医師怒り「どこに退避しろと」 ガザの病院爆破…500人超死亡(2023年10月18日)

医師怒り「どこに退避しろと」 ガザの病院爆破…500人超死亡(2023年10月18日)

医師怒り「どこに退避しろと」 ガザの病院爆破…500人超死亡(2023年10月18日)

■病院爆破巡り 「憤慨している」

 一晩で500人以上の命が奪われたとみられます。17日午後7時半ごろ、パレスチナ自治区のガザ北部の病院で爆発が起きました。爆発が起きたのはガザ市のアル・アハリ病院。約3キロ離れた別の病院には次々と救急車が到着し、何人もの負傷者が担ぎ込まれました。

 ガザ地区の保健省は「イスラエル軍は大虐殺を行った」と非難声明を出しました。さらに、爆発が起きたアル・アハリ病院は3日前にもイスラエル軍に攻撃されたと訴えました。

 ガザ地区保健省:「14日の午後8時半、病院は2発の砲撃を受けました。その翌日の朝、院長がイスラエル軍から『きのう2発の砲弾で警告をした』と電話を受けました。砲弾で警告を受けるのは世界でガザ地区だけです。院長はイスラエル軍から『警告したのになぜまだ避難しないのか』と言われました」

■非難集中も イスラエル関与否定

 17日、SNSに投稿された映像です。アル・アハリ病院にいる子どもたちの不安をやわらげるため、ボランティアが遊んであげている様子だといいます。爆発が起きたのは、その17日夜です。アル・アハリ病院があるのはガザ地区北部のガザ市中心部です。イスラエル軍は13日から繰り返し、ガザ市を含む北部の住民約110万人に対して南部へ避難するよう勧告していました。ただ、北部にある20の病院は重篤な患者を避難させるのは不可能だとして、そのまま稼働を続けていました。

■医師怒り 「どこに退避しろと」

 医師:「退避しろと言うが、この子どもたちをどこに退避させるというのでしょうか。子どもたちは人工呼吸器で何とか命をつないでいる状態です。我々を殺したいのならここで仕事を続けている間に殺せばいい。私たちは去らない」

 イスラエル軍は昼夜を問わずにガザ地区への空爆を続けていますが、今回の病院爆発に関してはイスラエル軍によるものではないと主張しました。

■イスラエル軍“攻撃”の関与否定

 イスラエル軍 報道官:「イスラエル軍の分析では爆発が起きた時間、ガザのテロリストが発射した一連のロケット弾がアル・アハリ病院のすぐ近くを通過しています」

 複数の情報の分析結果として、病院の爆発はイスラム組織「ハマス」と共闘するガザの武装組織「イスラム聖戦」による誤射の結果だとしました。

 イスラエル軍がSNSに投稿した映像。飛んでいく光が上空で爆発。その後、地上でも爆発が起きます。イスラエル軍は、撮影されたのが午後6時59分、病院が爆発したのと同じ時間帯だとしています。果たしてイスラエル軍による空爆なのか、「イスラム聖戦」による誤射なのか。

 17日夕方時点で3000人を超えていたガザ地区の死者は一気に500人以上も増えました。

 ターク国連人権高等弁務官:「この殺戮(さつりく)の全容はまだ分からないが、はっきりしているのは暴力と殺戮を直ちに止めなければならないということだ」

■バイデン氏×アラブ首脳 会談中止

 日本時間の18日午後5時ごろ、アメリカのバイデン大統領がイスラエルに到着しました。

 イスラエル ネタニヤフ首相:「イスラエルは団結している。ハマスを打倒する」

 バイデン大統領はイスラエルのネタニヤフ首相との会談後、紛争拡大防止を目指し、パレスチナ自治政府のアッバス議長やエジプトのシシ大統領などアラブの首脳とも会談をするはずでしたが、今回の爆発を受けて予定は中止になりました。

■「大虐殺だ」ガザ病院爆破に怒り

 ガザ地区で起きた病院の爆発を巡って情報が錯綜(さくそう)するなか、イスラエル周辺のイスラム諸国ではイスラエルの攻撃だと非難、激しい抗議活動が起きています。

 ロイター通信によりますと、トルコのイスタンブールにあるイスラエル領事館前にはパレスチナ人への連帯を示す人たち数千人が集結。領事館の敷地内に入り込もうとしたため、治安部隊が催涙ガスの一種「ペッパースプレー」や放水などで応戦する事態に。ヨルダンでもイスラエル大使館の敷地内に入ろうとしたデモ隊と、それを阻止しようとする治安部隊で小競り合いとなりました。

 ヨルダンではアブドラ国王が「病院爆破は虐殺であり、戦争犯罪だ」と非難。SNSにはイスラエル大使館前に前で火が放たれた動画が投稿されています。

■ガザ病院爆破 500人超死亡の衝撃

 パレスチナ解放を支持する人たち。レバノンではバイクにまたがって抗議。パレスチナの旗を掲げ、「アッラーアクバル」「アッラーは偉大なり」と叫び声が上がりました。アメリカメディア「CNN」はアメリカ大使館に最も近付ける場所に大勢の人たちが集まり、バリケードを突破しようとしたと伝えています。

 アメリカ国務省は17日、レバノンへの警戒レベルを「渡航中止」に引き上げ、大使館職員やその家族の一時退避を認めました。

 イランの首都テヘランにあるイギリス大使館の前ではイスラエル国旗を燃やしてパレスチナ支持を叫びました。事態をより深刻に、より複雑にさせたガザ地区の病院爆発。バイデン大統領の中東訪問でどこまで事態を改善できるのか注目されます。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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