新潟県に「クマ出没特別警報」 目撃900件超 特別予算で対策へ(2023年10月26日)
連日のクマ被害を受け、新潟県が「クマ出没特別警報」を発令しました。クマの嗅覚を調査した実験映像です。クマが好きなにおいや嫌いなにおい。知られざる習性が明らかになってきました。
■新潟県に「クマ出没特別警報」
新潟県 笠鳥公一副知事:「県内では今後、クマの出没がさらに多くなって人身被害の深刻化が懸念されますことから、県民の命を守るため本日、最も警戒レベルの高い『クマ出没特別警報』を発表させていただきたいと思います」
これまでに7人の人身被害が確認されている新潟県。3段階ある警戒レベルのうち最も高い「クマ出没特別警報」を発令。市町村に対し、クマ対策の追加支援を実施する方針です。
県の担当者:「市街地に近いところまでクマが下りてきてた。後は、そこをつなぐヤブのようなクマの隠れ家となるような通路、草むらですね。そういったものがつながっていると、より人が住んでいるところに近付いてくるということになるので、そこへの対策。これまでもやっているが、予算を特別に措置するなかで市町村を中心に動いていただこうということで今回、特別にまた支援策をお示ししたい」
■目撃900件超 特別予算で対策へ
新潟県では、目撃や痕跡情報などが900件以上に上っています。
秋田県大館市では26日、クマの目撃情報が4件ありました。大館市が今年度のクマの目撃情報や食害、事故などを地図にまとめたものです。これまでに全部で440件。すでに過去最多を更新しています。
■クマと闘う農家「生活かかってる」
農家も被害に遭っています。
こんちゃん濃情 金野進さん:「木を折って、あそこに座ってそばの枝を折って実を取って食べていたようです。これがクマが食べた後の皮です。見事にきれいに食べる」
2週間ほど前、クマが出没して栗が食い荒らされたといいます。
こんちゃん濃情 金野進さん:「もちろん生活がかかっているので」
■20年かけて“撃退グッズ”開発
地面に散乱した無数の栗の皮。被害を受け、独自の対策を行っています。
こんちゃん濃情 金野進さん:「忌避剤を作っていまして、これなら大丈夫かなというのをまいてみた。激辛の唐辛子を砕いてまいている」
20年ほど前から改良を重ねた鳥獣害用の忌避剤です。唐辛子などを混ぜたもので、栗の木の周辺にまいたところ、クマの被害はなくなったということです。
■判明!好きなモノと嫌いな臭い
嗅覚が犬並みに鋭いといわれるクマ。いまだその生態は謎が多いなか、クマ対策のヒントとなる貴重な映像を入手しました。ツキノワグマの嗅覚を調べた実験動画。粉末のワサビやリンゴの汁、唐辛子が入った丸太にクマがどのような反応をするのか調べたものです。好むものに対してはかじるなどの行動を取りますが、反応が違ったのが、丸太の中から出てくる赤い粉末、唐辛子です。においをかぐとくしゃみをするような様子。手に付いた唐辛子を舐めると、激しく頭を左右に揺らします。
秋田県立大学 野田龍准教授:「頭を振って離れていくような行動が、嫌がる様子かなと」
クマが嫌がるにおい、開発も進んでいます。唐辛子成分の栓が入った木製杭です。
Woodyさんない 森岡吉己営業課長:「においを発してクマを近付けないようにしている」
■クマが好きなニオイ「ペンキ」
一方、野生のクマで行われた実験。木の杭に近付くと突然、体をスリスリ。一心不乱に抱き着きます。熊が好むこのにおい、我々の身近なものにも使われていました。動画を撮影した野田准教授は…。
秋田県立大学 野田龍准教授:「木材の表面にペンキを塗ったもの」
クマはペンキなどの油性の塗料や灯油などのにおいが大好きだといいます。
秋田県立大学 野田龍准教授:「クマは興味が旺盛な動物。まずにおいをかいで、どういうものかを確認している。興味があるもの、好むものに対して体をこすりつける行動をよく行う。さらに好むもの、興味があるものはかじるという行動を取る」
■体を擦り付け“看板襲撃”も
こうした習性から被害はこんなところにも。石川県小松市の山中にある看板。上の部分を見ると、削り取られた跡が。よく見ると、クマの毛のようなものも。油性の塗料に引き寄せられたのでしょうか。クマによる被害とみられています。
秋田県立大学 野田龍准教授:「山の方に行くと木製の構造物、ベンチや標識がある。クマによって引っかかれたり、かじるという被害が出ている」
■泳ぐ宝石「錦鯉」の餌 狙う
においに引き付けられるクマ。被害は“泳ぐ宝石”と呼ばれるニシキゴイにも及んでいます。いけすに侵入したクマ。すると、くわえているのは大きなニシキゴイ。次々と捕食する姿をカメラが捉えました。
ニシキゴイの養殖が盛んな新潟県長岡市山古志。今年6月ごろ、クマの被害に遭ったといいます。
かんの養鯉場 平沢弘志さん:「これがクマにやられたやつかな。直したんですよ」
中に入っていたのは、ニシキゴイの餌(えさ)です。
かんの養鯉場 平沢弘志さん:「(餌やり機が)ぶっ壊されて、池の中に落とされた」
クマが狙ったのはニシキゴイそのものではなく、その餌。餌を食べられたり、機械を壊されたりと数十万円の被害があったそうです。
かんの養鯉場 平沢弘志さん:「北海道のヒグマなんかはサケ取っちゃうのをよく見るけど、この辺のコイを取っているのは聞いたことがない。ただこの餌はね、餌だけはにおいがする。(クマは)ものすごい鼻が良いから」
ニシキゴイの餌の主な成分は乾燥した魚を砕き、粉状にした魚粉です。そのにおいに引き付けられ、やってきたのでしょうか。
■クマ養殖場にも 襲撃の瞬間
ただ、過去にはニシキゴイそのものがクマの被害に遭った場所も。秋田県鹿角市の住宅。庭先の池に現れたクマ。池の中に入り、しばらくして出てくると、口にくわえていたのがニシキゴイです。被害に遭った男性によると、この池で飼育していたニシキゴイ8匹がクマに襲われたといいます。
ニシキゴイの餌の被害に遭った新潟県長岡市の養鯉場。クマが出始めたのは最近のことだといいます。
かんの養鯉場 平沢弘志さん:「この辺なんか、クマなんかいるところじゃないから」
まだニシキゴイへの被害は出ていませんが、被害の遭った餌に関しては対策の仕様がないといいます。
かんの養鯉場 平沢弘志さん:「クマも生きなきゃならないんだけどもね…」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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