小児がんの子どもたちに“幸福のウィッグ”を 支援続ける大学生姉妹の想い(2023年9月21日)

小児がんの子どもたちに“幸福のウィッグ”を 支援続ける大学生姉妹の想い(2023年9月21日)

小児がんの子どもたちに“幸福のウィッグ”を 支援続ける大学生姉妹の想い(2023年9月21日)

 がん治療などで髪を失った子どもたちのために医療用ウィッグを提供する「ヘアドネーション」を続ける大学生の姉妹がいる。ウィッグの名前は「幸運のウィッグ」。こう名付けた背景には、11歳の少女との出会いがあった。

■高校時代に“ヘアドネーション”活動を開始

 先月、神奈川県横浜市で行われていたのはヘアドネーションのイベントだ。

 ヘアドネーションとは、がんや先天性の病気などで髪を失った人たちに、医療用ウィッグを作り無償で提供するというもの。

 このイベントを開いたのは、群馬大学医学部5年生・伊谷野真莉愛さん(22)と、横浜市立大学医学部・3年生で妹の友里愛さん(21)だ。

 2人が提供を続けているのが、ウィッグを買うことができない子どもたちだ。

 友里愛さん:「お子さんだと大人になるまで(ウィッグを)使い続けることができないので、経済的な理由とかでなかなか小児がんの子どもたちで、ウィッグを持っている人が少ないという現状があって」

 姉妹がヘアドネーション活動を始めたのは6年前。そして、この春には賛同した医学生らと「ヘアー・フォー・チルドレン」という団体を立ち上げ、病気の子どもたちのため全国から髪の毛を集めている。

 真莉愛さん:「北は北海道から南は沖縄まで。海外の方もいる」

 イベントの参加者には寄付するために3年前から髪を伸ばしてきたというこちらの7歳の男の子の姿もあった。

 髪を提供した 下岡春海さん:「人のためになるならいいなって」

 寄付が可能になる髪の長さは31センチ以上。1つのウィッグを作るために必要となるのはおよそ30人分で、髪質や髪色は関係ないという。

 友里愛さん:「1カ月に1センチぐらいのペースで伸びるので、30センチとなったら3年弱かかる」

 こだわったのはがん治療などで髪を失った子どものためのオーダーメイドのウィッグ。

 真莉愛さん:「一番大変だったのはウィッグ会社探しで、一つのウィッグを作るのにすごく大きな金額がかかるので、やっぱりただの高校生が『協力してほしい』と言ってもなかなか協力を得ることが難しく」

 探し始めてから30社のメーカーに断られ、大手かつらメーカーから協力を得られるまでに3カ月かかったという。

■悩みを抱える子どもに…「幸運のウィッグ」

 全国から送られてきた髪の毛は、職人が手作業で4カ月以上かけウィッグを作り上げる。出来上がったものは、髪色やつむじまで自然な仕上がりになっている。

 友里愛さん:「このネットをピンとかでとめて、子どもに合うように調整していくんですけど」

 真莉愛さん:「ボブがいいという子もいれば、ちょっと長めの髪の毛がいいという患者さんもいるので」

 2人は活動開始から6年で、20人の子どもたちに無償でウィッグを提供してきた。悩みを抱える子どもに希望を与えたいと「幸運のウィッグ」と名付けた。

 友里愛さん:「髪の毛1本1本に寄付して下さった人の思いが込められているので、病気と闘う勇気と希望を届けられたらいいな」

 今回のイベントにはある特別な思いから参加した女性の姿も。

 由帆さん(39):「(髪を)2年伸ばしました。うちの子が小児がんになってしまって、願掛けもかねて伸ばして」

 由帆さんは2年前に長女の弥(あまね)ちゃんを出産。しかし、生後5カ月の時、小児がんと診断され闘病生活を続けてきたが、今年3月…。

 由帆さん:「子ども亡くなったんですけど、子どもが触れた髪の毛だったので、名残惜しいのは名残惜しいんですけど、どなたかの役に立つのであればうれしいです」

 天国へと旅立った我が子が最後に触った髪の毛。月命日だという節目のこの日、髪を切ることを決断し、姉妹に断髪を依頼した。

 由帆さん:「いけるかな?ウィッグになれるかな?」

 真莉愛さん:「なれると思います。ありがとうございます」「協力して下さる皆さんのお気持ちがうれしくて、ありがたいです」

■忘れられない女の子の言葉…「輪広げたい」

 様々な思いで寄付される髪の毛。姉妹が「幸運のウィッグ」と名付けた理由には1人の少女との出会いがあった。

 毎年2000人以上の子どもたちが小児がんと診断されるなか、髪を失った子どもたちに無償でウィッグを届けるヘアドネーション活動を続けている伊谷野姉妹。

 真莉愛さん:「自分と同世代でがんという病気で苦しむ女の子がいるんだというのを、テレビで見て大きな衝撃を受けました」

 「自分と同じ若い世代の力になりたい」。その思いで高校時代に活動を始めその1年後、最初にウィッグを届けたのは小児がんで闘病する当時11歳の女の子だった。

 帽子やバンダナで頭を隠していた女の子。完成したウィッグを手渡すと…。

 女の子:「普通に女の子だ」

 真莉愛さん:「鏡を見た後に『普通に女の子だ』という言葉を繰り返しているのを見て、今まで自分がやってきたことは間違いではなかったし、喜んでもらえることだったと改めて実感して」

 友里愛さん:「ご家族の方も泣いてらっしゃったんですけど、私も涙が止まらなくて…。意味があったんだなって、すごく思いました」

 女の子:「いっぱいおでかけできるし、おしゃれできるからうれしい。ウィッグを無料で作ってくれてありがとう」

 その後、女の子は無事退院し、姉妹のもとには母親から小学校の卒業式の写真とともに1通の手紙が送られてきた。

 母親からの手紙:「再発の兆候もなく元気に過ごしております。このウィッグをまた次の人へとバトンタッチできたら…と考えております」

 子ども用のウィッグは、病気が完治したりサイズが合わなくなった場合、次に必要とする子どもたちのもとに届けられることも多い。幸運のウィッグは受け継がれていくのだと感じたという。

 真莉愛さん:「あの時の瞬間すべてのことを、今後の人生ずっと覚えて生きていくんだろうなと。すごく印象深い思い出です」

 伊谷野姉妹は将来、小児科か産婦人科の医師になることを目指し日々勉強中だ。

 今、思い描く未来とは?

 友里愛さん:「幸せになりますようにって思いを込めて、次の人にどんどん広げていきたいと思います」

 真莉愛さん:「私たちが大学を卒業して医師になった後も、後輩たちにそのバトンを渡して、幸せの輪がどんどん広がっていくといいなと思います」

■髪を提供する側もされる側も 共に未来へ

 この伊谷野姉妹が立ち上げた団体、ヘアー・フォー・チルドレンの皆さんに思い描く未来図を描いてもらった。

 夕日の写真にランドセルを背負った2人の子どもが描かれている。左側の子どもはヘアドネーションで髪の毛を提供して髪が短くなっている。そして、その子から提供された髪の毛から作ったウィッグを着けているのが、右側の子どもだという。

 髪を提供する側と提供される側が、一緒に未来に向かって歩いている様子が描かれている。

 男女関係なく、皆が好きなようにおしゃれをしてお互いを思いやる、優しさの輪が広がってほしいという思いが込められているとのことだ。

(「大下容子ワイド!スクランブル」2023年9月21日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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