インフラ一斉老朽化 「予算追い付かない」校舎雨漏り…修繕できず3年 橋は通行止めに【羽鳥慎一 モーニングショー】(2023年9月26日)
埼玉県久喜市の中学校で、校舎の至る所に雨漏りが起きています。学校側は3年前から修繕を市に要望していますが、予算や人手が足りずに修繕が追い付いていないという状況だということです。
■校舎で雨漏り…漏電の恐れも
この中学校を悩ませているのは、雨漏りです。ビニールが貼られた天井は端の方から崩れ、ぽっかりと穴が開いた状態に…。
深刻な雨漏り被害が3年ほど続いているという埼玉県久喜市の中学校。校舎内を案内してもらう時も、雨漏りのシミが至る所にありました。この教室には「立ち入り禁止」の貼り紙があります。
久喜市立久喜中学校 木村信之校長:「漏電の恐れがあるということもあり、子どもは入らないように」
立ち入り禁止となった教室へ入ってみると、照明付近で雨漏りが発生したため、照明器具は外したまとなっています。
木村校長:「健康被害とかも、心配するところなんですけども」
木村校長が2年前にこの中学校に赴任した際、“生徒から思いがけないこと”を言われました。
木村校長:「『これ、ひどくないか?』と子どもにこちらが問い掛けると、子どもが『校長先生、それはそのうち慣れますよ』。慣れさせちゃいけないと思いましたよね。慣れて良いものと、慣れてはいけないものがありますから」
深刻な雨漏り被害が続いて3年。毎年、久喜市には修繕の要望を出していたといいます。
雨漏りの原因となっていたのは…。
木村校長:「シート部分が、べろんべろんにめくれ上がって」
2カ月前の屋上の様子。コンクリートに水がしみこまないよう、校舎の屋上には防水シートが貼られていましたが、ところどころでめくれあがった状態になっていました。
そして先月、久喜市は緊急措置として、特に雨漏りのひどい箇所に防水シートを貼り直しました。
木村校長:「100%雨漏りがなくなったわけではない。それ以前のような漏れ方ではないので、多少改善がみられた」
3年にわたって続く雨漏り被害。すぐに修繕できなかった理由とは…?
久喜市の教育委員会:「劣化に対して、予算もマンパワーも追い付いていないのが現状。教育委員会としては、人命に関わる優先度の高いものから予算申請をしている」
久喜市によると、ここ数年で色々な公共施設で老朽化が目立ち始め、現在は修繕が追い付いていない状況だといいます。
木村校長:「財政的には、どこの市も潤沢にあるわけではないので、優先順位に合わせて修繕等を確実に進めて頂ければありがたい」
学校の老朽化は、他の地域でも深刻な問題になっていました。
■外壁落下…児童大けが
北九州市の中学校では生徒たちが行きかうなか、クレーン車による工事が進められていました。
作業員の手には長い棒。校舎の外壁をたたき、危険な箇所がないか確認をしています。点検中発見したのは、武道館へ繋がる渡り廊下の真上に大きく走るひび。外壁の落下を防ぐため、危険なひび割れ箇所をたたき落とします。
作業員:「大きな振動ですとか、地震がきた時に落ちてくる。(中の)鉄筋がさびて膨らんでいって、浮いてきて落ちてくるという原因になるんですけど。合成材を塗って、(さびが)進行しないように作業しています」
落下する前に取り除いたひび割れた部分は、およそ30センチにもなります。
高見中学校 中尾隆教頭:「(外壁が)あの高さから落ちてきたとしたら、本当に命に関わることなので。早めに点検していただいて、補修していただいてホッとしています」
建設から50年以上経った校舎には、修繕の必要な箇所が複数ありました。
急ピッチで行われた修繕作業のきっかけとなったのは…。
北九州市 武内和久市長:「萩ケ丘小学校、横代中学校、これで2件の事故が立て続けに起きています。子どもの安全は何としても守らなければいけない」
北九州市の学校ではことし4月、立て続けに外壁の落下事故が発生していました。
萩ケ丘小学校では、4階のひさし部分の外壁が落下。下校途中の5人の児童に当たり、1人は足の指を骨折する大けがをしました。
その3日後にも別の中学校で、体育館と校舎を結ぶ渡り廊下の上の壁が落下しました。けが人はいませんでしたが、地面には大きな破片が散らばっていました。
いずれの学校も建設からおよそ50年が経過、“老朽化”が原因とみられています。
4月の落下事故を受け、北九州は市内203の学校を緊急一斉点検。修繕が必要な学校は9割近い178校に上りました。
北九州市教育委員会 丹羽雅也部長:「子どもたちの安心安全を最優先するっていう市長の思いもくんで。スピーディーに、かつ適切に対応するということを取り組んできております」
夏休み期間を経て、およそ8割の修繕が完了。急ピッチで安全対策を進めています。
■橋が老朽化…突如通行止め
費用不足でインフラの修繕が着手できないままとなっている場所もあります。
住宅街に突如として現れた、「緊急通行止め」の看板。その理由は…。
コンクリートにひびが入り、大きな隙間があります。
近隣住民:「通ると、真ん中ぐらいがカタカタしてた。傷んでると思ったけど、もうずっとここに何十年もいるので、そこまでなんか感じてはいなかったんですけど」
行田市によると、この橋は老朽化でコンクリートが剥がれるなどしたため、1年ほど通行止めの状態が続いています。
近隣住民:「不便だよね。おつかい行った帰り、ほら、こういうの。生物なんかが入ってるから、早くうちに帰んないとね」「通学路もあるので。謎だよね。何でかなって言ってたんだよね」
地域住民からは修繕を望む声が上がっているものの、未だ対応は決まっていないといいます。
さらに別の橋は、土台のアーチ部分がさび、細くなってしまっています。非常に危険な状態のため、市では去年の5月から橋を通行止めにしています。
近隣住民:「急にストップされたんです。もう本当に大事な通り道だった。年寄りはこっち行くか、こっちかでスーパーにも行けないし。ここストップされたんで、本当に困るんです」
事前に説明もなく急に通行止めになったと話す近隣住民。以前、自治会長を務めていた男性は、次のように話します。
元自治会長:「ここら辺の方は公民館に行ったり、買い物に行ったりする生活道路だから頻繁に使っていた。確かに危ないが生活道路ですから非常に不便。何回か(市役所に)行ったりして様子を聞いたが、一向に直らない。市役所が言うには、色々な所から要求がきていて、順番待ちって言ってましたけど、何年も経ちます」
今後の対応が決まらない理由は、行田市の“橋の多さ”。市によると、市内には695の橋があり、うち約40パーセントの橋が建設後50年以上が経過。現在、51の橋が早急に措置が必要とされています。
行田市担当者:「考えられる要因は、高度経済成長時期に、いっぺんに(橋が)作られているところ。同時期に作られているので、悪くなるのもいっぺんに悪くなる。(橋の)かけかえとかには非常に多額の費用を要するので、費用対効果も考えて検討してまいりたい」
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2023年9月26日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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