6割以上が施設の運営に「影響ある」 光熱費高騰で国立博物館や美術館がピンチ【news23】|TBS NEWS DIG

6割以上が施設の運営に「影響ある」 光熱費高騰で国立博物館や美術館がピンチ【news23】|TBS NEWS DIG

6割以上が施設の運営に「影響ある」 光熱費高騰で国立博物館や美術館がピンチ【news23】|TBS NEWS DIG

電気代の高騰で博物館や美術館もピンチです。JNNが国立の博物館と美術館にアンケートを行ったところ、6割以上が施設の運営に「影響がある」と答えています。

■国立科学博物館長「他のお金がもたない」 5年で約1.6億円増加した光熱費

日本で最も歴史のある博物館の1つ、東京・上野の「国立科学博物館」。

全長約14メートルに及ぶ、マッコウクジラの巨大な標本や、上野動物園で飼育されていたジャイアントパンダの剥製など、500万点に上る文化財を収集しています。

茨城・つくば市のある施設には、動物の剥製がずらりと並ぶ部屋があります。
こうした文化財の多くは、温度や湿度を一定に保つことができる「収蔵庫」に保管され、痛まないよう慎重に管理されています。

国立科学博物館 動物研究部 川田伸一郎 研究主幹
「これはライオンのお母さんとヒョウのお母さんの間で産まれた雑種。この個体を含めて全部で5個体しか産まれなかったので、そのうちの2個体がうちにある」

ところが今、国立科学博物館を苦しめているのが“電気代の値上げ”です。

国立科学博物館によると、使用量は変わっていないにも関わらず、光熱費は、2018年の約2.2億円から、2023年には約3.8億円まで急増する見込みです。
そのため一時的に空調を切るなどの対応を余儀なくされているといいます。

国立科学博物館 動物研究部 川田伸一郎 研究主幹
「馬の皮って物凄く繊細。乾燥に弱い。一日中、空調を回しておければ本当は安心だが、なかなか厳しい」

職場の照明や空調も消すなどしていますが、資金難に直面しました。そのため一時、研究費から運営費を補填する事態にまで陥りました。

国立科学博物館 篠田謙一 館長
「光熱費が上がって、その分払っていくと、他のお金がもたないということで、いったん配分したお金のうち、まだ使ってない研究費を全部引き上げた。皆さんに我慢していただいたが、これはおそらく初めての出来事」

これは国立科学博物館に限った話ではありません。

■施設運営に“影響がある”6割以上

JNNが全国に15ある国立博物館と美術館にアンケートを行ったところ、高騰する光熱費によって、施設の運営に「影響がある」と答えた施設は6割以上に上りました。

このうち文化財の保管や収集などにも「影響がある」と答えた施設も、全体の2割に上っています。国の担当者はこうした現状に理解を示しつつも…

文化庁の担当者 
「コロナで減った入場者数も戻ってきていますし、国としては必要だと判断した場合には措置をしていきたい」

高騰する光熱費の捻出に国立科学博物館では日々、頭を悩ませています。
  
Q.入場料を上げる考えは?

国立科学博物館 篠田謙一 館長
「それは1つの視野には当然入るが、来られる方は親子連れであったり、1番子育てでお金がかかる人たち。だからそういう人たちに直撃する形の値上げは、すごく辛い」

国立科学博物館では、光熱費の高騰に伴う入館料の値上げは行っていません。
ただ、この状況が続くと将来的に文化財の収集さえできなくなり、国の研究基盤に影響を及ぼす可能性もあると訴えます。

国立科学博物館 篠田謙一 館長
「この時期にきちんと物を集めておかないと、あのとき何が起こったんだろうということが後で検証できなくなる。科学博物館の問題というよりは、自然史の標本をどう扱っていくのかという問題」

■専門家「地方では博物館の統廃合もあり得る」 簡単に値上げできない理由は

小川彩佳キャスター:
電気代高騰で博物館が資金難というのは、少し考えが及ばないところでしたね。

山本恵里伽キャスター:
想像していなかったですよね。博物館に詳しい追手門学院大学の瀧端真理子教授によると、「公立博物館でこの状況が続けば、▼新しい展示資料が買えない。▼地方では博物館の統廃合もあり得る」ということなんですね。
つまり、魅力的な展示ができなくなってしまうそうです。

ただ、この状況を改善するのはそう簡単ではなさそうです。理由の一つが収益構想にあります。
公立博物館の主な収益の柱というのは、「入館料」と国や地方自治体などからの「公費」、つまり私たちの税金です。

「入館料」を上げればいいのでは、と思うかもしれませんが、▼少しでも多くの方に来ていただきたい、さらに▼値上げには手続きがかなり必要なので、そう簡単にはあげられません。
また、「公費」も▼子育て支援など他の政策が優先されて、博物館に充てられる予算が削られやすいという傾向があります。
つまり現状では、収益が大きく増える要素が少ないということです。

小川キャスター:
そうしたなかでなるべく多くの入館者ということを考えると、私も海外で旅行したときに博物館・美術館をよく訪れるのですが、無料開放の時間帯があったり、ポップな展示があったり、結構気軽さを感じるところが多いんです。そうした身近に感じられる博物館がもっと増えていけばいいなと思います。

■多額の寄付で運営が成り立っている大英博物館

山本キャスター:
海外の例を見てみたいと思います。
イギリスの大…(https://newsdig.tbs.co.jp/list/article?id=jnn-20230803-6101394)

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