500人死亡の病院攻撃でイスラエルとハマスが“非難合戦” 「聖戦の誤爆説」可能性は(2023年10月18日)
■ガザの病院で爆発 500人死亡
病院の中庭でしょうか。遊具も見えます。子どもたちが歌い、笑顔あふれるひと時を過ごしています。この景色は一変します。
人々が逃げ惑い、火を上げる建物。女性は泣き叫び、子どもがおびえる様子が映し出されています。敷地には、無数の遺体が横たわっています。やいばが向けられたのは、けが人や病人を治療する“病院”でした。
ガザ保健省:「病院に2発の砲弾が命中しました。これが1発目、これが2発目です。これはその爆撃で被害を受けた傷痕です」
ガザ地区北部。「アル・アハリ病院」はその市街地にあります。80床あり、がん治療なども受けられる基幹病院でした。子どもの笑顔であふれていた病院。激しい攻撃にさらされ、およそ500人が死亡しました。被害の全容は、まだ分かっていません。
双方の主張は真っ向から食い違います。ハマスはイスラエルの“虐殺”と、人々に訴えています。
イスラム組織ハマス イスマイル・ハニヤ最高指導者:「アラブおよびイスラムの国々の国民全体に、この虐殺、野蛮な犯罪に対し、抗議のため今すぐ立ち上がることを呼び掛ける」
イスラエルは、ハマスと共闘するパレスチナ・武装組織「イスラム聖戦」のロケットが誤射したと主張。病院が攻撃された同時間帯に撮られた中継映像とともに、イスラエルを狙ったロケットが爆発したと主張しています。
イスラエル軍報道官:「ハマスには境界線がない。彼らは自国の民間人を爆撃し攻撃する。今回はイスラエルに圧力を掛けるため、ロケット弾の誤射という悲しい事件を利用している」
誰が、何のために。ある説が浮上してきました。
防衛研究所 地域研究部アジア・アフリカ研究室 西野正巳主任研究官:「軍事拠点や弾薬の保管庫などを、病院や学校の中にわざと設置することがあると言われている」
■専門家「聖戦の誤爆説」 可能性は
病院を攻撃したのは誰なのか。ハマスやイスラム聖戦の誤爆という説もあり得ると話します。
防衛研究所 地域研究部アジア・アフリカ研究室 西野正巳主任研究官:「軍事拠点や弾薬の保管庫を病院、学校にわざと設置することがある。(ハマス側の)武器管理能力の低さという見地から、彼らが操作ミスをしたのであれば、ああいうことを起こり得る」
ただ、現状ではイスラエル軍の攻撃の可能性も捨てきれないと話します。気になるのは、アメリカ大統領訪問の直前という“時期”ですが…。
防衛研究所 地域研究部アジア・アフリカ研究室 西野正巳主任研究官:「私は今回の訪問のタイミングで行われたこととは全く考えていない。この病院での爆発は、どちら側が行ったとしても誤射や誤爆。ミスです。爆発があった病院はガザ地区北部のガザ市。避難呼び掛けをしている地域に大規模な空爆をやる必要がない」
■中東各国が一斉非難 会談拒否も
現状、ただ一つ分かっていることは、その犠牲になった多くが罪なき市民であることです。広がった波紋は、小さくありません。非難の声も各地で上がっています。
バイデン大統領の声明:「憤慨し、深く悲しんでいる」
ターク国連人権高等弁務官:「病院は神聖なものであり、何としても守らなければならない。はっきりしているのは、暴力と殺戮(さつりく)を直ちに止めなければいけないということ」
パレスチナ自治政府のアッバス議長。抗議のため、バイデン大統領らとの会談をキャンセルしました。
パレスチナ自治政府 アッバス議長:「今夜、起こったことは大きな悲劇であり、恐ろしい戦争による虐殺である」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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