異変!電気代高騰で…猛暑なのにエアコン“発注減” 節電の仕方に「二極化」も【Jの追跡】(2023年8月26日)

異変!電気代高騰で…猛暑なのにエアコン“発注減” 節電の仕方に「二極化」も【Jの追跡】(2023年8月26日)

異変!電気代高騰で…猛暑なのにエアコン“発注減” 節電の仕方に「二極化」も【Jの追跡】(2023年8月26日)

日本有数の“暑い街”、群馬県館林市のエアコン取り付け業者に密着しました。電気代の高騰から、省エネエアコンへの買い替え依頼が急増していました。さらに、「暑さはそんなに感じない」という89歳の父親のために、エアコンの取り換えを依頼する息子の姿もありました。

今年の夏は、ある異変が起きていました。例年だと、エアコンの在庫がなくなっているはずのこの時期、倉庫には在庫であふれ返っていました。

節電に関連しているという、その意外な理由とは…。また、落雷後にエアコンが故障した人もいました。火災にもなりかねないその注意点とは…。

エアコンを巡る“灼熱の町”の異変を追跡します。

■省エネタイプへ交換「電気代が下がるかなと」

日本有数の“暑い街”として知られる、群馬県館林市。梅雨明け前から、猛暑が続いています。駅前のタクシー乗り場では、あまりの暑さでタクシーが動かなくなったといいます。

タクシー運転手:「だめだめ!これオーバーヒートしたから。後ろの車に乗って。これ今、修理しているんだよ」「温度の針が上がり切った。こういう時は仕事しなくたっていいんだよ…」

そんな“灼熱の街”で、大忙しの電器屋さんがあります。創業66年の「ヤマノイ電器」です。

山野井秀樹社長(61):「きょうは、これからエアコン3台だけど、エアコンの交換」

エアコンの取り換え作業。その陣頭指揮を取るのは、兄の秀樹社長と弟の直樹専務(56)です。

この日、緊急の連絡を受け、秀樹社長は館林市内にある戸建て住宅に向かいました。現場は、2階の寝室です。

エアコンは備え付けられていますが、およそ10年前に買ったエアコンの調子が悪く、冷房をつけた状態でも、室温は29.5℃。サーモカメラで測ってみると、ベッドの表面温度は30℃を超えています。

エアコンの取り換えを依頼 40代女性:「エアコンが冷えず、夜かなり熱がこもってしまって…。寝られない状態くらいに暑い」

しかし、依頼した理由は“エアコンの利きが悪い”というだけではなく…。

40代女性:「(エアコン4台を)回しっぱなしにしたりしているので。(暖房を使う)冬場は8万円いっちゃって…エアコンを交換すれば、その分(電気代は)下がるのかなと」

これまで使っていたエアコンを取り外し、最新型のエアコンに交換しました。

環境省によると、およそ10年前のエアコンと最新モデルの電気代を比較すると、10%ほど差があるといいます。

秀樹社長:「電気代の高騰は目に見えて分かっているので、ほとんどが省エネタイプが売れている」

室外機を設置するため、クレーンを使ってつり上げ、日差しが直接降り注ぐ屋根の上で作業します。

ヤマノイ電器 スタッフ:「足が熱いですよ。じわじわきている…。(靴は)割と厚底なのに、熱い」

それも、そのはず。屋根の上の表面温度は、70℃近くまで上昇しています。その熱を直接受ける靴は、真っ赤になっています。

作業開始から2時間で、エアコンの取り換え作業が終了しました。

40代女性:「涼しい!」
秀樹社長:「まだつけて5分ぐらい。これが本来のエアコンの在り方だよ」

40代女性:「節電にもなると言っていたし、やっぱり冷えるのでうれしいですね」

■89歳父のため 20年使ってるエアコンを交換

続いて、弟の直樹専務が向かったのは、一人で暮らす89歳男性のお宅です。およそ20年前から使っているエアコンを新しい物に取り換えてほしいといいます。

依頼したのは、普段は離れて暮らす息子です。

息子(55):「本人は(暑さを)あまり感じていないみたい」「(Q.暑さに気づきにくいのが心配?)心配よね、ちょっと離れているからね…。今のエアコンは性能がいいので、燃費も悪くないから、やってもらおうと」

父親:「あそこから(風が)吹き抜けていますから。ここにいれば、結構涼しいんですよね」

しかし、部屋の温度を確認すると…。

息子:「30℃だね」
父親:「うちの“気象台”だからね、気温も分かるし湿度も分かる」
息子:「暑いよね、大丈夫?」
父親:「暑いけど、暑いって言わないさ。すましているフリ…」

直樹専務:「だいぶ弱っちゃっているな…。一応冷えてはいるけれど、能力的にはだいぶ落ちているね」

息子の説得もあり、エアコンを取り換えることにしました。20年間使い続けたエアコンは、茶色く変色し、ほこりがびっしりです。

そして、最新モデルのエアコンに生まれ変わりました。「暑い時は電気代を気にせず使ってほしい」それが息子の願いです。

父親:「おー、風力が強いね」
直樹専務:「前と同じ時間使ったとすると、おそらく(電気代は)3分の2ぐらいにはなる」
息子:「毎朝、毎夜、連絡は取っているけれど、ちょっと離れて暮らしてるから、これで一番安心できると思います」

■節電の仕方に「二極化」 在庫が山積み

この夏、依頼の多くが「最新型の節電ができるエアコンに取り換えたい」というもの。猛暑続きで依頼殺到!かと思いきや…“ある異変”が起きていたのです。

去年の同時期に取材した映像には、エアコンを保管する倉庫に、在庫がほとんどありません。今年も倉庫に案内してもらうと、エアコンがまだ山積みです。

秀樹社長:「今年は、まだまだありますね…。(例年だと)予約でいっぱいになっていて、そろそろ在庫がなくなる時期」

一体、なにが起きているのでしょうか?

秀樹社長:「電気代の高騰等で、なるべく使わないようにしようと。(エアコンの)使い控えをしてる気がする」

例年、エアコンを使い始める時期になると、冷えが悪いなどの故障の問い合わせが殺到します。

それに伴い、エアコンの取り換え依頼が続々と入るのですが、今年は節電を意識するあまり、これだけ暑くてもエアコンを使わずに我慢している人が多いようだと秀樹社長は言います。

秀樹社長:「例年は5月くらいから忙しいけれど、(今年は)5月6月で付ける台数は例年よりも少なかった」

電気代の高騰によって、「省エネエアコンに買い替える人」、そして「なるべく使用を控える人」、節電の仕方に「二極化」が起きていたのです。

■夏に多い意外な故障原因とは?

暑さ厳しいこの街で、なくてはならないエアコン。そういったなか、「全く動かなくなった」とのSOSがありました。駆け付けると、まさかの原因でした。

依頼者は、この家に住む61歳の男性です。応接間のエアコンの電源が入らないといいます。

男性:「全然動かない…。雷が落ちて壊れた。7月11日の雷で壊れて、その日は午後6時から8時半まで停電だった」

先月11日、ゲリラ雷雨に見舞われた館林市。この時、自宅近くに雷が落ちたといい、それが原因ではないかというのです。

早速、動かないエアコンを外し、中を見てみると…。

秀樹社長:「(Q.黒ずんでるのは雷が原因?)熱を持って、焼けてしまった。エアコンで使えるように電気の種類を変えるところなんだけれど、そこがダメになってしまった」

エアコンを動かすのになくてはならない部品の一部が、黒く焼け焦げてしまっていました。

秀樹社長:「(Q.雷で壊れたというのは多い?)多いよ。毎年、何十件。新しい製品で部品があれば修理もできるけど、この(エアコンは)部品が全くない状態」

NITE=製品評価技術基盤機構は、エアコンなど雷によって故障した製品は電気が復旧した際に発火する恐れがあるとし、再使用の際は十分注意するよう呼び掛けています。

およそ20年前のもので交換部品がなく、新しいエアコンに取り換えます。

男性:「うん!涼しくなって幸せですね!」

電気代の高騰と記録的な猛暑。街の電器屋さんとして、この夏も客のニーズに応えたいといいます。

秀樹社長:「これから使い始めると故障や冷えが悪いとか…。(今後、依頼が)集中しそうな気配がする…。俺たちがいることによって、お客さんが『良かった』と思ってもらえるというのは、心のどこかにいつもある」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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