中国人団体客解禁へ…“中間層”来日で経済効果は?(2023年8月21日)

中国人団体客解禁へ…“中間層”来日で経済効果は?(2023年8月21日)

中国人団体客解禁へ…“中間層”来日で経済効果は?(2023年8月21日)

中国で今月、コロナ禍で禁止されていた日本への団体旅行が解禁されました。

北京の旅行会社では、日本行きツアーの対応に追われています。
『康輝』日韓部担当・曹雪さん:「子ども連れの家族旅行プランが一番人気です。お客さまは、より深く日本文化を理解したいようです。撮影や文化体験などの旅行を計画しています」

4泊5日のツアー。23日に19人の一行が羽田空港に到着します。初日は浅草、そして、予定の3日目は、神奈川県鎌倉市を訪れます。アニメ『スラムダンク』に描かれた江ノ島電鉄・鎌倉高校前の踏切。旅行者に大人気の撮影スポットです。

住宅街と密接しているこの場所に、21日も多くの人がいました。

鎌倉市では、現在、土日と3連休の祝日など人出が見込まれる日に交通誘導員を配置して、線路や住宅地に立ち入らないよう声掛けをしています。これ以上、人が増える場合は、平日にも警備を増やすことを検討しているそうです。

鎌倉に来ていた人:「めっちゃ海外の人ばかりで、一瞬、外国かと思う」
鎌倉に来ていた人:「お店にも入りにくくなっている」

鎌倉市では、混雑状況が見られる地図をつくり、行きたい場所が混雑していても空いている別の文化施設の魅力を知ってもらえるよう努めています。

実際に、まだ余裕がある場所もあります。海の近くにある光明寺です。
光明寺執事・香川法雄さん:「(街の)外れですから、外国人は前よりはお越しいただきますけど、徐々にということですね。日本の文化に、直接、触れて、日本がいいな、また日本に行ってみたいなと思っていただけたら一番いい」

山梨県・忍野村。富士山を水源とする8つの神聖な池がある世界文化遺産構成資産の一部です。以前は、団体客でごった返し9割が中国からの観光客でした。21日は、さまざまな国からの観光客で混雑していましたが、中国の人はまだ少ないようです。

お店の人:「(Q.中国人向けの看板はいつから)2週間くらい前。(Q.中国人団体客が戻ると売り上げは)3~4倍は違うと思う」

売り上げが激減したこの3年半。支えてくれた日本のお客さんに感謝していますが、複雑な心境も。
お店の人:「日本人のお客さんが『騒がしいから行くのよそう』ではなく、一緒にお客さんとして、富士山をというのがベスト」

待ちに待っていた施設もあります。
もともと中国からの団体客を見込んでオープンしたホテルも、満室になっていました。
ホテル縁の杜河口湖・小栗猛支配人:「なかなか中国からの入国がありませんので、韓国、台湾、東南アジアを中心に受け入れている現状。お客さまの絶対数が増えるのは、ホテルとしては、当然、ウエルカム。いろんな土地で消費、お金を落としていただくので、こちらとしては期待している」

団体旅行の移動に欠かせないのが、観光バスです。
以前は、団体客が9割を占めていたバス会社では、コロナ禍で仕事が10分の1に減り、生き残りのため事業を縮小。日本の利用者に切り替えてバスを稼働させてきたそうです。
サンシャイン観光・神林勇男社長:「(コロナ禍は)大学の送迎の仕事。うれしいです。仕事がないから1日1台でも動くと」

観光客が戻っても、送迎は断れません。「受け入れたくても受け入れられそうもない」という状況なのだといいます。
サンシャイン観光・神林勇男社長:「もし、いっぱい来ると対応が難しいです。運転手が足りないし、安全や技術が必要なので、そう簡単には(運転手を増やせない)命のために」

◆中国総局長・冨坂範明総局長に聞きます。

(Q.日本への団体旅行、中国国内での温度感はどうなのでしょうか)
旅行好きの人にとっては“待ちに待った”という感じかと思います。日本は、中国から一番近い外国の一つですし、アジアの中でも人気の観光地です。今回、取材したいくつかの旅行会社も、皆さん口を揃えて「コロナ前より人出が戻って来ることを期待する」と言っていました。というのも、団体ビザの場合、個人ビザより取得が簡単になっているからです。個人ビザの場合、年収や資産など、経済力が確認できる書類か、学生の場合は、大学の在学証明書などが基本、必要となっていました。そのため、富裕層でない人は、個人ビザは取りづらくなっていました。団体になりますと、ビザが取りやすくなるので、旅行者の対象も富裕層から中間層にまで広がる可能性があります。これまでは、富裕層が多く来ていたこともあり、高級店などの需要が見込まれていましたが、中間層が多く日本に来るようになると、庶民的な店など、より幅広い価格帯の店にも経済効果が期待できそうです。

(Q.観光客が一気に増えることへの懸念もありそうですけど、どうでしょうか)
確かに懸念はあると思いますが、どのくらいのペースで、どのくらいの観光客が増えるかは、まだ未知数かと思います。というのも、団体旅行は解禁されましたが、そもそも中国から日本への航空便は以前より少ないですし、空港で働くスタッフなども足りていないという話も聞いています。今後、航空便が増加して、ツアーの値段が下がって来ると、旅行客は増えて来ると思いますが、一気に大量の観光客が押し寄せる状況には、すぐにはならないのかなと思います。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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