“岸田人事”を千々岩記者が解説…小渕元経産大臣の起用は茂木幹事長への牽制?(2023年9月12日)

“岸田人事”を千々岩記者が解説…小渕元経産大臣の起用は茂木幹事長への牽制?(2023年9月12日)

“岸田人事”を千々岩記者が解説…小渕元経産大臣の起用は茂木幹事長への牽制?(2023年9月12日)

 13日に迫った内閣改造と党役員人事。政権の骨格に、大きな変化がないことが分かってきました。

 岸田文雄総理大臣は、あえて変えなかったのか…。それとも、変えられなかったのか…。

 岸田総理のホンネは、どこにあるのでしょうか?テレビ朝日政治部・千々岩森生官邸キャップが解説します。

■岸田総理は「太平の世の将軍タイプ」バランスに配慮

 まずは、明らかになってきた役職についてです。

 内閣の要官房長官は、松野博一氏の留任が内定。そして党役員は、茂木敏充幹事長、萩生田光一政調会長、麻生太郎副総裁の留任が内定しています。

 4月をピークに、内閣支持率が下がり続けるなか、顔ぶれを刷新するという見方もありましたが、なぜ変わらなかったのでしょうか?

 千々岩官邸キャップ:「岸田総理は戦国武将でいえば、乱世をバッタバッタと乗り切っていくタイプではありません。江戸幕府のような『太平の世の将軍タイプ』といいますか、派閥や党内の情勢にバランスよく配慮していく人。今回の人事でも、第1派閥の安倍派から、第2派閥の麻生派、第3派閥の茂木派ときれいに並んでいます。岸田派は第4派閥ですから、よりバランスに配慮する必要があります。岸田総理は、小泉元総理のように誰かと大げんかしながら、それを権力の推進力にしていくようなタイプではなく、オーソドックスなタイプです」

 千々岩官邸キャップ:「そして、政権の骨格を維持した背景が、もうひとつあります。去年、内閣改造後、旧統一教会の問題があり、閣僚が“ドミノ辞任”しました。今年に入ってから、『雨降って地固まる』ではないですが、岸田総理の感覚からすると、政権が安定したという感覚をもっている。それも、政権の骨格を維持した背景にあるのだと思います」

■小渕元経産大臣の起用は…茂木幹事長への“牽制”か

 党四役のひとつ、選対委員長への起用が内定した小渕優子元経済産業大臣は茂木派です。

 この采配で、党四役のなかに茂木派が2人いることになります。派閥のバランスが崩れてしまうことに、つながりはしないのでしょうか?

 千々岩官邸キャップ:「“やっかみ”の声は実際にあがっています。岸田総理は、本音では茂木幹事長のことを警戒しています。茂木幹事長は総理の座を間違いなく狙っていますし、それを隠そうともしません。岸田総理もそのことは、よく分かっています。いつ、寝首をかかれてもおかしくない状態です。そして、もうひとつの理由があります。茂木幹事長と小渕元経産大臣は同じ派閥ですが、実は関係が微妙です。茂木派のなかでも、小渕元経産大臣を推す勢力の一部の人たちは、茂木幹事長のことを良く思っていません。ですから、自民党のなかでも『茂木幹事長への嫌がらせなのではないか』との見方も出ています。つまり小渕元経産大臣の起用は、茂木派を優遇しているようにみえますが、実は茂木幹事長への牽制ではないか、岸田総理の深謀遠慮ではないかとの見方もでています」

■2期目見据え…派閥に配慮 “党内安定”を図ることに重点

 今回の改造で政権の骨格は大きくは変わらないということですが、ではなぜ今内閣改造をするのでしょうか?

 千々岩官邸キャップ:「自民党の役員任期は9月です。普通の会社と同じように、1年に1回人事の時期がやってきます。岸田総理は、経済や外交など政策面はありますが、もうひとつ別に政局面、権力という意味で見据えているのは来年9月の自民党の総裁選です。岸田政権は1期目(3年間)の2年目が終わるところです。岸田総理は1期で終わる気は、さらさらありません。どうやって来年の総裁選で勝って、2期6年をめざしていくかということを政局的には常に考えている。そのための今回の人事ですから、派閥に配慮して党内の安定を図ることに重点を置いたのだと思います」

(スーパーJチャンネル「newsのハテナ」2023年9月12日放送)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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