「年収の壁」どう解消?政府新対策 専門家「いまの形に合ってない」(2023年9月26日)

「年収の壁」どう解消?政府新対策 専門家「いまの形に合ってない」(2023年9月26日)

「年収の壁」どう解消?政府新対策 専門家「いまの形に合ってない」(2023年9月26日)

 岸田総理大臣が解消に向けて取り組むとした、いわゆる「年収の壁」の問題。人手不足の解消を狙ったものですが、「目先の対策」と野党からは反発が。

 「成長の成果である税収増を国民に適切に還元すべき」。総理は閣議でこう強調したそうです。政府が発表した「物価高対策」や「持続的な賃上げ」などの経済対策「5本柱」。岸田総理は26日、閣僚らに来月中に取りまとめるよう指示しました。なかでも今回、具体的に打ち出しているのが…。

 岸田総理:「『壁』を乗り越えられるよう機動的に支援できる仕組みを整え、そのための予算上の措置を講じて参ります」

 いわゆる「年収の壁」の解消策です。配偶者の扶養に入り、パートなどで働く人については現状、一定の収入を超えると扶養から外れ、社会保険料を支払う必要が出てきます。すると、手取りが減るため「働き控え」が起きるわけですが。政府はこの「106万円の壁」について、手取りが減らないよう取り組んだ企業に対し1人最大50万円を助成することを週内に決定し、「130万円の壁」についても、連続2年までは扶養にとどまれるよう調整する方針です。

 公明党 山口代表:「働く方々に届くように説明していくことが重要。『壁』を自ら思い込んで就労に条件を付けてしまう働き手も従来はいた」

 この対策が実施されれば、どのような効果が出るのでしょうか。社会保障制度に詳しい専門家は…。

 野村総合研究所 武田佳奈エキスパート研究員:「深刻な人手不足が経済再建の足かせになっているところが大きな問題で、年末に向けてさらに深刻になることが予想されていますが、(政府の対策が)足元の人手不足の解消につながる。年収の壁を意識して働く時間を短くしている人がその必要がなくなるという効果は非常に期待できる」

 一方、野党は「目先の対策」だと政府に疑問を投げ掛けています。

 立憲民主党 岡田幹事長:「『とりあえず』という、むしろ今の(制度の)矛盾をさらに拡大するような支援策は私は全く理解できない」

 国民民主党 玉木代表:「扶養に入らず働いている人は自分で払うということになるので、公平感というものが達成できないのではないか」

 国民民主党幹部:「バラマキみたいなことをしてさ、取って付けたことばかりで何も国民に寄り添っていない」

 専門家は今回、政府が発表した「年収の壁対策」と同時に「中長期的な改革」が必要だと指摘します。

 野村総合研究所 武田佳奈エキスパート研究員:「以前は男性の就業者が家計のメインの支え手で、そこに専業主婦を中心に家庭を守っている女性がいる世帯が標準モデルだった。その時代に合理的な仕組みとして成り立ったのが今の社会保障制度だが、今は6、7割が共働きになっているし、今の日本の形に合っていない制度をしっかりと変えていくことを同時に行うことが絶対に必要。働いた人は収入に応じた負担をしながら社会保障を支えていくという、働いている人、層に対して恩恵が受けられる仕組みに変える必要がある」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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