虐待にあたるおそれがある”としています。
エホバの証人問題支援弁護団・田畑淳弁護士:「継続性、組織性いずれの問題についても、これは過去の問題ではなく、現在、なお続いてる問題であると言えます」

エホバの証人は、キリスト教系の宗教団体で、日本の信者は約22万人に上ります。
弁護団の調査には、現役信者や元2世信者ら581人が回答。医療機関などに示す『輸血拒否カード』を持っていたと答えた人は、8割以上に上りました。教義に従わなかったなどで、鞭打ちをされたことが「ある」と答えた人も、9割以上に上りました。
エホバの証人調査報告書:「母親が笑顔でガスホースを持って『これを薦められたの』と見せてきた光景を今でも覚えている。子どもながらに衝撃的な光景だったと思う」

信者が、“輸血拒否”“鞭打ち”などの行動に移る背景に浮かんできたのが『忌避』と呼ばれる行為です。教義に背いた人間はいわゆる“破門”扱いとなり、関係を断たれるそうです。それは、家族であっても同じです。
エホバの証人元幹部:「私が何とかして、家族と一言でも言葉を交わそうと、実家を訪ねたんですけれども、実の父からは『不審で危険な人物が来ている』と警察に通報されたことがありました」

『忌避』を受けた経験があると答えたのは、洗礼を受けた人のうち、9割以上。18歳未満も数十人に上りました。
エホバの証人問題支援弁護団・田中広太郎弁護士:「児童虐待は極めて複合的・重層的にできている。ほかにも『伝道の強制』『学校行事の制限』とか、場合によっては『高等教育の否定』。どれだけ魂をむしばむものなのか、心理的な圧迫を受けるものなのか。何とか社会の力で変えていただきたいと思っている」

エホバの証人の厳格な信者の家庭に生まれたナオトさん(20・仮名)。小学4年生のとき、心臓に心房中隔欠損症という疾患が見つかりました。
親が現役信者・ナオトさん:「心臓の手術になるので、輸血をする必要性が伴う」

治療には、親の同意書が必要ですが、両親は「輸血の同意書だけはサインできない」と拒み続けました。教団幹部も病院の説明に同行していたそうです。
親が現役信者・ナオトさん:「僕自身、信仰心がなくて、輸血をしてでも治療をしたいと望んでいたので、(病院から)帰宅後に両親たちから信仰心が足りない。注意という形で鞭を受けるようになりました」

ナオトさんは、おととし、自らの意思で手術を受けました。
親が現役信者・ナオトさん:「宗教さえなければ、普通の家庭で、何の問題もなく、穏やかに生活をできたのでは。未成年への信仰の強制、これだけは絶対になくなって欲しい」

教団の幹部しか見ることのできない内部文書。信者の妊婦に向けた『S-401』という文書を、今年8月に改訂していました。冒頭には「自分で考えて決定してください」とあるものの、赤ちゃんが早産だった場合の記載が、こう追加されたのです。
教団の内部文書『S-401』:「医師に、赤ちゃんが輸血以外のあらゆる方法を駆使して治療を受けられるようにお願いしてください」

教団側は、この改定について「適切な治療を受けられるよう備えておくことを母親に薦めています。エホバの証人は命を大切にしており、自分や子どもたちが最善の医療を受けることを願っています」などと回答しています。

“長老”と呼ばれる教団の現役幹部が取材に応じました。教団の姿勢に疑問を持っているといいます。
エホバの証人の現役幹部:「基本的にこれまでの教団の教え、教義をそのまま大きな改善などなく、これまでの教えを踏襲している形で、表立った変革というものは起きていない。エホバの証人に関するネガティブな報道は、耳を傾けてはいけないと教えられています」

教団内に“組織的な指導がある”という指摘については、こう話します。
エホバの証人の現役幹部:「(弁護団が)記者会見で述べた事柄もすべて嘘偽りは当然ないですし、過度に誇張された内容でもなく、特に私たちの世代にとっては、皆が同じような経験をして育ってきている。教団が自浄作用を働かせるのは、現時点では難しいのかなと」

幹部らから鞭打ちなどの指導があったとの訴えについて、改めて、教団側に確認しましたが、「エホバの証人はいかなる形の児童虐待も容認していません」と回答しました。

※『エホバの証人』の問題について取材を続けてきた社会部の松本拓也記者に聞きます。

(Q.今回、弁護団がまとめた児童虐待などに関する調査報告書の意義、目的は何なのでしょうか)
これまで信者が個別に取材に応じたり、証言をすることはあまりましたが、今回の調査報告書で、相当数の信者らが虐待を受けたということが確認されました。虐待が、数十年と極めて長期にわたっていること、日本全国で同じような行為が認められていることから、弁護団は、教団の組織的な関与があると主張しています。

(Q.取材してきた松本さんが気になるポイントは)
旧統一教会の問題を受けて、いわゆる宗教2世が受けてきた虐待とされる行為が、問題視されてきています。エホバの証人をめぐっては、3月に国が輸血拒否などをしないよう教団側に要請。5月に、この要請に対して、教団は「喜んで協力したい」と公表していましたが、8月になって、幹部向けの内部文書を改訂しています。信者の妊婦に対して「新生児に対し、輸血以外のあらゆる方法を駆使してほしい」というものです。教団の中では、輸血を受け入れると破門など、処分される恐れもあり、弁護団は、信者は受け入れざるを得ないと主張しています。国に対しては協力していく姿勢を示しながらも、現在も子どもへの輸血拒否など、児童虐待行為は続いていると、弁護団はみています。

(Q.今回、報告書をまとめてこども家庭庁に虐待通告したことで、国が動くことにつながるのでしょうか)
現在の児童虐待防止法では、虐待をした保護者のみに罰則が規定されています。実際に子どもに虐待を行っているのは保護者だけど、それを“指示”しているのは、例えば、大きな宗教団体。第三者にも罰則が及ぶように法律を改正していかないと、この“宗教虐待”という問題は、根本的に解決しないと取材を通して感じました。今回の調査を受けて、国がきちんと実態を調査したうえで、法改正につながるような動きをしていかないと、今回、回答した580人以上の声が無駄になってしまうのではないかと感じています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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