米国で違法薬物「フェンタニル」が蔓延 過剰接種により死者増加…中国企業から流入か(2023年7月21日)

米国で違法薬物「フェンタニル」が蔓延 過剰接種により死者増加…中国企業から流入か(2023年7月21日)

米国で違法薬物「フェンタニル」が蔓延 過剰接種により死者増加…中国企業から流入か(2023年7月21日)

 今、アメリカでは密造・密売されている薬物の過剰摂取で死亡する人が増加し、深刻な問題となっている。アメリカに流入する違法な薬物が止まらない背景には、中国が関係していると指摘されている。

■医療用麻薬 去年の押収量は…米国人全員の命を奪う量

 アメリカのハリス副大統領は18日、各州の検事総長らと会談し、“危機感”を示した。

 ハリス副大統領:「今、若者たちのパーティーでは錠剤が配られています。こうした錠剤にはフェンタニルが混入されているんです。我々は、公衆衛生上の危機に直面していることを認識し、きょう、共に団結することになりました」

 近年、アメリカでは、鎮痛剤の一種である「フェンタニル」の乱用による死亡が急増。2022年には、11万人が死亡したとみられている。

 「フェンタニル」は、がん患者などに処方される薬だが、鎮痛作用は、ヘロインより最大50倍、モルヒネよりも100倍強力だとされていて、過剰に摂取すると死に至るという。

 アメリカ麻薬取締局によると、去年、密造・密売された「フェンタニル」の押収量は粉末4.5トンと錠剤5060万錠で、3億7900万人分の致死量にあたると発表。およそ3億3000万人のアメリカ人全員の命を奪うのに十分な量だとして、危機感をあらわにした。

■中国企業から流入?「国内での対策を強化すべき」

 そして、アメリカに「フェンタニル」が違法に流入する原因となっているのが中国企業だという。

 アメリカ司法省は先月23日、「フェンタニル」の原料となる化学物質を、アメリカやメキシコに密輸したなどとして、中国に拠点を置く化学企業など4社と、中国人の従業員らを起訴したと発表した。

 アメリカ ガーランド司法長官:「これらの企業と従業員は、アメリカ国内で流通させるためにフェンタニルを製造することを故意に共謀した」

 アメリカのバーンズ駐中国大使は、これまでも中国のフェンタニル密輸取り締まりが不十分だと指摘していた。これに対し、中国は次のように述べている。

 中国外務省 汪文斌副報道局長:「中国政府は人道主義の精神に基づき、フェンタニル類似物質全体をリストに掲載し、その違法生産、密売、乱用の防止に重要な役割を果たしている。アメリカがすべきことは、他国を中傷したり責任転嫁することではなく、自ら反省し国内での対策を強化することだ」

■アメリカ人の死因トップは「フェンタニル」

 なぜ、アメリカで密造・密売された「フェンタニル」が蔓延(まんえん)しているのか見ていく。

 アメリカ国立薬物乱用研究所の報告によると、薬物の過剰摂取で死亡した人は、おととしには10万6000人を超えていて、そのうち違法なフェンタニルによって亡くなった人が、およそ7割に及んでいるとしている。

 政治専門のアメリカメディアも、「アメリカ人の18歳~45歳の死因のトップが心臓疾患やがん、自動車事故、新型コロナなどではなく、フェンタニルである」とし、深刻な社会問題になっていると伝えている。

 違法なフェンタニルが流通する背景には、ヘロインなどよりも安価で取り引きされていることがあるという。

 アメリカ議会の諮問機関の報告書によると、中国政府が違法に作られたフェンタニルを規制したことで、直接流入される量が減少したとする一方、中国の密売組織は、違法フェンタニルの元となる化学物質をメキシコのカルテルに密輸し、そこでフェンタニルが密造されアメリカに流入しているとしている。ですので、アメリカで取り引きされる違法フェンタニルの主要な原産国は中国であると結論付けている。

■中国「フェンタニル危機の根源はアメリカ自身にある」

 バイデン政権は、こうしたフェンタニルの密造を可能にした中国とメキシコへの制裁を強化している。

 違法に製造された「フェンタニル」への関与や、錠剤の製造機器を密売業者に供給したとして、中国を拠点とする7つの団体と6個人、メキシコを拠点とする1つの団体と3個人を制裁対象に指定した。

 ただ、中国は、こうしたメキシコ側との関係を否定している。

 在メキシコ中国大使館は18日、違法フェンタニルの原料となる化学物質は中国から密輸されていないと表明し、アメリカ当局の主張を否定している。

 そして、中国では違法薬物の原料の密輸を防止する措置が講じられていると説明したうえで、アメリカが国内対策を取らないのは責任回避で「アメリカのフェンタニル危機の根源はアメリカ自身にある」と声明を出している。

(「大下容子ワイド!スクランブル」2023年7月21日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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