新潟襲う“水不足”コシヒカリ被害 “泳ぐ宝石”にも影響(2023年8月22日)
■農家「60年で初めて」 現場の危機
限りなく田んぼが広がる新潟県南魚沼市。周辺で最高気温が38.4℃の猛暑日に。22日、全国で上位2つを記録したのは新潟県です。魚沼産コシヒカリを育てて60年、ベテラン農家の中島さん(81)はかつてない異変を感じています。田んぼに水を引くための用水路は。
魚沼産コシヒカリ農家 中島善高さん:「これくらいしか水が来ない。これで水を入れても全部に行き届かない。父親から受け継いでからこういうこと(水不足)はなかった」
稲の下の土を見ると、干からびて、ひび割れています。
魚沼産コシヒカリ農家 中島善高さん:「こうなっちゃう。ひび割れしちゃって根が途切れちゃう」
周辺では今月、10ミリ以上の雨が降ったのはわずか一日。21日までの過去30日間の雨量は平年の18%しかありません。新米の収穫を目前に、稲は水不足による異常が。
魚沼産コシヒカリ農家 中島善高さん:「白穂というのはこれ全然、実が入っていない。つぶを押しても実が入っていない」
水分が著しく足りないことで実が付かない「白穂」と呼ばれる被害。田んぼのおよそ2割で部分的に「白穂」が出ているといいます。
記録的な「猛暑」と「水不足」。新潟県では、農業用水を供給するダムが枯渇しています。21日の時点で県内の2カ所のダムで貯水率が0%に。8カ所が10%未満になっています。
水田に水を補給している早出川ダム。去年8月の平均貯水率は92.7%でしたが、今月は29年ぶりに貯水率が0%になりました。新潟県内では7月下旬からまとまった雨がほとんど降っていませんでした。
ダムの上流では、21日の夕方にかけてようやく激しい雨が降り、現在はダムの貯水率が14.2%まで回復したことが22日午後に分かりました。
継続的な雨を待ち焦がれる米農家の中島さん。自宅近くを流れる用水路から水を吸い上げ、トラックに積んだタンクへ。田んぼに1000リットルの水をまきますが「焼け石に水」です。
魚沼産コシヒカリ農家 中島善高さん:「畳1枚分くらいしか濡れない。乾いちゃって。なかなか、天気と勝負ですからうまいこといかない」
水不足の被害は農作物だけではありません。
■“泳ぐ宝石”錦鯉にも危機 襲う“水不足”
日本が世界に誇る特産品にも深刻な影響が及んでいます。「泳ぐ宝石」と呼ばれ、高値で取引されている錦鯉です。
インドネシアから来た人:「日本の職人が育てる錦鯉は世界で一番だよ。スバラシイ」
2019年には1匹、なんと2億300万円で取引されたことも。その「泳ぐ宝石」錦鯉の養殖場では水不足で大きな危機が。
松田養鯉場 中野陵さん:「コイが酸欠を起こして12匹死んでしまった。そこの池に入れていた分は全滅した。雨が全然降らない、猛暑が続いているのが一番の原因」
錦鯉の養殖が盛んな新潟県長岡市。22日、別の養殖場を取材すると稚魚を育てる池の水が極端に減っていました。
かんの養鯉場 平沢和寛さん:「春に小さい稚魚を放す時に満杯だった。この土のここら辺まで水があったが今はなくなった」
「水不足」で池が干上がる寸前に。長岡市では今月1日に10ミリ以上の雨が降ったのを最後に20日間ほど、まとまった雨が降っていません。さらに、猛暑が続いている影響で水温は40℃近くまで上がっているといいます。
かんの養鯉場 平沢和寛さん:「手を突っ込んでも熱いくらいのお湯になっている。これはダメだと思ったので網を引いて他の池に錦鯉を移動した」
錦鯉は価格の相場がなく、オークションなどで高値が付くため、水不足の影響で成長に支障が出れば死活問題になりかねないと危惧しています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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