ハマスが横取り?物資積んだトラック20台ガザ入りも「足りない」 支援の障壁とは(2023年10月21日)
■検問所がようやく開通 支援物資がガザへ
およそ220万人が暮らすパレスチナ・ガザ地区でライフラインが寸断されてからおよそ2週間。
イスラエルによる封鎖で水や食料、燃料などが底を尽きかけていると言われる中、ガザ地区とエジプトの境界にあるラファ検問所が、日本時間21日午後4時すぎに開かれ、最初の支援物資を積んだトラックがガザ側に入りました。1週間前から足止めされていたトラックに積まれているのは、医療品や缶詰などの食料。20台のトラックが通過した後、ラファ検問所は再び閉鎖されたと言います。
■世界中でデモ過熱
イスラエルによる地上侵攻が近いとみられる中、世界各地でデモが起きていました。アメリカの首都ワシントンでも、パレスチナ人権団体などの呼びかけで「即時停戦」を求める大規模デモが行われました。参加者には12歳の子どもの姿も。
デモに参加した12歳の少女
「私のような子供たちが毎日殺されています。でも政治家たちは何もしてくれません。」
ハマスは全世界のイスラム教徒に“総動員”を呼びかけ。周辺国へは、イスラエル国境に向かって行進してほしいと訴えました。
■ハマスが人質2人を解放
ガザ地区が厳しい状況に置かれている中、ハマスは20日、人質2人を解放したと発表。人質の解放は今回の衝突が始まって以降、初めてです。解放されたのはアメリカ人の母娘で、カタール政府の仲介努力に応じたものだとしています。
慶応義塾大学 錦田愛子教授
「ハマス側としては人質を交渉のカードに使い、何らかの要求を通すために、今回の戦闘を始めている。国際的な反発というものが直接予見できる外国籍の人質に関しては釈放の可能性というのは出てくる」
イギリスのBBCによると、ハマスは人質解放と引き換えに、イスラエル側に即時停戦を求めているということです。残る人質は200人以上にのぼるとみられています。
■支援物資はトラックわずか20台分
ガザで支援物資を配るNGO「パレスチナ赤新月社」ニバールさん
「先ほど、エジプト側から検問所を通って物資が入ってきました。今回の支援物資は水、日用品、医療品です。燃料は許されなかった。すぐに燃料が必要です。病院の発電機を動かすために必要だからです。20台のトラックでは全然足りません」
NPO「地球のステージ」桑山紀彦 代表
「単純に計算したって、500人が例えば4日間生き延びるのは(この水と食料で)可能だと思いますけど、その程度だと思う。ラファ周辺に集まってるのは140万人になりますので、これはもう現実離れした数字になってます。あと2日もつかという人もいれば、あと5日が限界だろうという意見が飛び交っている。いずれにせよ数日であることは確実です」
国連は、毎日およそ100台分の人道支援物資が必要だとしています。
■ハマスが横取りも?支援物資は届くのか
支援を難しくしているのはハマスの存在です。
慶応義塾大学 錦田愛子教授
「検問所では運び込まれるもののチェックが行われます。支援物資に紛れて、ミサイルであるとか弾薬というものが含まれてないか確認することになる。なので今後、支援が届く人々に実際に届くようになるまでにはまだ時間がかかると懸念される」
また今回の支援は、アメリカやエジプトなどの合意に基づくもので、ある条件があります。
アメリカ バイデン大統領
「支援物資はハマスには渡さない。ハマスが支援物資を横取りしたり通過を阻んだ場合はそこで終わりです」
ガザ地区への人道的支援がハマスの軍事資金になっている問題は、たびたび指摘されてきました。2009年には、ハマスが、国連の支援物資から数百トンの食糧を押収していたことが発覚。現在ハマスに捕えられているとみられるイスラエル人の人質の写真に映りこんだ袋には、日本の国旗、「2023」、そして、「パレスチナ難民・無料配布」の文字。過去の写真と比べてみても、国連の機関が今年、ガザ地区の市民のために配布した支援物資の袋とみられます。
さらに、ハマスが公開したのは、ハマスが水道管を掘り出してロケット弾に転用している映像です。「EUは、ハマスが水道管からロケットを作れると自慢しているのに、水道工事を支援している」とイギリスメディアが指摘しています。
ハマスが拠点にしている地下トンネルも例外ではありません。「ハマスが、支援された建設資材の少なくとも一部を使ってトンネル網を拡張している」とイスラエルは指摘しています。ハマスは地下トンネルの全長がおよそ500キロあるとしていて、これは、東京の地下鉄の総延長よりも長いことになります。
■自衛隊機が羽田到着
日本時間21日未明、イスラエルから退避する日本人らを乗せた航空自衛隊の輸送機が羽田空港に到着しました。輸送機には日本人60人、韓国人18人と、外国籍の家族、あわせて83人が搭乗したということです。政府が14日にチャーターした便は、行き先がドバイまで、かつ1人3万円の費用負担があり、日本人8人しか搭乗しませんでしたが、今回の自衛隊機への搭乗は「無料」だといいます。イスラエルにはおよそ800人の日本人がいまも滞在していて、外務省は引き続き安全確保に万全を期すとしています。 (C) CABLE NEWS NETWORK 2023
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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