アゼルバイジャン勝利宣言 アルメニア首相に市民怒り…“30年紛争”で事実上の降伏【もっと知りたい!】(2023年9月22日)
アゼルバイジャンがアルメニアとの係争地を攻撃し、次の日に完全支配を宣言しました。一方、武装解除に追い込まれたアルメニア国内では、政府に対する批判が高まっています。
■負傷した子ども「爆弾が落ちた時…」
鳴り響くサイレンと響き渡る銃声のなか逃げ惑う人々。アゼルバイジャン領内にあるナゴルノカラバフで撮影された動画です。
ナゴルノカラバフは国際的にはアゼルバイジャン領とされていますが、隣国アルメニア系の住民が多く、アルメニアが実効支配していて、両国間で領土を巡る争いがたびたび繰り返されてきました。
アゼルバイジャン国防省は19日、ナゴルノカラバフで「局地的な対テロ作戦」を開始したと発表。
公開された動画には、軍事施設や戦車などを攻撃する様子が映っています。
現地の人権監視団体によると、一般人にも被害が及んでいて、子どもを含む少なくとも200人が死亡し、400人以上がけがをしたということです。
負傷した子ども:「爆弾が落ちた時、僕たちは外にいたんだ。何とか生き延びることができました」
■ナゴルノカラバフ紛争…ロシアとトルコの代理戦争
両国の激しい戦闘に発展すると思われましたが、事態は意外な展開を見せます。
アゼルバイジャン アリエフ大統領:「きのう開始された対テロ作戦が成功し、アゼルバイジャンは主権を回復した」
アゼルバイジャンのアリエフ大統領は攻撃の翌日、アルメニア側が武装解除などの条件に応じたため、停戦が合意に達したと宣言したのです。
これまでナゴルノカラバフを巡って、たびたび争ってきたアゼルバイジャンとアルメニア。その都度、アルメニアの後ろ盾となっていたロシアが間に入り、紛争をおさめてきました。
一方、アゼルバイジャンを支援してきたのが、同じイスラム教のトルコでした。
トルコ エルドアン大統領:「トルコは今後も、あらゆる手段と心を尽くして、友であり兄弟であるアゼルバイジャンを支援し続けます」
トルコは今回の攻撃でも、アゼルバイジャン支持をいち早く表明しています。
ロシアとトルコの代理戦争ともいえるナゴルノカラバフ紛争。
しかし、アルメニアのパシニャン首相は攻撃を受ける前の13日、アメリカメディアのインタビューに対し、ロシアがウクライナとの戦争で手一杯になっていて、ナゴルノカラバフにいるロシアの平和維持部隊は任務を果たせていないと指摘。アルメニアは、ロシアの保護に頼ることはできないと述べていました。
■アルメニア国内…首相に対する不満噴出
ロシアの影響力が薄れるなか、ナゴルノカラバフを失う危機に直面しているアルメニア。事態は今後、どうなっていくのでしょうか。
慶応義塾大学 総合政策学部 廣瀬陽子教授:「実はアルメニアは、軍事的にも欧米との関係強化を進めている。ナゴルノカラバフを捨ててでも早く停戦したい、解決したいというのがある。(国民が)納得していないので、アルメニア国内が内政不安に陥る可能性がある」
アルメニア国内ではすでに、事実上の降伏に追い込まれたパシニャン首相に対する不満が噴出しています。
アルメニア国民:「私たちが選んだ政府はアルメニア国民の希望には応えず、敵の希望に応えている。私たちは間違えた選択をした」「パシニャン首相は辞任しろ。戦いに敗れたリーダーはいらない」
■独立記念日も…「お祝いムードはありません」
2009年からアルメニアに住んでいる日本人、長谷川有彦さんに話を聞くことができました。
長谷川さん:「ちょうど、きょう(21日)独立記念日なんですけど、32年前にソ連から独立を果たして。やっぱり直前に、こういう出来事があったので、お祝いムードはありません。国民の中にも、ロシアの対応に不満を持って、ロシアに対する信用なり期待をある程度失った人もいるのではないか。それが多いか少ないかは私は分かりません」
(「グッド!モーニング」2023年9月22日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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