海外で稼ぐ若者急増の一方、日本で働く外国人は悲鳴…止まらぬ円安の“光と影”(2023年9月30日)
10月1日からまた様々なモノの値上げが予定されていますが、その要因の1つが「円安」です。この円安で、大きな打撃を受けている人たちもいれば、逆にチャンスと捉えて海外に飛び出す人や新たな取り組みを始める企業も…。それぞれの「円安」を追いました。(「サタデーステーション」9月20日OA)
■10月も値上げラッシュ 食品4600品目以上にディズニーも
30日、サタデーステーションが向かったのは…
(庄賀由花ディレクター 舞浜駅前)
「午前9時の開園時間になりました。多くの人がパークへと向かっていきます」
家族連れやコスプレをした若者などで賑わう東京ディズニーランド。
東京ディズニーリゾートでは、10月1日から入園チケットの価格が変更されます。1デーパスポートは現在、最も価格が高い日で、大人は9400円ですが1500円値上がりし、初めて1万円を超えます。
パークを訪れたディズニーファン
「たまにしか来れなくなっちゃいますよね。(今後来るときは)自分へのご褒美ですよね」
値上がりするのは、これだけではありません。横浜市にあるスーパーを訪ねると…
横濱屋スーパー蒔田店 磯貝仁店長
「こちらのロースハムは100グラム119円で販売していますが、1日から10円あがって100グラム129円で販売となります」
10月1日から値上りする食品はハムやソーセージなどの加工品やチョコレート菓子など4600品目以上。缶詰やオリーブオイルなどの輸入品も価格が高騰。こちらのスーパーでは、新価格のポップ作りに追われていました。
横濱屋スーパー蒔田店 磯貝仁店長
「正直本当に厳しい状況。なんとかお客様に貢献できるように値段交渉して販売しています」
こうした値上げの要因の1つが「円安」です。今週、東京外国為替市場の円相場は1ドル149円台まで値下がりし、2022年10月以来の円安水準となっています。
■日本で働くベトナム人 円安で母国への仕送り時期に悩む
その影響は日本で働く外国人にも…。群馬県太田市の自動車部品工場で働くベトナム人のグエン・ティ・フォンさん。毎日欠かさずチェックしているのが日本円とベトナム通貨ドンの為替レートです。2022年から”円安ドン高”が急激に加速しています。
ベトナム人 グエン・ティ・フォンさん(23)
「為替は毎日チェックしています」
ベトナムに住む家族に11万円仕送りしていましたが、今は数カ月に1度、少しでも円高のタイミングを狙ってまとめて送金するようになりました。
ベトナム人 グエン・ティ・フォンさん(23)
「私が仕送りする理由は、家族を守るためです。私には2人の姉がいますが、いずれも結婚していて、私は独身なので、私しか家族を支えることができないんです」
父親は2カ月前に食道がんと診断され、現在入院中。母親は働いていますが、10歳になる娘もいるため、フォンさんの仕送りが大きな支えとなっています。ベトナム人を雇用する工場の担当者は円安の影響について…
矢島工業 江原志彦さん
「円安の影響もあって日本に来るベトナム人は減少傾向にあると私は思います。やっぱり円安によって、ベトナムドンとしては所得が目減りするのが原因だと考えられます」
■海外で稼ぐ日本人急増 週給20万円稼ぐ人も…
一方で、海外で働く日本人の給料はどうなっているのでしょうか?
オーストラリア在住 松下莉さん(25)
「平均して週で20万円。4週で80万円って感じですね」
オーストラリアでビルやオフィスの清掃をしている松下莉さん。日本でサラリーマンをしていた時と比べると給料は3倍以上だと言います。
オーストラリア在住 松下莉さん(25)
「円安だと日本円にしたら増えるんでそれは嬉しいですね」
オーストラリアには今、お金を貯めたいと“出稼ぎ”に来る人が押し寄せていると言います。
焼肉レストラン「二階堂」 安藤健治オーナー
「人材募集のウェブページがあるんですけど、1時間で日本人から30人から40人くらいの連絡が入る。雇用には困っていない状況です」
シドニーで高級和牛をウリにしている焼き肉店。3年前は、1日に2人ほどの応募しかなかったといい、その人気ぶりは歴然です。現在の日本人スタッフは25人。ワーキングホリデービザでやってくる人が多く、毎月の貯金額はというと…
従業員の女性(30代)
「日本に比べると貯金はしやすいかなと。(1か月で)20万円くらい」
従業員れみさん(20)
「毎月だいたい15万円くらいは貯金しています」
将来カフェをオープンしたいと、お金を貯めるためにやってきた、れみさん。その暮らしは…
れみさん(20)
「こんにちは、ここがベッドルームになります」
タイや韓国のルームメイトとシェアハウスに住み、家賃はおよそ11万円。
れみさん(20)
「今日はどうする?」
タイ人のルームメイト
「仕事もあるし…カフェに行く?」
れみさん(20)
「うんそうしよう」
れみさん(20)
「いつも英語で会話するので英語力も上がるし楽しいです。(給料は)だいたい2週間で16万円くらいになります」
月収にすると、およそ35万円稼ぐというれみさん。しかし、物価も高いオーストラリア。
れみさん(20)
「値段はめちゃくちゃ高い。日本の2倍」
カフェでランチした場合は、パスタと飲み物を頼んで3000円ほど。スーパーでは…
れみさん(20)
「できるだけ節約できるように飲み物も買わないです」
買うものは、セール品のみだと言い、生活費を節約しています。
れみさん(20)
「(貯金は)65万円くらい貯まりました。シドニーで人よりもっと経験を積んで楽しんで生きていきたい」
円安はレミさんの夢の追い風になっています。
■円安をチャンスに…海外進出する企業も
円安をチャンスに変えて海外進出を決めた企業もあります。
『鍵庄』入江雅仁社長
「こちらがヨーロッパに輸出の海苔を作っている工場になります」
兵庫県明石市にある老舗海苔店。フランス・パリでは、連日行列ができるほど「おにぎりブーム」が拡大中。そこに目を付けて、ヨーロッパへの輸出を決めました。
『鍵庄』入江雅仁社長
「円安っていうのがずっと続いていて、売っていくには(海外進出は)一つ有利ではないか。お米の消費も芳しくない状態で消費していただけるところを広げていくというのも1つあって…」
今は10月17日にフランスで開催される日本食のPRイベントに向けた準備をしていますが、初の海外進出に苦労している点も…
『鍵庄』営業部 久保貴之さん
「ちゃんと伝わっていると思うんですけど…。時差の関係もありますのでメールでのやりとりという形になります」
インターネットの翻訳機能を使ってフランス語やドイツ語などのメールを作成。現地の取引先と直接やりとりをしています。
『鍵庄』営業部 久保貴之さん
「言語なり、文字なり、勉強させていただくのはこれからの課題です」
円安の今だからこそ、海外の顧客は獲得しやすいといいます。
『鍵庄』営業部 久保貴之さん
「この円安の追い風を背に輸出に力を入れて、海外の方にファンを作れるのか。それが一番の目的だと思います」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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