【独自】狙われる日本人…韓国“新興宗教”巧妙な手口で勧誘か 元信者語る実態(2023年8月20日)

【独自】狙われる日本人…韓国“新興宗教”巧妙な手口で勧誘か 元信者語る実態(2023年8月20日)

【独自】狙われる日本人…韓国“新興宗教”巧妙な手口で勧誘か 元信者語る実態(2023年8月20日)

「『宗教勧誘』なんて、一言も私の前ではなかった」

コロナが明け、自由に海外を往来できるようになった今、日本人の渡航先として人気を博している韓国。しかし、そんな韓国国内で今、宗教とは思わせない“巧妙な手口”で、新興宗教団体に勧誘をされるという被害が出ている。

特にコロナ以降、ターゲットになっているのは日本人含む外国人。一体どのような手口で勧誘され、宗教へと引き込まれていくのか。私たちは、韓国・ソウルでその実態を取材した。(8月19日放送 「サタデーステーション」より)

■“友達”に誘われ『チマチョゴリ体験』 しかし実際には…

サタデーステーションが出会ったのは、韓国に留学する梨沙さん(仮名・25)。留学直後に起きた“不思議な体験”について話してくれた。ある日、梨沙さんは、友達になったばかりの韓国人女性に誘われ、市場を観光した後、近くの住宅街の一室に連れていかれたという。

「韓国の伝統の服、チマチョゴリを着たことある?」

韓国人女性にそう聞かれ、勧められたのは『チマチョゴリ』体験。

しかし、チマチョゴリを着た後、祭壇のようなものの前で『韓国式のお辞儀』をすることになったのだ。

「掛け声は“マーフー”みたいな。『ふ~ふ~ん』と何回も言われ、立って、座って、立って、というペースで(お辞儀をした)。お正月やお盆にやる挨拶がこれなのかなと思った」(梨沙さん)

韓国の宗教に詳しいタク・ジイル教授(釜山長神大学)は、これは信者が4万人以上いるという、ある新興宗教の勧誘だった可能性があると指摘する。

実は、梨沙さんと韓国人女性の出会いはSNS。「日本語を勉強したいので友達になりたい」と連絡してきたというが、このチマチョゴリ体験のあと、不審に思い連絡を取るのをやめたという。

「『宗教勧誘』なんて、一言も私の前ではなかった」(梨沙さん)

■新興宗教『新天地』 コロナ後、外国人への勧誘強化か

このように一見、宗教だと思わせない勧誘方法が、韓国国内で問題になっている。

特に巧妙な手口で勧誘をすると言われているのが『新天地イエス協会(新天地)』。新型コロナがまん延した2020年当初、教会での集団感染が韓国国内で問題となった新興宗教団体だ。タク・ジイル教授によると、イ・マンヒ教祖は、自身を『イエス・キリストの再臨』と主張していて、信者は約31万人いるという。また、信者の家族からは、家庭崩壊や高額な献金などが報告されている。

『新天地』の元信者、キム・カンリムさんは、こう警告する。

「コロナ以降は特に外国人への勧誘に非常に力を入れているようです。韓国人は『新天地』への拒否感がありますが、外国人はそれがないので布教が簡単なんです。外国人には特にK-POPの話題を出すと勧誘に成功しやすいようです。遊びに来てくださる外国の方には申し訳ないのですが、韓国は『新天地』だけでなく、新興宗教が多いんです」(『新天地』元信者 キム・カンリムさん)

旅行や留学先として韓国の人気が高まる裏で、日本人を狙った勧誘が活発化しているというのだ。

■取材スタッフに突然「あなたは笑わないと冷たく見えます」

特に注意したいのは、正体を隠しての街での声かけだ。実際に、日本人観光客も多いソウルの繁華街、新村を番組スタッフが歩いてみると、突然、2人の女性が声をかけてきた。
「こんにちは。待ち合わせですか?あなたは、笑わないと冷たく見えます。お顔はきれいなのに心は苦労しているので、大人びて見えます。“福”は生まれ持つものではないんです」

さらに、また別の2人組男女に声をかけられた。
「韓国でお土産はどんなものを買うんですか?」

たわいもない話題で、和やかな雰囲気になった頃、1人がこう切り出した。
「ああ、なんかちょっと(別れるのが)寂しいな。何か提案を…、おすすめしてあげたいのですが。チマチョゴリ、礼儀のためにそれを着て韓国式のお辞儀も丁寧にやります。悩みがすべて解決します」

いずれの2人組も場所を移動して話を聞くよう迫ってきたのだが、断ると立ち去った。

■「マッチングアプリ」に「流行のMBTI」…多様な“口実”

そして私たちは、新興宗教『新天地』とみられる勧誘にも遭遇した。
「こんにちは。景品を差し上げています。トークコンサートを開くんです。応募すると景品がもらえますよ」

『新天地』元信者、キム・カンリムさんに、その際の動画を見てもらうと…

「これは『新天地』の勧誘です。99%確実です」(『新天地』元信者 キム・カンリムさん)

トークコンサートだけではない。他に私たちが見かけたのは、『マッチングアプリ』『タロット占い』『恋愛の価値観テスト』『性格診断テスト(MBTI)』など、様々な“口実”で声をかける人たちの姿だ。

私たちが取材した日本人女性(22)が経験したのは『心理テスト』だという。

「心理テストに協力してほしいという感じで(声をかけてきた)。〇、△、□、ローマ字のS字を(イラストの中に)どのように入れますか?(と、声をかけられた)」

一見、どれも宗教勧誘とは程遠い内容だが、元信者によると、これらすべてが『新天地』の勧誘の可能性が高いという。『新天地』が身分や所属を隠して布教活動を行うことについて、韓国の最高裁判所は『社会的・倫理的に非難を受ける行為』と明示している。

■偽の名刺を使い…元信者が明かす勧誘の手口

では、こうした街での“声かけ”から、どのように宗教勧誘へと進んでいくのだろうか。約1年半前まで新天地の信者だったというソユンさん(仮名・27)に話を聞いた。

彼女は、日本人を相手に『勧誘活動』を行っていた経験があるという。まず見せてくれたのは、『ボランティア団体』や『心理カウンセラー』の肩書が書かれた“偽物の名刺”だ。道行く若者に声をかける際、“宗教だと思わせない”ように作ったものだという。

そして、ソユンさんが日本で勧誘の入口として使っていたのは『心理テスト』。覚えた日本語で「簡単に心理テストお願いします。〇、□、△、Sを書いてください」と声をかけ続けたという。それは、先ほどの日本人女性(22)が体験した心理テストとよく似たものだった。

ソユンさんによると、心理テストの結果を伝えるために後日会う約束をし、そこで「あなたには足りない部分がある」などと言い、同時に悩みを引き出して相談に応じていたという。こうした“ミーティング”を何度も重ねて徐々に宗教へと引き込んでいくというのだ。

「新天地の正体を知らずに勧誘活動をしていたことに後悔しています。韓国で、無理やり人と会わせたり、心理テストを強要する人には気を付けてください」(『新天地』元信者 ソユンさん)
         
サタデーステーションでは、『新天地』に対し、勧誘の方法や事実確認のために質問状を送ったが、期日までに回答は無かった。

◇◇

板倉朋希アナウンサー:
身分を隠して勧誘してくるという『新天地イエス教会』というのは、改めてどんな団体なんでしょうか。

桝田沙也香アナウンサー:
正式名称は「新天地イエス教証しの幕屋聖殿」です。1984年に韓国で創立されまして、現在世界96か国に拠点があります。また信者の数は、韓国の宗教に詳しい釜山長神大学タク・ジイル教授によると、日本も含めて約31万人ということです。もちろん「信教の自由」は尊重されるべきことなんですが、問題はその勧誘方法にあります。

韓国メディアによると、正体を隠して布教活動を行ったことに対し、韓国では約50人の元信者が「失った時間を返してほしい」などと集団訴訟を起こすとして、デモを行う動きもありました。こうした所属を隠したまま勧誘したことについて、韓国の最高裁判所は「倫理的に非難を受ける行為」と明示しています。なお番組ではこの宗教団体に対して、この勧誘方法も含め事実確認の質問状をお送りしたんですが、期日までに回答はありませんでした。

板倉朋希アナウンサー:
宗教と名乗らずに勧誘してくるというのは怖いですよね。

ジャーナリスト柳澤秀夫氏:
「信教の自由」と絡む微妙な問題ですよね。ただポイントは、「違法性の有無」だと思います。最近日本から韓国を訪れる若い人たちが増えてきてますから、韓国でこういった宗教の勧誘を巡る問題があるということを知っておくことは大切なことだと思いますね。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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