ビッグモーター元従業員が怒り「経営陣知らないのあり得ない」　社長が辞任表明(2023年7月25日)

ビッグモーター元従業員が怒り「経営陣知らないのあり得ない」　社長が辞任表明(2023年7月25日)

　「全く知らなかった」。ビッグモーターのトップが保険金不正請求の問題発覚後、初めて会見しました。元社員は「トカゲのしっぽ切りだ」と怒りをあらわにしました。

■ビッグモーター社長が辞任表明

　ビッグモーター　兼重宏行社長（71）：「深くおわび申し上げます。誠に申し訳ございませんでした」

　経営幹部いわく、あまりに強すぎるリーダーシップで頼られてきたというビッグモーター創業者の兼重宏行社長（71）。故意に車に傷を付けるなどして自動車保険を不正に水増し請求していた事実について先月26日、第三者委員会による調査報告書が出るまで「知らなかった」と弁明しました。

■「ゴルフを愛する人への冒涜」

　ビッグモーター　兼重宏行社長：「もう本当、耳を疑った…もう、こんなことまでやるのかと愕然（がくぜん）としましたね。大事な大切なお客様の車をお預かりして、これから修理する人間が傷を付けて水増し請求する、あり得んですよ。本当に許しがたいです。そのなかでももう本当、衝撃的でこれは一線を越えてるなと。ゴルフボールを靴下に入れて振り回して水増し請求すると、もう本当にこれ許せません。ゴルフボールで傷を付ける…ゴルフを愛する人に対する本当、冒涜（ぼうとく）ですよ、これは犯罪ですから。刑事告訴を含む、厳正な対処をしたいと考えております」

　顧客目線で怒りをあらわにする兼重社長ですが、“疑惑の目”は経営陣に向けられています。不正行為について本当に知らなかったのか。組織ぐるみでの関与が疑われています。

■「経営陣知らず　工場長が指示」

　故意に車に傷を付けるなどして、自動車保険を不正に水増し請求していた中古車販売大手のビッグモーター。不正が組織ぐるみで行われていたという疑惑について、兼重社長はこう話しました。

　ビッグモーター　兼重宏行社長：「不正請求問題は板金塗装部門単独で他の経営陣は知らなかった、これが事実だと思います」
「（Q.今回の不正は組織的になされた？）組織的ということはないと思います。個々の工場長が…この原因は工場長が指示してやったんじゃないかなと。この原因は工場長が指示してやったんじゃないかなと。不合理な目標設定、それが目標じゃなくてノルマになって、強くプレッシャーをかけていたと。それが原因で今回の不正が起きたと考えられますので、組織的と思われても致し方ないが決してそんなことはありません」
「（Q.工場長がそのような行為に走るのは一定の経営層から指示があったのではと推測されるが）全くないです。調査報告書を見てもらえば分かるように、それだけ不合理なノルマを課してプレッシャーをかけても全くやってない人間もおるわけですから、それはないと思います」

■「天地神明に誓って知らない」

　社員に配布される経営計画書です。「会社と社長の思想は受け入れないが仕事の能力はある。今、すぐ辞めてください」のほか、「経営方針の執行責任を持つ幹部には、目標達成に必要な部下の生殺与奪権を与える」などと書かれ、会社と社長が絶対視されていることがうかがい知れます。

　ビッグモーター　兼重宏行社長：「（Q.これについては社長の意向で盛り込まれたものなのか）それは間違いありません。そんなに深い意味はないんですけれど、会社の方針が前に行こうと言って、『俺は前に行かない』と『後ろに行く』と、これでは経営になりませんので、十数年前にもっと前ですかね（経営計画書を）作って今の時代にはまた単純な言葉で書いてありますので、もっと説明がいったなと反省してます」
　「（Q.やはり社長を含めて現場の経営陣が知らなかったのは信じられない、天地神明に誓って『知らなかった』と言えますか？）天地神明に誓って『知らなかった』と言えます」
　「（Q.去年1月ごろ、従業員から社長、副社長宛てに内部告発があったと。調査に乗り出そうと思わなかったのか？）あの時しっかりやっておけば良かったなという、本当、反省しているんですけども」
　「（Q.（兼重社長が配信したLINEについて）今もそういう認識？）いやもう、そういうご指摘を頂いて、これはちょっと不適切だったなと。本当に強く反省しております。（社員を）元気付けるために文章が不適切だったのは否めません。申し訳ありません。ほんと。私は組織ぐるみではないと思っていますから」

■降格人事“乱発”「カッとなって」

　また、会見では兼重社長の息子の兼重宏一副社長についてもこんな質問が出ました。

　ビッグモーター　兼重宏行社長：「（Q.息子の宏一副社長を中心に降格人事が繰り返されたと言われている。現場を震え上がらせるような存在だったと思うが、こうしたことが起こった背景をどう分析しているのか、また息子さんはそれについて何と言っているのか）ちょっと行き過ぎがあったかも分かりませんけれど、悪意を持ってやるということは一切ありません」

　ビッグモーター管理本部　陣内司部長：「（Q.それは行き過ぎていないという理解なんでしょうか？）本人の方から深く反省の言葉を預かっております。ついカッとなって強い言葉で降格という処分を行ったことに対し、あの時このような形で言うんじゃなかったと強く反省を示しておりました。企業風土が本当にいびつだったのだろうと」

　25日の会見を聞いて元従業員は。

　元従業員：「トカゲのしっぽ切りじゃないですけど」

　ビッグモーター　兼重宏行社長：「刑事告訴を含む厳正な対処をしたい」

■“ゴルフボール告訴”を一転否定

　会見当初、ゴルフボールを靴下に入れて客の車を損傷させた従業員に対し、刑事告訴も辞さない構えを見せていた兼重社長ですが、会見の最後にこう訂正しました。

　ビッグモーター　兼重宏行社長：「今、考えてみるとその責任は私にあるなということで厳正に対処するが、刑事告訴までする必要もないと考えている」

　ビッグモーターは一連の問題の責任を取って26日付で兼重宏行社長と息子の宏一副社長がそろって辞任。「今後、経営に一切関与しない」と表明。後任の社長には和泉伸二専務取締役が就任します。

　25日の会見を聞いて元従業員は。

　元従業員：「今回、一番思ったのはトカゲのシッポ切りではないが、社員がすべてやったみたいな感じで終わっているのでは。経営陣含めて知らないというのは正直あり得ないと思う」
[テレ朝ｎｅｗｓ] https://news.tv-asahi.co.jp/a>