緊張続くウクライナ 世界の批判を浴びる“プーチン氏の本音”とは・・・専門家に聞く(2022年2月21日)

緊張続くウクライナ 世界の批判を浴びる“プーチン氏の本音”とは・・・専門家に聞く(2022年2月21日)

緊張続くウクライナ 世界の批判を浴びる“プーチン氏の本音”とは・・・専門家に聞く(2022年2月21日)

ウクライナをめぐって緊張が高まるなか、フランスのマクロン大統領の仲介で、アメリカのバイデン大統領とロシアのプーチン大統領の双方が首脳会談を行うことを原則合意しました。

首脳会談はウクライナ情勢が鎮静化する糸口となるのでしょうか。ロシア情勢に詳しい防衛省防衛研究所で政策研究部長を務める、兵頭慎治さんに聞きます。

(Q.バイデン大統領は先日、「プーチン大統領は決断を下したと確信している」とまで述べました。それほど緊張が高まるなか、米ロ首脳会談で事態の打開は期待できますか)

兵頭慎治さん:「現在、ロシア側がアメリカなどに要求している3つの項目があります。1つ目が、NATO(北大西洋条約機構)の加盟国を増やし、拡大しないことを法的に保証すること。2つ目が、軍の配備をNATO拡大前の1997年以前の状態に戻すこと。この2つに関しては、アメリカとロシアの間で文書のやり取りがあり、どちらも受け入れられないという厳しい姿勢を欧米は示しています。

焦点となるのが3つ目の、ロシアの隣接地域に核弾頭搭載可能な攻撃兵器を配備しないことです。この話し合いが次の米ロ首脳会談で進展するかどうかが注目されます。ただ、バイデン大統領はこれまで、ロシアに対して厳しい姿勢を貫いてきたので、首脳会談で一気に打開は難しいと考えます。協議の新たな枠組みを模索して、協議開始というあたりで落ち着くことは可能だと思いますが、予断は許さないと思います」

(Q.ロシア軍は、同盟国ベラルーシとの合同軍事演習の後も兵をとどめると言っています。また、ベラルーシのルカシェンコ大統領は核の配備にも言及しています。これは何を意味していますか)

兵頭慎治さん:「ロシア側は『アメリカが要求を拒絶した場合、軍事技術的な措置を取る』と繰り返しています。軍事技術的措置というのは、ベラルーシへの核の配備を想定しているのではないかという見方が強まっています。ロシアとベラルーシの合同軍事演習が延長されたことに加え、27日にはベラルーシの国内で核の配備を可能にする憲法修正の是非を問う国民投票も予定されています。

プーチン大統領としては、ウクライナに軍事侵攻するかどうかという軍事的な圧力から、核という最後の切り札を出して、欧米諸国に対して外交的な妥協を引き出そうと考えているのではないかと思います。

ロシアの領外の同盟国に核を配備するということは、NATO諸国に政治的なインパクトを与えることができます。新たな軍事圧力のカードとして、次の米ロ首脳会談に向けて、外交的な駆け引きを始めつつあるとみています」

(Q.ウクライナ・NATO・アメリカと折り合いがつかず、世界中から批判が強まるなかで、プーチン大統領が手にしたいものは何ですか)

兵頭慎治さん:「2つあると思います。1つは、冷戦の敗者として、ロシアはアメリカから一方的に、欧州の安全秩序を押し付けられてきたと。その後も、アメリカから一方的に圧力を加えられてきたという思いが、ロシア国民にはあります。冷戦の敗者としての雪辱を晴らしたいという思いがあります。

他方で、ロシア国内の要因もあると思います。プーチン大統領の政権基盤の足もとはそれほど強くありません。2年後の大統領選挙に出馬が予想されますが、プーチン大統領の支持率は年々、低下傾向にあります。強いロシア、リーダーシップを国民にアピールすることによって、支持率の回復・政権浮揚を図る思惑もあると思います」

(Q.プーチン大統領にとって危険な賭けではないかと思います。振り上げた拳の下ろしようがなくなる恐れはありませんか)

兵頭慎治さん:「去年10月末から、軍事的な緊張を醸し出していて、拳の落としどころを模索しているんだろうと思います。落としどころが見つかるのか、引き続き拳を上げ続けなければいけないのか、次の米ロ首脳会談の行方に注目したいと思います」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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