点火から57秒…新型ロケット『イプシロンS』実験中に爆発 国産ロケット産業に影響は(2023年7月14日)

点火から57秒…新型ロケット『イプシロンS』実験中に爆発 国産ロケット産業に影響は(2023年7月14日)

点火から57秒…新型ロケット『イプシロンS』実験中に爆発 国産ロケット産業に影響は(2023年7月14日)

秋田県能代市にあるJAXAの実験施設で14日、爆発事故が起きました。現場では、国産の新たなロケット『イプシロンS』の“エンジン”燃焼試験をしているところでした。

点火とともに、響き渡った轟音。2分弱燃焼させる実験だったのですが、その半分、57秒経過した時でした。建物内から激しい爆発。屋根を吹き飛ばしながら炎が立ち上る様子が確認できます。

2キロ近く離れた場所でも、異変を感じたといいます。

現場から約2キロで勤務:「はじめはドンという音して、それから地響きみたいな。ちょっと地面が揺れた感じ」

爆発が起きたのは、日本には種子島と能代市にしかない、固体燃料ロケット用の燃焼試験棟です。今回は、イプシロンSの第2段“エンジン”の性能を確認する実験中でした。

JAXAは、点火から20秒後、燃焼圧力が想定を上回る値だったことから、“エンジン”を覆っている圧力容器が壊れた可能性もあると説明しています。これが設計の不備なのか、部品の問題なのか、詳しいことは分かっていません。ただ確実に言えるのは、日本の宇宙開発計画にとって、またしても大きな痛手となったということです。

日本の主力ロケット『H2A』。圧倒的成功率を誇る一方で、打ち上げコストがネックです。日本は国産ロケットの競争力を高めるため、2つのプロジェクトを立ち上げました。大型のまま低コストをはかる路線と、小型化する路線です。

大型だけど低コスト。これが『H3』ロケットです。構造をシンプルにして部品の数を削ることで、打ち上げコストを下げることに成功しました。そして、もう1つの小型化路線が『イプシロン』です。技術の進歩で人工衛星そのものが小型化されていくなか、それを宇宙まで運ぶに十分な推進力を備える小型ロケットを目指しています。管制システムも簡素化したことで、打ち上げ時の室内は格段にすっきりしました。新型のイプシロンS。今のところ打ち上げコストは非公表ですが、将来的には30億円以下を目指すといいます。

2系統の国産ロケット、完成すれば世界の宇宙ビジネスの場に割って入るだけの力が十分にあるはずなのですが、今年3月にH3ロケット初号機が打ち上げに失敗。そして今回、イプシロンSの燃焼実験が失敗しました。イプシロンSは、すでに他の“エンジン”の実験が終了し、開発はヤマ場に差し掛かったところでした。

初の打ち上げは、来年度に予定されています。スケジュールにどれほどの影響が出るかは未知数です。
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