音声データ「レールに乗って」東京地検特捜部が供述誘導か…河井元法相による買収事件(2023年7月21日)

音声データ「レールに乗って」東京地検特捜部が供述誘導か…河井元法相による買収事件(2023年7月21日)

音声データ「レールに乗って」東京地検特捜部が供述誘導か…河井元法相による買収事件(2023年7月21日)

4年前の参議院選挙で起きた、大規模な買収事件をめぐり、河井夫妻は有罪となった一方、2人から現金を受け取った、100人の地元議員らは一時、不起訴処分となっていました。しかし、この裏には、取り調べにあたった東京地検特捜部が、地元議員を不起訴にすることをにおわせて、買収を認める供述を引き出していた可能性があることが分かりました。

21日に初めて明らかになったのが、音声データの存在です。現金を受け取ったとされる、木戸経康元広島市議が、東京地検特捜部から任意取り調べを受けた際のものです。

木戸元広島市議:「お金かどうかも分からなかった」
検事:「議員を続けていただきたいので、否認というふうにしたくない」

弁護士によれば、木戸元市議は不起訴を示唆され、買収を認めるよう、検察に誘導されたといいます。

検事:「できたら議員を続けていただきたい。レールに乗ってもらいたい」

この後、木戸元市議は、一転して買収を認める供述をしたといいます。

同じような取り調べを受けたという証言は他にも…。

聴取を受けた元市議:「『今回の事件は河井を処分することなので、協力してくれ』というのは、最初からあった。『協力してくれれば、我々(検察)が寄り添う。世話させてもらう』と言ってきたり『今回の事件は起訴しないが、今度あったら、そういうワケにはいかない』と言われた」

裁判での証言を練習させられたという人もいます。

聴取を受けた元議員:「部屋で練習をして、そこでも“ひと悶着”あって。『そんなことは思っていない』と言ったら『おかしい』と(検事が)怒鳴りだして。ストーリーが決まっていて、何を口答えしても、“議員を続けるんだから、この通り答えろよ”ということは感じていた」

安芸太田町・矢立孝彦町議は、渡された現金20万円を、返却するつもりで金庫に保管し続けていました。本人としては、受け取ったつもりはないと主張しています。ところが、検事とのやり取りでは…。

安芸太田町・矢立孝彦町議:「(証言の)リハーサルの中で、検事さんからの“誘導表現”というのはありました。『結果としてもらい受けたもの』という表現が1つの例。“事実に基づいて証言”した部分と、“検事の誘導での証言”が含まれる。(Q.“起訴にならないための協力”感じた)ずっと感じてきましたよ。暗示されて。(Q.自身も不起訴になると思った)100%思っていた」

結局、現金を受け取ったとされた地元政治家ら100人のうち、94人が違法性を認識していたと認めました。当初、無罪を訴えていた河井元法務大臣は、主張を撤回し、懲役3年の実刑。河井案里元参議院議員も、懲役1年4カ月(執行猶予5年)の有罪判決が確定しました。

一方、お金を受け取った側は、100人全員が不起訴となりました。公職選挙法は、現金を受け取った側にも罰則を設けているにもかかわらずです。その後、検察審査会が“起訴相当”と議決したことを受け、再捜査で34人を起訴しましたが、当時の検察は、極めて異例の対応を選んだことになります。

元東京地検特捜部検事・高井康行弁護士:「報道されている範囲で考えると、これは不起訴の約束。事実上、暗に不起訴の約束をして、供述を引き出しているので、利益誘導に該当すると思います。利益誘導による自白は、任意性がないと言われている。どういう動機であれ、やってはいけない」

背景に何があったのでしょうか。

高井康行弁護士:「一般論ですよ。取り調べ時間があまりない、急いでたくさんの人間を調べなければいけない。急いでやらなければいけない時には往々にして、ああいうやってはいけないような取り調べをする場合があり得る」

最高検も音声データを把握していて、捜査に問題がなかったか調査を行う方針です。

最高検:「公判の推移を踏まえつつ、適切に対応する」

齋藤法務大臣:「一般論として、取り調べにおきまして、任意性を失わせるような利益誘導、これは断じてあってはならない。まずは、検察において適切に対処されることを、見守っていきたい」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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