「ふるさと納税」の寄付金を活用して空き家を撤去 税金投入の問題を指摘する声も 滋賀・野洲市
全国で増え続ける放置された空き家。所有者がわからず撤去したくても費用面で困る自治体もある中、滋賀県野洲市は、ある方法を使って工面し、撤去に取り掛かりました。
滋賀県野洲市にある木造平屋建ての一軒家。30年以上もの間、所有者が不明のまま放置されていました。
この空き家の撤去に野洲市が活用したのが、「ふるさと納税」です。
撤去にかかる費用は、総額約124万円。このうち約66万円が、ふるさと納税の寄付金で賄われました。
野洲市ではふるさと納税の使い道に「住環境を整備するための事業」という項目があり、この目的で寄付されたお金を利用したといいます。
都市政策の専門家は、空き家の撤去に安易に税金を投入することには課題があると指摘します。
空き家問題に詳しい明治大学・野澤千絵教授
「やはり(空き家を)放置していたら、行政が税金でどうにかしてくれるとなってしまう。いわゆるモラルハザードの問題が非常に大きい。(空き家という私有財産に)税金を投入するのにはかなりのハードルがある」
これについて、野洲市は…。
野洲市・鎌田征隆財政課長
「所有者不明のケースだったので、今回、当初予算で(ふるさと納税を)充当した。個人の所有者(が判明)の場合はありえないので、請求権なりが発生する。物件に応じて対応が変わってくると思う」
しかし、野洲市には苦い経験がありました。3年前、倒壊の恐れのある「特定空き家」に認定した市内のマンションを約1億2000万円かけて行政代執行で解体しましたが、所有者と連絡がつかなかったり、資産が十分になかったりして撤去にかかった費用のうち、今も約8000万円が回収できていないのです。
ふるさと納税を活用した撤去について近隣の住民は…。
近隣住民
「ふるさと納税を(空き家撤去に)使うのはもったいないと思う。やっぱり、ふるさと納税は市を盛り上げるために使ってほしいなと思います」
地区の自治会・岸原正敏会長
「倒れてくるような感じですし。取り壊してもらったら安心できます」
藤枝望音記者
「全国で増え続ける空き家は、自治体の悩みの種となっています。ふるさと納税を空き家の解体費用に充てるという取り組みは、議論を呼ぶことになりそうです」
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