【報ステ解説】中国“強硬対応”の理由・対中外交ポイントは?処理水放出“嫌がらせ”(2023年8月28日)

【報ステ解説】中国“強硬対応”の理由・対中外交ポイントは?処理水放出“嫌がらせ”(2023年8月28日)

【報ステ解説】中国“強硬対応”の理由・対中外交ポイントは?処理水放出“嫌がらせ”(2023年8月28日)

福島第一原発の処理水放出をめぐり、中国は、日本産水産物の“全面禁輸”に続いて、日本産の水産物を使った加工食品の製造や販売なども禁止にしました。

◆前中国総局長で、いまは、官邸キャップの千々岩森生記者に聞きます。

(Q.日本政府は科学的な根拠を示しています。拒否反応を示す人は一定数いると思いますが、中国は度を越して、国を挙げて日本へのこの仕打ちはひどくないですか)
ひどいですね。明らかに理不尽だと思います。ただ、中国外交を見てきた立場からすると、非常に中国らしいです。中国は、力の外交です。何か気に食わないことがあれば、力で押していく。今回の対応は、私からすると、またやっているなという感じはします。科学的根拠とかではなく、日本にプレッシャーをかけられる。外交カードとして使えるという面。そして、もう一つ、国内事情があります。若者の失業率、経済の先行きが不透明。いろいろな問題が出てくるなかで、目を国外に向けようと、ちょうどいい材料があったという部分もあったと思います。

日本政府は、中国が水産物の輸入を全面禁止した際には、禁止措置の即時撤廃を求める申し入れを行いました。国連でも処理水放出の批判に対して、石兼国連大使は「科学的根拠に欠ける主張は受け入れられない」としました。そして、28日は、駐日中国大使を呼び、中国国民に冷静で責任ある行動を呼びかけるべきとの申し入れを行っています。

(Q.こうした日本政府の声に、習主席は耳を傾けますか)
しばらくは、理不尽ではありますが、こうした問題は続くと思います。日本政府は対応を取っていますが、政治は結果です。日本にとって好ましくない状況がつくられているわけですから、十分な対応ではなかったといえると思います。例えば、日本が誇る和牛。実は、中国は、全面輸入禁止しています。あまり知られていないかもしれませんが、20年前のBSEの問題で、いまも輸入禁止しています。交渉の限界がある国というのも事実です。

(Q.今後、日本は、どういった対応を取ればいいのでしょうか)
一つは、中国に直接というのは難しいが、その周り。中国に誤算があったのは、恐らく韓国がついて来ると思った。海を共有している太平洋の国々がついて来ると思ったが、事実上、これだけの措置を取っているのは中国だけです。この環境をうまく外務省を作り上げていく。

(Q.つまり中国が孤立しているということをわからせるということですね)
そうですね。そこには一つ意味があると思います。そして、来週にはASEANの会合、G20が開かれます。ASEAN首脳会議には岸田総理、李強首相が参加。G20には習主席が参加します。こうしたところで、いかに対話の機会を作って、直接、情報を入れていくかということです。いま、中国国内では、都合が悪い情報は、習主席には、なかなか上がりません。年々、こうした状況が強くなっていますので、岸田総理が直接、正しい情報を入れることが、何より大事だと思います。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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