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東山新社長「鬼畜の所業」ジャニーズ新体制を被害者&専門家はどう評価?(2023年9月7日)
ジャニー喜多川氏の性加害問題をめぐり、ジャニーズ事務所は7日、記者会見を開きました。
事務所として、ジャニー氏による性加害を認定。藤島ジュリー景子社長、白波瀬傑副社長が辞任したことを明らかにしました。新しく社長に就任したのは『少年隊』のメンバー・東山紀之氏です。
ジュリー前社長:「ジャニーズ事務所としても、藤島ジュリー景子個人としても、ジャニー喜多川に性加害はあったと認識しております。被害者の皆さまに心よりおわび申し上げます」
東山新社長:「まずは、喜多川氏の性加害を認め、ここで謝罪します。被害に遭われた方々、長きにわたり、心身ともにつらい思いをさせたことを、本当に申し訳なく思います。今後は、この事実に真摯に向き合うため、私は年内をもって、表舞台から引退します。今後は人生をかけて、この問題に取り組んでいく覚悟です。被害者の方々への誹謗中傷は、今後、やめていただきたい。被害者の方々の救済、補償、それを誠心誠意取り組むこと、それこそが、すべての出発点だと考えています。今後の人生をかけ、命をかけ、この問題に取り組んでいきます」
再発防止特別チームから「解体的な出直し」を求められたジャニーズ事務所。長年、使ってきた名前は、変えずに臨むこととなりました。
東山新社長:「そのことに関しても、大変、議論はしました。どうすべきなのかという。やはり、これだけの犯罪ですから、これを引き続き、名乗るべきなのか。ただ、僕が思いましたのは『ジャニーズ』というのは、もちろん創業者の名前であり、初代のグループの名前でもあります。何より大事なのは、これまでタレントさんが培ってきたエネルギーであり、プライドだと思う。その表現の1つでもいいんじゃないかと思ってます」
ジュリー氏は、社長は辞任しましたが、代表取締役として、また100%の株主として、引き続き、会社に残ります。
ジュリー前社長:「代表取締役でいて、補償について議論していく立場である方が、事務所の中で良いと判断して、この形でとどまっております。補償が速やかに進めば、もちろん代表取締役から降りることは考えております。株についてでございますが、これも同じくで、今の時点では、私が100%の株を持っていることが、補償についても非常に進めやすい。被害者の皆さまの救済、そして、今、所属しているタレントも非常に傷ついている部分も多くございますので、その彼らのケアをすることが、私の仕事だと思っております。それ以外のことは、一切、業務執行には関わらないつもりです」
新体制では、第三者委員会が求めていた外部の専門家による『チーフコンプライアンスオフィサー』という役職を作り、ガバナンスの再構築をはかるとしています。
被害者への補償を、どのように行っていくのでしょうか。
東山新社長:「被害に遭われた方、やはり対話というのは必要だと思いますので、双方の理解を深めるためにも、そして意見を交換するという意味でも、会うというのは大事なことだと思っております。提言を受けまして、(被害者が)数百人の可能性があると。大変センシティブな問題ですので、今回は法をこえて救済・補償というのが必要だなと思っている」
第三者を含む委員会を作り、対応する方針です。
そもそも、事務所内で、性加害の事実は把握されていなかったのでしょうか。
東山新社長:「喜多川氏と藤島氏(メリー喜多川氏)は、絶対的な存在。やっぱりそれを正しいと信じていた。今となっては、大変恥じておりますが、エンターテインメントの世界で、やはり絶対的な存在であると。下の者たちは、それを信じ、行動しなければならない状況下にあると。それが被害の拡大を生んだのではないかと考えております。恥ずかしながら、何もできず、何の行動もしていませんでした。ただ、噂としては、もちろん聞いておりました。私自身は被害を受けたことがなく、受けている現場に立ち会ったこともなく、先輩後輩たちからの相談もなかったので、噂という認識はありましたけど、自ら行動するということはできずにいました」
ジャニーズアイランド 井ノ原快彦社長:「僕は、小学校6年生のころにジャニーズ事務所に入りました。そのとき、すでにそういった(暴露)本が出ていまして、周りの仲間たちも『そうなのかな』というような噂をしていました。『そうなったら、どうしよう』っていう話もしてました。ただ、やっぱり被害に遭われた方が、例えば相談に乗ってくるとか、そういうことができない空気はあったと思います。『ちょっとおかしいんじゃないか』『噂、聞いたぞ』と言えなかったのは、本当に今となって後悔しております。言い訳になるかもしれませんですけど、得体のしれない、触れてはいけない空気はありました」
ジュリー前社長:「もちろん報道、暴露本が出ている、雑誌で特集は存じてました。それは、自分の中では、当時、確かめなかったのが私の責任。罪悪感がないなんていうのは全くない。その2人(ジャニー氏とメリー氏)に、私が親族でも物を申せなかった空気が、弊社の本当に歪なところだったと思う。親族だからこそ、もっと何かできることがあったのではないかと。もちろん反省しておりますが、当時は何もできなかったです」
話題は、東山新社長の資質にも及びました。
東山新社長:「(Q.これまでに自身がハラスメントをした認識や、またはそのような指摘を受けたことがあるか)直接、指摘を受けたことはありません。ただ、誤解を招くようなことはあったかもしれません。そのことについては記憶を…考えていますが、思い出せない点も多々あります。そういったことも含めて、今後、自分を律し、対話を続け、そういう問題が起きないようにしていく。それが使命なのかなと考えています」
今回の問題の背景には「マスメディアの沈黙があった」と再発防止特別チームの報告書では指摘されています。
東山新社長:「まず、メディアの方たちとは、対話は必要だと思っています。深いところはわかりませんが、やはり喜多川氏、そして事務所がすべてが悪いんだと思います。そう思わせてしまった。そう感じさせてしまったのは」
ジャニーズアイランド 井ノ原社長:「忖度は日本にはびこってるから。これをなくすのは本当に大変だと思います。だから皆さんの問題でもあり、一緒に考えていく問題でもあると思います。その辺はご協力いただいた方がいいと思います」
会見終盤、ジャニー氏にかけたい言葉があるかと問われると、こう述べました。
東山新社長:「かける言葉は特にありません。本当だったら、この場に彼がいるべき。皆さんからの質問を彼が受けるべきだと思います。やっていることは鬼畜の所業だと思っています。皆それぞれ思いはあると思いますが、少なくとも僕は本当に愛情というのは全くなくなりました」
ファンに伝えたいことは、こう話しました。
東山新社長:「まず過去は変えられないわけです。裏切られたと思ってるファンの方もたくさんいらっしゃると思います。その信頼を再び勝ち取るのは、至難の業だと思ってます。その信頼を勝ち取るのは、やはり個人の力、そして、グループの力が合わさって初めて結実すると思いますので、まずは努力を続けること。そして、信頼を取り戻すこと。それしかないかと思ってます」
ジュリー前社長:「いろいろなことが起きているなかでも、全く変わらず私どものタレントを応援してくださっているファンの皆さまには、本当に感謝の気持ちしかございません。本当にご理解いただきたいこととして、みんなが、そういうことがあって、今、スターになってるわけではなく、1人ずつのタレントが、本当に努力して、そして、それぞれの地位を勝ち取っているので、そこだけは本当に失望していただきたくないですし、誤解もしていただきたくないです。安心して、これからも応援してやっていただきたいと心から思います」
ジャニーズアイランド・井ノ原社長:「ジュニアの子たちにいつも言ってるのは、どんな気持ちでライブに来てくれているのか。これ以上、がっかりさせることのないよう、ありとあらゆる方法で、権力や風通しの話もあったが、たくさんの大人たちの目で見つめていきたい」
10月1日に新体制の詳細なメンバーを発表する予定です。
■ジュリー氏“取締役残留”評価は
被害拡大の背景に、同族経営の弊害が指摘されていましたが、ジュリー氏が役員として残るままで、再出発できるのでしょうか。
企業ガバナンスが専門の青山学院大学・八田進二名誉教授は「救済・補償のためとはいえ、法的にタレント業務について意見を言える立場にとどまることは、同族経営の弊害を完全に払しょくできたとは言えない」といいます。
新社長は、外部の経営者を据える見方もあったが、事務所所属の東山氏が就任しました。東山氏が選ばれた理由について、ジュリー前社長は「今回の問題を振り返ったとき、当時の“ジュニアの皆さんと経営陣に溝があった”のでは。長くジャニーズ事務所に所属してタレントの気持ちが分かる人がトップに立つ方が、溝を作らないという意味で、重要だと思った」としました。
八田名誉教授は、東山氏が選ばれたことについて「新体制を率いるには、健全な組織運営など、専門的な知識・経験のある人でなければならない。ジャニー氏と昔からつながりが深い人物がトップなのは“負の遺産を絶つ”というメッセージとしては弱いのでは。“解体的な出直し”という意味で、例えば、ジャニーズ事務所は補償を担当し、タレント業務は別会社として切り離すことも選択肢としてある」といいます。
■被害者が見たジャニーズ会見
ジャニーズ事務所からの謝罪や補償を求めてきた被害者の皆さんは、ジュリー前社長や東山新社長の言葉を聞き、何を思ったのでしょうか。『ジャニーズ性加害問題当事者の会』は夕方から会見を行いました。
当事者の会 石丸志門副代表(56):「事実認定・謝罪・救済の道が開けた。その点において喜ばしく思う」
まずは第一歩という評価です。
当事者の会 平本淳也代表(57):「ジュリーさんが登壇し、下を見ず、原稿を読むような姿勢ではなく、自身の言葉として、しっかり用意して発言した救済までのメッセージは、ストレートに伝わっている。率直に申せば、期待感が大きい」
大事なのは今後だと、力を込めました。
当事者の会 平本代表:「東山さんの言葉を借りるならば『まだ始まってはいません。すべてこれからです』。まだジャニーズ事務所の問題は払拭できているわけではない。発言が飾りや嘘でないことを願いつつ、今後に期待したい」
再発防止特別チームの会見以降、寄せられる声も増えているといいます。
当事者の会 中村一也さん(36):「当初、自分は泣き寝入り状態だったが、行動すれば、見えなかった景色が見える。恥じることではないと思う。下を向いて歩くよりは、前を向いて勇気ある行動をしてほしいと思います」
明らかになったジャニーズ事務所の今後については、厳しい声も聞かれました。
当事者の会 志賀泰伸さん(55):「ジャニーズ事務所という名前も、変えるべきだと思っている。これだけの性的虐待が行われたという、世界的に見ても人類史上初の出来事になっている。ジャニーの名前を残す事務所は存在してはいけないと思う」
東山新社長がジャニー氏による性被害を認識していなかったと説明したことについては…。
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