【報ステ】温暖化「負のスパイラルに」世界中で山火事…カナダで一日1000カ所以上発生(2023年8月18日)

【報ステ】温暖化「負のスパイラルに」世界中で山火事…カナダで一日1000カ所以上発生(2023年8月18日)

【報ステ】温暖化「負のスパイラルに」世界中で山火事…カナダで一日1000カ所以上発生(2023年8月18日)

カナダでは、1000カ所以上で山火事が起きていて、過去最悪の焼失面積となっています。

例年、5月~10月に“山火事シーズン”を迎えるカナダですが、今年は規模が段違いです。焼失面積はすでに、例年の約6倍。生活のすぐそばまで、火災の影響が広がっています。北西部のノースウェスト準州では、これまでに、東京ドーム3万個分を超える森林が焼失しました。世界屈指の遭遇率を誇る“オーロラの都”イエローナイフにも炎が迫っていました。さらなる延焼を食い止めようと、まだ燃えていないところを燃やす手が取られるほどです。

ノースウェスト準州森林火災担当 ウェストウィック情報官:「この2日間で北西・西北西に風が吹くとみられ、イエローナイフとカキサの火災は市内に向かって広がるでしょう」

イエローナイフ市 オルティ市長:「火と一緒にすさまじい煙も近付いているため、住民全員にできるだけ早く避難していただきたい」

イエローナイフの16キロ手前まで炎は迫っていて、住民約2万2000人に避難命令が出されたのは、15日のこと。18日午後までに避難が求められていますが、市外に出る幹線道路は1本しかなく、一番近い避難所も約1100キロ先にしかありません。

住民:「火災の様子を見たら逃げたくなりますよ」「煙がすごいので、かなり不安です」

避難の手続きをする場所には大行列ができていました。地元当局は、陸路で避難できない住民のために、軍用機などを使って輸送を始めましたが、それに乗るにも大行列です。

日本からも多くの観光客が訪れるイエローナイフ。8月中旬から、オーロラが見られるかき入れ時ですが、JTBは今月いっぱいツアーの中止を決めました。兵庫県で、カナダ専門の旅行を企画する会社『カナッタ!』も、前例のない大規模火災の行方を見守っています。

カナッタ! 森田暁代表:「ちょうど18日に帰って来られた方がいらっしゃるんですが、その方は17日にイエローナイフに入る予定だったんですが、ちょうど17日が緊急事態の発出があったので、飛行機のスケジュールも全部変えて、そのまま日本に到着という作業をしたんですけども。これからの9月は(予約が)だいたい40件ほどですね。40件の3分の1ぐらいがイエローナイフのお客様なので、ドキドキですね。どういう具合に対応していったら、お客さんにとっていいのか」

ここまで広がっている原因は、温暖化とは切っても切り離せません。今年、ブリティッシュコロンビア州は、30度を超える日が1カ月以上続きました。夏でも平均気温が20度前後のカナダで、なかなかの異常事態です。

ロイター:「気候変動の結果、暑さと干ばつが進むことで火の広がりが速く、さらに燃焼時間も長くなることが、大規模な山火事につながる一因となっている」

4年ほど前から、世界の他の地域の推定2倍の速さで温暖化が進んでいると言われてきたカナダ。1000カ所を超える山火事が収まる気配はありません。

■世界中で山火事…原因は?

今年は世界中で山火事が頻発しています。

チリ(2月):多数の森林火災が発生し、少なくとも30万ヘクタール以上、東京都の面積より広い地域が焼失し、少なくとも24人死亡。

カナダ(5月):東部で山火事が相次ぎ、非常事態宣言を出した州もあり、1万8000人以上が避難。煙がアメリカ・ニューヨークまで及び、大気汚染をもたらしました。

ギリシャ(7月):2万人以上が避難し、消火活動を行っていた空軍隊員を含む5人死亡。

ポルトガル(8月5日):約8400ヘクタールが焼け、住民ら約1400人が避難。

ハワイ・マウイ島(8月8日):これまでに111人が死亡。2200棟以上の建物が損壊。

フランス(8月14日):南西部の村500ヘクタールが焼失。

スペイン・カナリア諸島(8月15日):住民約3800人が避難。

カナダでは、今年に入ってすでに5765件の山火事が発生し、約1370万ヘクタールが焼失しています。これは過去10年間の平均の約6倍になっています。北海道と九州を合わせても約1200万ヘクタールなので、いかに広い面積が燃えてしまっているかが分かります。

異常気象を最前線で研究している、三重大学・立花義裕教授に聞きました。

(Q.ここまで山火事が増えた原因は何ですか)

立花教授:「特に緯度の高い地域での山火事は、地球温暖化による北極の温暖化、それによる偏西風の蛇行が原因」

山火事発生のメカニズムとして、偏西風の蛇行により、高気圧が発生。暑ければ暑いほど土壌の水分が奪われ、空気が乾燥し、山火事が発生しやすくなるということです。

(Q.これからも地球温暖化が進んでいくと、山火事も増えていきますか)

立花教授:「山火事により森林が減り、CO2の吸収量が減少。すると、温暖化がさらに進み、山火事のリスクが増える。さらに、森林による蒸散(水が植物を通して大気へ拡散する役割)が減り、大地の気温が上昇し、空気も乾燥する」

立花教授は『負のスパイラル』が起きて、より山火事が増えるのではないかとしています。 (C) CABLE NEWS NETWORK 2023
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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