外国人店主の人気店「ラーメン」「もつ鍋」求め連日客 知られざる“おいしさの秘訣”【Jの追跡】(2023年11月18日)

外国人店主の人気店「ラーメン」「もつ鍋」求め連日客 知られざる“おいしさの秘訣”【Jの追跡】(2023年11月18日)

外国人店主の人気店「ラーメン」「もつ鍋」求め連日客 知られざる“おいしさの秘訣”【Jの追跡】(2023年11月18日)

 西東京市にあるラーメン屋「一八亭」。この店の店主は、イタリア人のジャンニさん。王道のしょうゆラーメンだけでなく、他では味わえないイタリア×ラーメンの絶品メニューもあります。

 さらに埼玉ふじみ野市には「ラビちゃん」の愛称で親しまれるスリランカ人店主のラビンダさんの店があります。「ラビちゃん」と絶品のもつ鍋を求め、連日大盛況の人気店です。

 一体なぜ、外国人店主たちが日本で“ニッポンの味”で勝負するのかを追跡ました。

■ここにしかない味を求め…お客さんが絶えない人気店に

 東京・西東京市にある創業して38年の「一八亭」。

 この店で腕を振るうのは、イタリア人のジャンニさん(57)です。

 来店客:「イタリア人って陽気なイメージ。寡黙に働かれている感じです」

 黙々と作業するその佇まいは、日本の“頑固なラーメン職人”さながらです。

 来店客:「おいしいです」「超おいしい」

 看板メニューは、東京らーめんの王道「しょうゆラーメン」です。

 ジャンニさん:「このタレは、ずっと最初から全然変わらない。39年間」

 秘伝のしょうゆダレに合わせるのは、鶏ガラとげんこつ、野菜を煮込んだスープ。でも、イタリア人のジャンニさんならではのこだわりは懐かしさだけでなく、新しさにもあるのです。

 ジャンニさん:「ローマのまぜそばですね」

 ジャンニさんの出身地の名を冠した、まるでパスタのような「ローマのまぜそば」です。

 麺には、主にパスタに使われる小麦粉・デュラムセモリナを使用。イタリア産の生ハムに羊のミルクで作ったたっぷりのペコリーノロマーノチーズと卵黄をまぜて頂く、塩ダレベースのまぜそばです。

 来店客:「週1くらいだよね」「飽きないですね」「いろんなの食べられるから」

 店のウリは、ラーメンにイタリアンテイストをミックスした絶品メニューの数々です。トッピングに野菜のトマト煮と自家製リコッタチーズ。濃厚味噌とトマトの酸味がたまらない「味噌ポナータ」。

 来店客:「うまっ」「めっちゃおいしい」「うまいわ」

 “ラーメンのベストパートナー”もイタリアン。とろーりチーズが飛び出す「モッツァレラ水餃子」。ここにしかない味を求め、お客さんが絶えない人気店です。

 しかし、ラーメンの存在すら知らなかったジャンニさんが、なぜ日本でラーメン屋さんを?

■妻の“思いやり”から生まれた…ラーメン×イタリアンの融合

 ジャンニさん:「この店は、元々妻のお父さんがオープンした」

 実は、キッカケは二人三脚で店を切り盛りしている妻の知枝さん(54)です。

 知枝さん:「タイに留学していて、その時に知り合った」

 出会いはおよそ20年前、留学していた知枝さんに、たまたま観光で訪れていたジャンニさんが一目惚れ。知枝さんが日本に帰国すると、なんとジャンニさんは、1カ月後に追いかけるように日本にやってきたのです。

 知枝さん:「面食らいました」

 ジャンニさんの熱意が実り、その翌年に2人はゴールイン。そして、知枝さんが、父から託された「一八亭」の仕事をジャンニさんも手伝うことになりました。

 ジャンニさん:「(Q.先生は?)奥さん。でも、スゴくうるさい。今もうるさい」

 知枝さん:「真面目な人だから、仕事はする。日本に住んでるイタリア人で、一番働いていると思う」

 恋愛同様に、仕事ぶりも一途。知枝さんの元で、腕をみがいていったジャンニさんですが、外国人がラーメンを作ることに抵抗を覚える客も少なくなかったといいます。

 ジャンニさん:「(ドアを)開けて、私を見て逃げちゃった。(その時は)ストレスばっかり」

 そんな日々に、苦しむジャンニさんを見て、知枝さんがひらめいたのです。

 知枝さん:「メニューをイタリアっぽくすれば、イタリア人(の店)という感じで、安心感があるかな」

 そう、ラーメンとイタリアンの融合は、知枝さんのジャンニさんへの思いやりから生まれたのです。

 この、ちょっと変わった形の餃子も、そのひとつです。中には、イタリアンソーセージとモッツァレラチーズ、オリーブオイルと塩でいただくオシャレな餃子です。

 仲睦まじい2人は、仕事中も“オシドリ夫婦”かと思いきや…実は、まさかの“すれちがい生活”。朝9時の仕込みから夜8時まではジャンニさん、その後、翌朝4時までの営業は知枝さんと、それぞれひとりで店を回しているのです。

 ジャンニさん:「ちょっと寂しい…でも慣れた。ずっとだから」

 ちょっと寂しくても、常連客のために、できるだけ長く店を開けておきたいからだといいます。

 常連客:「ジャンニがいると、うれしい。暇な時間とか、一生懸命仕込みしてるし、いつも」「超真面目」

 一緒に過ごせるのは、週に1度の定休日だけ。でも、ついつい仕事の話になっちゃうこともあるそうです。

 知枝さん:「『休憩2時間取る』と言っていたのに、『やることないから開けちゃった』みたいな。真面目なのは分かるんだけど、そういうのは困るよね」

 ジャンニさん:「一番うれしいのは、お客さんからの『すごくおいしかった』『うまかった』。それが一番。やっぱり面白い。この仕事好き。いつも楽しいよ」

 これからも、仲良し夫婦で頑張ってくださいね!

■“中毒性”ある鍋「絶品鍋」

 続いては、これからの時期に食べたい絶品料理が自慢のお店です。

 常連客:「2時間かけて、ここのもつ鍋を食べにくる」

 2時間かけて通うファンがいるほどのもつ鍋を提供するのは、埼玉県ふじみの市にある和食ダイニング「絆」。客から愛される、外国人店主がいます。

 来店客:「ラビちゃん」「ラビちゃん」「ラビちゃんすごく良い人だよね」

 その名も「ラビちゃん」です。

 ラビさん:「(Q.ラビさんですか?)はい、よろしくお願いします。ラビンダと申します」

 来日およそ20年、スリランカ出身のラビンダさん(43)。妻のディヌーシャさん(43)と、2人で切り盛りしています。

 来店客:「日本料理屋さん以上に絶品」

 そう、ラビンダさんが振る舞う料理は、お客さんを魅了してやまない本格派のニッポンの居酒屋の味。飾り包丁も、ごらんの通りおてのものです。

 ラビンダさん:「秋ナスは嫁に食わすなって聞いたことない?」

 発言も、日本人顔負け。そんなラビンダさん、こだわりの国産の牛もつを使った塩もつ鍋をいただきます。プリップリで、臭みも全くなくて、脂も甘くおいしいです。

 おいしさの秘訣は、手間を惜しまないこと。豚肉と鶏肉、野菜を8時間かけ、じっくり煮込み、一晩かけ冷やし、出来上がるのがプルプルのコラーゲンスープです。

 常連客:「“中毒性”のある鍋。本当においしいの。10年来ても、ずっと同じ味を食べてる」

 日本人の舌をうならせる絶品料理の数々ですが…。

■夫の努力を見続けてきた妻の“ある大胆な戦略”

 ラビンダさん:「カレーをずっと食べてきたこともあると思うけど。日本の味が口に合わなかった」

 母国スリランカのスパイス文化で育ったラビンダさんにとって、日本の料理はすべてが甘く、味の違いが分からなかったといいます。

 そんなラビンダさんが、なぜ日本で“料理人”になったのでしょうか?

 20年前、妻・ディヌーシャさんの留学についてくる形で、来日したラビンダさん。そこで、“お刺身の盛り合わせ”を目にしたことが、運命を変えたといいます。

 ラビンダさん:「いや、すごいと思って。色鮮やかな盛り付けを見たことがなかった。スリランカのごはんは、カレーライスの文化なので。盛り付けにこだわっていなかった。見た目で満足するというのは、日本に来て分かったんです」

 和食の盛り付けの美しさに感動し、自分も学びたいと思ったラビさんは、日本料理のお店で修行を始めることに。

 ラビンダさん:「一番最初に、皿洗いから始まった。特に僕は日本語も分からないので、すごく怒られて。その時、厳しくされたから僕は今ここにいる」

 ディヌーシャさん:「ずっと笑っているから。私がひかれたのは、そこ。笑顔が好きだったから、今もそこは変わらない」

 異国でのつらい下積み生活の中でも、いつも前向きな姿勢で、料理の技術を学んでいったラビさん。10年後、独立をすすめられるまでに、腕前をあげました。

 そして2013年、日本とスリランカの懸け橋になりたいとの思いから命名した「絆」をオープンしたのです。

 夫の努力を見続けてきたディヌーシャさんは、ある大胆な戦略に打って出たのだとか…。

 常連客:「奥さんがビラを配っていて、『まずかったら、お金いりません』と言い切って。じゃあ行ってみようと。食べたら、おいしかった。みんなに宣伝しちゃったもん」

 思い切った呼び込みが功を奏し、確かなおいしさが口コミで広がり人気店になったのです。

■ラビンダさん「このままやり続ける」

 ラビンダさん:「からあげ単品で?1つ」

 コロナ禍で営業できなかった時に始めたキッチンカーは、いまも大盛況です。

 常連客:「どうぞー」

 一緒に呼び込みをしている女性は、なんとラビンダさんの店の常連客です。

 常連客:「もう10年くらい、ラビちゃんのごはん食べて。暇でしょ~、手伝って~って」

 ラビンダさん:「『一緒にランチする?』って(声かけた)」

 日本人に愛されるラビンダさん。そんなラビンダさんも日本が大好き。2人の子どもは「トモミ」さん(13)と、「ユウキ」くん(10)と名付けました。

 ユウキくん:「(Q.ユウキくんは将来このお店をやる?)なんもできなかった場合は、そうしようかなって思う」

 ラビンダさんは、これからも日本で料理の腕を磨き続けていきたいといいます。

 ラビンダさん:「外国人がやってくいる日本料理のお店って、選んでくれるだけでありがたい。『ラビちゃん』って、ここまで愛してくれるお客さんもいる。このままやり続ける」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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