【報ステ解説】埋まらぬ労使の溝…背景は?西武池袋あすスト決行“臨時閉館”(2023年8月30日)

【報ステ解説】埋まらぬ労使の溝…背景は?西武池袋あすスト決行“臨時閉館”(2023年8月30日)

【報ステ解説】埋まらぬ労使の溝…背景は?西武池袋あすスト決行“臨時閉館”(2023年8月30日)

海外の投資ファンドへの売却をめぐって揺れる『そごう・西武』。労働組合がスト実施を決定し、西武池袋本店は31日、全館臨時休業となります。

早速、影響を受けたという人がいました。
ストで予約が延期になった人:「足のネイルのお店があるので、1カ月に1回来ているけど、まさに明日が1カ月前に予約して、朝10時の予約だった」

大手百貨店のストは約60年ぶり。1962年、阪神百貨店での24時間ストが最後です。このとき、組合側が要求したのは、賃上げでした。しかし、今回のストは、賃上げをめぐる闘争ではありません。

親会社のセブン&アイ・ホールディングスは、去年11月、そごう・西武をアメリカの投資ファンドに売却することを決定。当初、今年2月の売却を予定していましたが、2度にわたり延期されていました。売却をめぐって、調整が難航していたからです。

売却後には、西武池袋本店にヨドバシカメラが入る予定で、北側の地下1階~地上6階に出店する案も出ていました。百貨店の売り場が縮小すれば、従業員の雇用が脅かされることになります。

従業員らは、百貨店事業の継続と雇用の維持を訴え、署名活動を展開していました。労働組合側は、セブン&アイも含めた労使交渉を繰り返してきましたが、折り合いがつかず、スト突入という結果となりました。
そごう・西武労働組合の寺岡泰博委員長:「雇用については最大限守る。本当にそれがその通り着地できるかどうかは聞いたばかりですし、検証はできていない」

池袋は、百貨店がひしめく巨大な繁華街へと発展していきました。その中でも西武は、街をリードする存在。糸井重里さん考案の『おいしい生活。』というキャッチコピーとともに、消費文化の発信拠点として、人々をひきつけてきました。

しかし、バブル崩壊と流通環境の変化によって、百貨店そのものが衰退の憂き目に。そごうとの合併、そして、セブン&アイによる子会社化という状況に追い込まれていきました。コロナ禍もあり、4年連続の赤字。その末の売却です。

セブン&アイは、31日に臨時の取締役会を開き、9月1日付の売却を決定する方針です。
婦人服売り場で働く人:「私たちもどこに移るのか、残れるのか。西武さんとメーカーさんとの話し合いだと思うので、私たちはそれに従うだけ。もう少し私も働きたいので、どうにか頑張ってほしい」

百貨店の街として親しまれてきた池袋。反応はさまざまです。
都内在住60代:「ここ何日かはもっとショックが大きい。私たちの時代はマンションにクローゼットの備え付けがなかったので、クローゼットとかをここで用意した。そこから何十年も外商さんもついている。ヨドバシが…(家電量販店は)いっぱいあるので、ちょっとねと。秋葉原化しちゃうのかなと」
都内在住10代:「(Q.家電量販店が入る予定。率直にどう思う)家電量販店が入ることで、より多くの人が足を運ぶきっかけになるのでは。格式高いのが、敷居が下がる感じがするので」
都内在住70代:「緩やかに変わってほしい。(Q.何を残してほしい)おおらかなこと。すぐ『買ってください』ではない。ウィンドウショッピングしてても『いらっしゃいませ』と迎えてくれる」

※なぜ、ここまで対立してしまったのか。

そごう・西武の労働組合が、ストライキを行う目的に挙げているのが、売却後の雇用維持と百貨店事業の継続です。

セブン&アイ・ホールディングス側は、西武池袋本店のリニューアルに伴い、余剰人員が発生する可能性もあるが、そごう・西武の新規事業や他店への配置転換などで対応し、当社も適切な範囲で人員を受け入れる予定だといいます。

ただ、労働組合側は「株式が譲渡されれば、資本関係がなくなり、直接的な関与はない」「雇用確保や事業継続は本当に大丈夫なのか納得感を得られていない」としています。そのうえで、9月1日に株式譲渡をしないことを、ストライキ解除の条件としています。

経営学が専門の早稲田ビジネススクールの入山章栄教授は「株主から求められて厳しい状況の百貨店事業を売却するという経営判断自体は理解できる。ただ、労働組合に加えて、豊島区や一部テナントからも反対意見が出ていた。こういう状況のなかで、売却を急ぎすぎたのではないか。説明不足があったことは否めない」と話します。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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