損保ジャパン「不正の可能性」把握…ビッグモーター・国交省が聴取 今後の焦点は?(2023年7月26日)

損保ジャパン「不正の可能性」把握…ビッグモーター・国交省が聴取 今後の焦点は?(2023年7月26日)

損保ジャパン「不正の可能性」把握…ビッグモーター・国交省が聴取 今後の焦点は?(2023年7月26日)

保険金の不正請求問題を受け、26日に就任した中古車販売大手『ビッグモーター』の和泉伸二新社長が、国土交通省の聴取に臨みました。

焦点は、保険金の不正請求が、依頼を受けていない整備による料金請求を禁じた道路運送車両法違反に当たるかどうかです。違反の疑いが強まれば、整備工場に立ち入り検査をする方針で、民間車検場の指定取り消しや、事業停止などの処分が下る可能性もあります。

聴取は2時間に及びました。
ビッグモーター・和泉伸二新社長:「本日は、先の特別調査報告書について、さまざまヒアリングは受けましたが、内容については、きょうのコメントは控えさせていただきます」

ビッグモーターが公表した外部の専門家による調査報告書について聞かれたといいます。
ビッグモーター・和泉伸二新社長:「(Q.社内で改めて聞き取りしたうえで臨んだか)いえ、まだ調査の準備段階なので、これからのご報告になりますが、きちんとそこは追って、詳細は説明してまいります」

一方で、新社長として、25日のうちにやっていたこともありました。それが、“本気の風土改革”として全社員に送ったメール。そこには『改革の第一弾として、全店のLINEの使用をすべて止めることにします。会社支給携帯に入っているLINEのアカウント削除をしてください』と書かれていました。

社内の連絡ツールとして使われていたのがLINE。上からの指示だけではなく、厳しいノルマといった圧力もLINEを通じて出されていました。

現役社員の受け止めです。
現役社員:「不正事実を隠そうとしているのではと心のどこかで思いました。(Q.今後の不正解明に支障は)不正指示については、今後のことを考え、文面に残していない可能性が高いので、LINEのアカウントを残したとしても出てこなかったのではないか」

ビッグモーター・和泉伸二新社長:「(Q.隠そうとする意思は)ありません。今後、いろいろ調査していくなかで、LINEの中で不正の確認だったり、証拠になりうるものがあれば、該当する社員の方は記録として残っているでしょうから。(Q.調査に影響はないか)おっしゃる通りで、言われてみれば、そうだなということはあります」

新たな事実もわかってきました。
去年、ビッグモーターが行った不正請求に関する自主調査で、その内容を書き換えて、損保大手3社に示していたといいます。

去年1月の調査で、内部告発をした従業員は、「工場長の指示があった」と回答したにもかかわらず、去年6月の報告書では「指示はなかった」とされていました。
ビッグモーター・和泉伸二新社長:「(Q.“書き換え”をどう受け止める、誰が指示をしていたのか)それは驚いています。その段階できちんと対応していれば、ここまでの重大性になっていなかったかもしれない。私としては遺憾ですね。調査したいと思います。(Q.書き換えは上席の指示でしかできないのでは)その可能性は高いと思います。(Q.損保会社にはどういう説明を)そのとき、私はこの件に関して全く部外のところにおりましたので、どういう報告をしたのかも、今から合わせて確認をしていきます」

この調査をめぐっては、損保ジャパンの判断も問われています。

2011年以降、37人をビッグモーターに出向させるなど、近い関係にあった損保ジャパンが、不正の可能性を認識しながら、取引を再開していたことがわかりました。

損保大手3社は、保険契約者の事故車をビッグモーターの修理工場に紹介する業務を行っていましたが、去年6月の報告書を受けて、その業務を停止していました。

一方で、関係者によりますと、損保ジャパンは、出向していた社員から「工場長の指示で不正が行われている可能性がある」という情報を得ていたといいます。しかし、翌月には紹介業務を再開させていました。再開理由は、ビックモーターから工場長の指示ではなく、現場での連携ミスによるものだという報告があったからだといいます。

ほかの大手2社は、報告に疑義があったため、再開しませんでした。

損保ジャパンは、「認識が甘く反省している」として、社外弁護士による調査委員会で検証する方針です。

◆ビッグモーターに対し、国が本格的な調査を始めました。

ポイントは大きく2つです。
1.車を故意に傷つけるなどして、損保会社3社に対し、不正に保険金を請求していたこと
2.ビッグモーターに出向していた損保ジャパンの社員が、不正を把握していた可能性があること

1に関して、国土交通省担当の山木翔遥記者によりますと、「道路運送車両法は、依頼されていない点検・整備を不当に行って料金を請求するなどの行為を禁止している。例えば、“請求書”“見積書”“整備記録”など、証拠となるような資料を集め、道路運送車両法に違反する行為がなかったか調べるとみられる」としています。

国交省の関係者は、「事実を確認したうえ、違反に該当すれば、指定整備工場(民間車検場)の『指定』を取り消す処分なども、当然、検討することになる」と話しています。

『指定取り消し』とは、車検業務を行える“免許”を取り消すということです。

ビッグモーターに出向していた損保会社について、鈴木金融担当大臣は、「(損保会社からの)出向者が果たしていた役割、ビッグモーターと各損保会社との関係について、しっかりと事実確認を行い、保険契約者保護に欠ける問題が認められた場合は、法令に基づいて厳正に対応する」としています。

具体的な“事実確認”の内容について、金融庁担当の佐藤美妃記者によりますと、「37人も出向させていた損保ジャパンが、不正をどの程度把握していたのか。把握していたとしたら、なぜ止められなかったのかが焦点。今回の不正は、保険の等級が不当に下がる場合もあるため、契約者に不利益がどれぐらい及んでいて、それに対して保険会社がどう対応しているかなど、実態を調べている」としています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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