猛暑&少雨で“秋の味覚”に異変 達人が悲鳴…マツタケ“不作”か(2023年9月12日)
記録的な残暑が続く本州では「秋の味覚の王様」といわれるマツタケにも大きな影響が出ています。
■達人が悲鳴 マツタケ“不作”か
秋の味覚の王様といえば、庶民の高嶺(たかね)の花「マツタケ」です。記録的な猛暑に加え、雨が少ないことで今、異変が起きています。
午前中から強い日差しが照り付けるなか、12日、東京・上野のアメ横商店街では国産のマツタケが店頭に並べられています。価格は3本、3万5000円。ところが例年に比べ、売り上げは激減。その訳は厳しい残暑だといいます。
清水水産 持丸健康さん:「全然、駄目。暑いせいか、お客さんが出てこない。『暑いのでもう少し涼しくなったら買いに行く』という客が多い」
暦の上では「秋」ですが、気温はまさに「真夏」。「秋の味覚」の購買意欲が低下しているのではないかと店主は推測しています。さらに、国産ものの仕入れは…。
清水水産 持丸健康さん:「平年に比べてすごく暑いのでその影響があると思う。2、3割減っている」
マツタケの産地で何が起きているのでしょうか…。豊作の年には割安になることから、この時期には首都圏からの人々がこぞって買い求めていたマツタケ。
マツタケの生産量が日本一の長野県。番組で以前取材したマツタケ農家の森下さんはこの道60年以上。マツタケ狩りの達人です。今年は異常事態だと嘆いています。
マツタケ農家 森下誠さん(79):「(Q.現段階でマツタケは生えている?)いや、まだ全然、ゼロ。今現在は。とにかく雨が降らなかったのが一番の原因。まとまった雨が全然降っていないので」
マツタケ山の周辺では今年8月の雨量が過去3番目に少なく、2000年以降では最も少ない記録となっていました。太平洋高気圧の勢力が平年よりも強く、晴れる日が多かったため、雨が少なかったとみられます。
マツタケの仲卸業者によりますと、国産の価格は1キロ60万から70万円、1本平均で3万円まで高騰しているといいます。
■ブータン産マツタケに“熱視線”
国産マツタケが値上がりするなか、今、ある国のマツタケが注目され、需要が高まっています。
12日、空輸で届いたのは南アジアの国ブータン産のマツタケです。ブータン産マツタケを専門に輸入・販売している会社です。海外産は他にもあるなかで、なぜブータンなのでしょうか。
ブータン松茸SHOP 植山宏哉さん:「ブータン産は見た目はほとんど国産と変わらない。香りもかなりいい香りがする。国産とほぼ見分けが付かない」
「幸せの国」として知られるブータン。マツタケが生えているのはヒマラヤの奥地、標高およそ3000メートルです。気候は国産マツタケの産地、長野県に似ているといいます。
ブータン松茸SHOP 植山宏哉さん:「標高が高い所で採れるので虫食いが少ない。安定して収穫できている」
ブータンでマツタケは元々、人気のキノコではなかったのが今や貴重な外貨獲得の手段として重宝されています。
ブータン松茸SHOP 植山宏哉さん:「(Q.国産マツタケと比べると値段は?)大体3分の1。国産が高くなった場合には10分の1」
格安なのに品質は国産並みのブータン産マツタケ。ミシュラン三つ星を15年連続で獲得している、都内の店でも使われています。虎ノ門ヒルズにある「日本料理かんだ」です。ブータン産マツタケをあぶったお寿司。コース料理の一つとして提供されています。
日本料理かんだ 神田裕行さん:「8月後半から9月後半にかけて国産マツタケが出る前に一番優秀なマツタケ。中国産や他国産に比べて日本産に種類が近い。鮮度が良い」
国産からブータン産に切り替えた販売店も出てきています。
サン・スマイル 本道由樹子店長:「とても香りが良くて本当に国産かと思うくらい。おいしくいただける。国産よりリーズナブル。今年のマツタケご飯はブータン産でと、気軽に使える」
客(50代):「ホイルに包んで蒸し焼きにした。おいしかった。(ブータン産は)安いので、国産は希少価値で庶民には手が届かない」
食卓にも影響を与える厳しい残暑。この暑さは今月下旬まで続く見通しです。 (C) CABLE NEWS NETWORK 2023
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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