イスラエルとハマス「戦争状態」 双方死者1200人超 なぜ今?“中東の大国”の存在(2023年10月9日)
激しい戦闘が続くイスラム組織「ハマス」とイスラエルの衝突。イスラエルは「戦争状態に入った」と宣言し、死者は双方合わせて1200人を超えました。なぜ今、対立が激化しているのか。そこには「中東の大国」の存在があるようです。
■双方死者は1200人超 報復攻撃も
ANNの取材クルーがヨルダン側からイスラエルに入りました。昼夜を問わず砲撃を受けるパレスチナ自治区ガザ。一方、イスラエル国内最大の国際空港でも。
CNN ニック・ロバートソン記者:「飛行機から降りたばかりですが空襲警報が鳴り、皆さんバスから降りて地面に伏せています」
7日早朝、突如始まったイスラム組織「ハマス」によるイスラエルへの大規模な攻撃。地元メディアによると、イスラエル側の死者は少なくとも700人以上。異例の数に上っています。
■生中継で空爆 ミサイル攻撃相次ぐ
これに対し、イスラエルも報復攻撃を開始。生中継で捉えられたイスラエル軍による空爆です。
キャスター:「もし安全が確保されているのなら状況を説明して下さい。安全でないなら避難して下さい」
記者:「大丈夫です。パレスチナのガザ地区の中心部にあるビルがミサイルで攻撃されました」
イスラエルによるガザ地区への報復攻撃ではおよそ500人が死亡したということです。
■イスラム組織「ハマス」とは
世界で最も解決が難しい紛争とされるパレスチナ問題。ユダヤ人とパレスチナ地方に住むアラブ人がパレスチナの地を巡って争っています。
現在、ユダヤ人国家イスラエルと隣接する2つの地区がパレスチナ自治区となっていますが、そのうちの一つガザ地区についてはパレスチナ自治政府ではなくイスラム組織「ハマス」が実効支配し、断続的にイスラエルと武力衝突しています。
ハマスとはどんな組織なのでしょうか。
外報部 元カイロ支局長 大平一郎:「1948年にイスラエルが建国されて、元々この地に住んでいたパレスチナの人たち。この人たちが起こした抵抗運動、その組織の一つがハマス。ハマスは意外かもしれないが、福祉や医療などの分野で一般市民に地道な草の根の支援活動を行ってきている。一方で、軍事部門は自爆攻撃も辞さない、徹底した対イスラエルの武装闘争を繰り広げてきた。2000年代以降は特にガザで求心力を高めてきた。ハマスはイスラム教が基本原理でイスラム法による統治を目指している」
イスラエルはガザ地区を経済的に封鎖し、人や物資の移動を厳しく制限。ガザ地区では失業率が高く、慢性的な停電も起きていると報じられ、「天井のない監獄」と言われています。
外報部 元カイロ支局長 大平一郎:「ガザ地区内は長らくイスラエルによる経済封鎖の影響により極限状態まで困窮が進んでしまっている。例えばイスラエル軍に家が破壊されたとします。再建するための建築資材が(ガザ地区の)外からなかなか手に入れることができない。治療する薬や手術器具も全く足りていない。こういった不満が爆発する形で、今年の7月末には市民が異例のハマスに対するデモを行った。市民の不満に対してハマスは何とかしなければいけないと、何か行動で示さなければいけないということで今回の攻撃に着手したということも考えられる」
■なぜ今?“中東の大国”の存在
ハマスが大規模な攻撃を仕掛けた要因は他にも。
外報部 元カイロ支局長 大平一郎:「もう一つ、ガザ地区の外、パレスチナを取り巻く国際環境の変化も影響していると思います。これまでは同じ民族としてパレスチナの後ろ盾としてやってきたのはアラブ諸国です。しかし、アラブ諸国が最近イスラエルに急接近しているんです。特に大国のサウジアラビア。国交正常化を模索していまして、この事実はハマスにとって衝撃を与えたと考えられます」
「アラブ諸国から見捨てられるのではないか」という焦りをハマスが感じているのではないかという見方です。
アメリカ ブリンケン国務長官:「今回の攻撃はサウジアラビアとイスラエルの交渉を妨害することが狙いかもしれません」
今後、武力衝突はさらに激しさを増す可能性があります。
外報部 元カイロ支局長 大平一郎:「すでにイスラエルは『ハマスと戦争状態に入った』と宣言していますし、ガザ地区への空爆で報復攻撃も始まっています。ただですね、空爆だけではハマスの指導部は排除できないとイスラエルは考えているわけで、地上部隊の派遣・侵攻が今後の焦点となっています」
これに対し、ハマスはイスラエル人や兵士ら100人以上を拉致。人質として交渉の材料や人間の盾に利用することが懸念されています。 (C) CABLE NEWS NETWORK 2023
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