収穫した“その日のうちに”物流『2024年問題』解決に光は…新幹線で“荷物輸送”実験(2023年8月31日)

収穫した“その日のうちに”物流『2024年問題』解決に光は…新幹線で“荷物輸送”実験(2023年8月31日)

収穫した“その日のうちに”物流『2024年問題』解決に光は…新幹線で“荷物輸送”実験(2023年8月31日)

物流業界で、トラックドライバーなどの深刻な人手不足が見込まれる『2024年問題』。長距離・長時間の輸送への対応策として、期待されているのが新幹線です。31日に新幹線を使った、荷物輸送の実証実験が行われました。

JR東日本が手掛ける、新幹線荷物輸送。今回初めて、臨時列車に荷物だけを載せ、車両基地で積み下ろす形式で行いました。荷物の中には、非常に鮮度が大事な特産品がありました。新潟市西区で栽培される『くろさき茶豆』。鮮度を保つため、深夜に行われる収穫は、とにかくスピードが大事です。

青木農場 青木弘社長:「気温が低い方が枝豆の鮮度が落ちないので、なるべく気温が低いうちに、枝豆が休眠状態の時に収穫」

くろさき茶豆は、その味から非常に評価が高く、新潟を代表するブランド枝豆です。しかし、輸送に課題がありました。

青木農場 青木弘社長:「県外のお客様に届けていたが、当日採れたものを当日届ける仕組みはなかった」

そのため、新幹線輸送には期待を寄せています。

青木農場 青木弘社長:「多分、トラックを手配して走らせることも可能ではあったが、やはりかなり高コストになります。(Q.新幹線はトラックより安くなる)それは期待している。2024年問題、トラックの輸送の問題も目前に迫ってますし、JRの新幹線を利用した農産物の輸送は、非常に魅力を感じている」

物流業界で大きな懸念を生んでいる『2024年問題』。これは来年4月1日以降、トラック運転手の年間の時間外労働が960時間に制限されることで発生する、様々な問題のことです。長距離や長時間の輸送が困難となるため、希望する時間に運べない、運賃の値上げ、収入減によるドライバー離れなど、問題は多岐にわたります。

ツバメロジス 山田剛弘社長:「長距離ドライバーはだんだん高齢化していっています。以前は長距離に出て稼ぐのが主流だったんですが、今新たに応募してくるドライバーは、毎日家に帰りたい人が圧倒的に多い」

新潟県燕市の物流会社でも頭を悩ませています。その対策の一環として始めたのが、海上輸送。今月から週に1回、新潟から北九州の港まで運んでいます。

ツバメロジス 山田剛弘社長:「(海上輸送は)一度に大量の貨物を輸送できるので、トラック1000台分の貨物を1回で運べるので、すごいメリット」

ドライバーは、それぞれの港との往復のみなので、長距離運転や荷下ろしといった負担から解放されます。とはいえ、まだ始めたばかりなので、軌道に乗るのは先のことだといいます。

今回、上り列車では、鮮魚や野菜、精密機器の部品など700箱が積み込まれました。東京までかかる時間は2時間25分。今回、お客がいないことで、駅での時間制約がなくなり、運ぶ量を増やすことができました。

JR東日本マーケティング本部 堤口貴子マネージャー:「やはり鮮度が求められる農作物とか水産物とか。最近多いのは、検体や血液とか時間、定時制が求められるもの。そういうものを運んでほしいというご意見をいただいている」

JR東日本では、来年度以降の事業化を目指しています。

新潟市のくろさき茶豆の一部は、発送から約9時間後、茨城県つくば市のスーパーに並べられました。

お客さん:「朝、新潟で採れたものが、午後3時ぐらいで茨城で食べられるってすごい」

BLANDE研究学園 高野康詔ストアマネジャー:「鮮度という部分は、お客様が1番気にしているポイントの1つなので、それを実現できているところが、お客様にとって本当に楽しんでいただける要素の1つだと思っています」

■新幹線“荷物輸送”の実力

新幹線輸送は、2024年問題への答えとなり得るのでしょうか。

物流の2024年問題では、ドライバーの時間外労働の制約や、そもそもの人手不足により、このまま何もしなければ、2030年にトラックの輸送能力が約3割不足すると言われています。こうしたなか、新幹線の活用なども選択肢の1つとして期待されています。

JR東日本は、来年度以降の運行を考えていて、今回のような実験を繰り返すことで、どれだけの量の荷物をどのように運べば採算が取れるのか、検討している段階だということです。

今回の実験では、実際に鮮魚・青果・菓子・酒類・生花・精密機器部品・医療用医薬品などが運ばれました。

新幹線での輸送はトラックに比べて、速さ・安定性に優れているのが特徴です。例えば、今回の新潟-東京間では、トラックに運ぶのに比べて約1時間半の短縮できたということです。

さらに、新幹線は振動が少ないため、揺れに弱い海産物や精密機器などの輸送に向いているといいます。

ただ、新たに駅などをつくるのではなく、あくまで通常のダイヤを崩さず、今の設備を生かしながら運ぼうとしているので、まだ課題は多く、今後も実証実験を繰り返していくということです。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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