最古の不二家店舗 86年の歴史に幕 ガラス張りの革新的建築 「また会える日を」【もっと知りたい!】(2023年8月21日)

最古の不二家店舗 86年の歴史に幕 ガラス張りの革新的建築 「また会える日を」【もっと知りたい!】(2023年8月21日)

最古の不二家店舗 86年の歴史に幕 ガラス張りの革新的建築 「また会える日を」【もっと知りたい!】(2023年8月21日)

 横浜市で86年間、地域の人々に愛されてきた洋菓子店が20日夜、建物の老朽化に伴い閉店しました。昭和、平成、令和と3つの時代にわたって多くの人を喜ばせてきたお店の最後の一日を取材しました。

■現存最古の不二家が閉店「寂しい」

 不二家 寺下泰司部長:「本日のこの時間をもちまして、不二家 横浜センター店、いったん閉店させていただきます。また、皆さんお会いしましょう。ありがとうございました」

 男性:「この建物がなくなっちゃうのかなって寂しいですね」

 20日、惜しまれながら閉店したのは、横浜市内にある不二家。全国展開するチェーン店の中で、最も歴史のある店舗です。

 「不二家 横浜センター店」は、地元住民や観光客も訪れる商店街「イセザキ・モール」にあります。人気アーティスト「ゆず」が、路上ライブをしていた場所としても知られています。

 ケーキやおなじみのお菓子の販売だけでなく、レストランも併設しています。ハンバーグやエビフライは人気メニューの1つです。

 モダンなガラス張りの建物ができたのは、86年前の1937年。伊勢佐木町のランドマークとなるべく、チェコ出身の建築家に依頼し、設計されました。不二家のキャラクター「ペコちゃん」が誕生する十数年前のことです。

 メリークリスマスの文字やクリスマスツリー。不二家では、当時からクリスマスケーキの販売もしていました。外観の別の写真を見ると、「防諜強化」の文字がありました。太平洋戦争へと向かう当時の様子を物語っています。

■建物の老朽化…建て替えすることに

 横浜市に住む67歳の男性は、亡くなった母親から戦前と戦後の不二家について話を聞いていました。

 片倉政美さん(67):「(母によると、戦前は)不二家の2階にパイプオルガンがあったそうなんですよ。戦争が終わって、ここが進駐軍に占領されて、兵隊さんたちの食事やお茶を飲む場所になったんですよね。この前を通り掛かると、2階のガラス窓に進駐軍の兵隊さんがいて、上から下を見下ろして何か笑っているんだそうです。屈辱感というか、悔しい感じで、戦争に負けたんだなという思いをしたと言っていました」

 戦前、戦後、長い歴史が刻まれた店だけに、建物の老朽化は否めません。

 かつては5階まで、レストランや宴会場がありましたが、老朽化などの理由から現在営業しているのは、1階のみです。検討を重ねた結果、建て替えすることを決めました。

 男性(80代):「病気して何か食べたいとか、お祝いというと不二家のケーキ」

 娘(50代):「建て替えをするというのを知って、最後に来てみたいなって来ました。“思い出がある”ってことなんで」
 母(80代):「クリームあんみつが食べたいわって」

 祖母(70代):「必ず月1回は子どもたちを連れて」
 孫(7):「(Q.何がおいしいの?)(キッズメニューの)ペコポコボックスがおいしい」

■最終日に…長年勤めた元従業員の姿も

 不二家の向かいで70年近く営業する蕎麦屋の男性も寂しさを隠せません。

 そば処戸隠 斎藤寿常務:「食べる所が非常に少なかったんですよね。そういう関係で不二家さんとか、うちとか、ものすごくにぎわっていて。老舗の所が、一時閉まっちゃうので、ちょっと寂しい気もしますよね」

 最終日の開店直後、特別な思いを持つ女性が訪れました。長年、この店で働いてきた出登志子さん(74)です。

 出さん:「50いくつで辞めたから、もう二十何年経つの。やっぱりここが好きでね、来ています」

 自宅で、当時の写真を見せてもらいました。

 出さん:「これそうだよ。横浜センター店の入り口。37、8歳の時かもしれないね。センター店っていうのは、入社したのもあそこ、辞めたのもあそこ。やっぱりセンター店がなくなっちゃうとね、やはり寂しいなと思うもんね」

■全面ガラス 当時としては革命的な建築

 家族と来た思い出、働いていた思い出、それぞれの思いがあるなか、横浜センター店について、大学や美術館を手掛けてきた建築家は当時としては革命的な建築だったと話します。

 東京芸術大学 山本理顕客員教授:「1937年というと関東大震災の後、10年ちょっと経ったくらいですよね。1936年に郵船ビルができているんですよ。ほぼ同じ時代に建てられています。本当にびっくりしますよね。全面ガラスで角もガラスでしょ、角がガラスなんてことあり得ないですよね。中で何をしているか、外を歩いている人から見えますよね。日本でも最初の建築。ヨーロッパでも新しい建築だったと思います」

 店で働くスタッフにも、閉店を惜しむ声が届いています。

 14年勤務する 富田玲子さん:「“家族で来ていたのよ”って話をたくさん聞きますね。“寂しいです”って言われます。すみません。また新しくなったら、ぜひいらしてくださいと伝えています」

 閉店のセレモニーには、幅広い世代が集まり、最後のお別れをしました。

(「グッド!モーニング」2023年8月21日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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