北方領土「貝殻島灯台」で異変 “十字架”設置?地元から不安の声 ロシアの思惑は…(2023年8月30日)
ロシアが実効支配する北方領土。歯舞群島の貝殻島にある灯台で、異変が起きている。9年ぶりに点灯したり、十字架のようなものが設置されたりしていて、地元から不安の声が上がっている。
■ロシア国旗が掲げられた貝殻島灯台
去年3月、水曜コメンテーターの杉村太蔵さんが「異変が起きている」という貝殻島を取材していた。当時は点灯していなかった灯台だが、今月27日の映像を見てみると、点灯していることが分かる。およそ9年ぶりのことだという。
さらに貝殻島灯台を巡っては、ここ1カ月にわたり、様々な動きが確認されている。先月27日に撮影された写真には、灯台の最上部にはこれまでなかったロシア国旗が掲げられていた。
さらに、灯台の色にも変化があった。元々、灰色だったのだが、24日には灯台が白く塗られていた。この様子を見ていた人がいる。
北方館 岩山幸三館長:「こちらから見て縦に3分の2くらいは塗られていましたけど、3分の1くらいは塗られてなかったんです。それが見ている間にだんだん上から白くなってきましたので、塗っている作業をしていたんだと」
また、この写真を撮影した根室市に住む成田友美さんによると、灯台の付近には小型ボートのようなものがあり、ライフジャケットを着た3人の姿があったという。
■様々な動きを見せるロシアの思惑は?
さらに、ロシア・サハリンでは、ロシア正教会の大司教が貝殻島灯台に掲げる十字架や「イコン」と呼ばれる宗教画をロシア軍に渡したとされていた。しかし、26日には貝殻島灯台に十字架のようなものが掲げられていた。
貝殻島灯台を巡り、様々な動きを見せるロシアの思惑とは。
東海大学 山田吉彦教授:「日本に対して常に牽制(牽制)をしていく。ロシア側がウクライナ問題を日本に再考させるために有効だと思っている手法の一つに北方領土問題がある。そのなかで、貝殻島の灯台の管理を見直すという動きが始まったのだと思う」
■先行きへの懸念 地元漁師「漁業範囲に影響が…」
北方領土と言えば漁業権の問題もあるが、漁師は一つの懸念を訴えている。
24日、中国は日本政府が福島第一原発の処理水の海洋放出開始を受けて、日本産の水産物を全面禁輸にした。
こうした状況を見てなのか、動いているのがロシアだ。
ロイター通信によると、ロシアの食品安全監視当局は25日、「中国への水産物輸出の拡大を目指す」と発表した。ロイター通信は「中国が日本の水産物を全面禁輸したことを受けた動きだ」と報じた。
今年1月から8月におけるロシア産水産物の輸出の半分以上が中国向けだそうで、主な品目はニシン、ヒラメ、イワシ、スケトウダラ、カニなどだったという。
こうしたロシアなどの動きについて、根室で漁業を営む飯作鶴幸さん(79)は「自分たちの漁業範囲に影響が出てくることは大いに考えられる。困るのはいつも末端の立場の弱い人たちだ」と先行きへの懸念を示していた。
(「大下容子ワイド!スクランブル」2023年8月30日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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