JAXAロケット実験場で爆発火災 ロケット打ち上げ事業の民間移管1年以上遅れる可能性も【Nスタ解説】|TBS NEWS DIG

JAXAロケット実験場で爆発火災 ロケット打ち上げ事業の民間移管1年以上遅れる可能性も【Nスタ解説】|TBS NEWS DIG

JAXAロケット実験場で爆発火災 ロケット打ち上げ事業の民間移管1年以上遅れる可能性も【Nスタ解説】|TBS NEWS DIG

秋田県能代市にあるJAXAの実験場で開発中のロケット「イプシロンS」の燃焼実験が行われましたが、実験開始直後、爆発を伴う火災が発生しました。

一体何が起きたのか。日本の宇宙開発の現状とともに解説します。

■JAXA実験場で爆発火災 エンジン燃焼試験中

日比麻音子キャスター:
「イプシロンS」のエンジン燃焼試験の開始直後、爆発を伴う火災が発生しました。予定では119秒の燃焼ということだったんですが、点火から1分経たず、57秒で異常が発生したということになります。消防車など8台が出動しましたが、けが人の情報はないということです。

「イプシロンS」は日本の主力ロケット「イプシロン」の改良型で、全長は27メートル、3段式です。固体燃料を使っています。開発の目的としては、打ち上げコストを減らしていきたいということです。今後は民間に移管して、宇宙輸送の産業規模拡大を目指していきたいという狙いがあるわけです。といいますのも、世界的に衛星を打ち上げる等、開発は非常に進んでいます。

宇宙開発を巡って世界では、気象観測、通信インフラ、宇宙旅行も近づいているとも言われていますし、軍事利用などといった目的も多数あり、商業衛星などの開発の競争が激化しているわけです。開発が急がれる中での今回の火災となったわけですが、この原因は一体何なのでしょうか。

JAXAイプシロンロケット プロジェクトチームマネージャー・井元隆行さんによりますと「いまデータのはき出しと評価を実施しているところ。その状況を見て原因究明していきたい」ということでした。

一方で、東京理科大学 機械航空宇宙工学科・米本浩一教授によりますと「固体燃料に亀裂や割れ目がある状態で燃焼すると、爆発につながることもある。燃料の品質管理に問題があった可能性はある」ということでした。

井上貴博キャスター:
まずは人的被害がなかったのが何よりですけど、そもそも実験が全て成功していたら、実験の意味もなくなりますし、今回の件で得た知見をどう生かしていくのか。とても重要な部分がわかったという捉え方もできると思います。

産婦人科医 宋美玄氏:
最先端の実験ということで、必ずしもうまくいくことばかりではないと思うので、もちろん誰もこの事故を批判する声とかもないとは思うんですけれども、やはり今、宇宙に少しでも早く乗り出していくことが、本当に宇宙旅行ももし実現したら、それはものすごい国益になると思うので、めげずに頑張ってほしいですよね。

■人工衛星など打ち上げ数 206→2368機 約11倍増加 

日比キャスター:
人工衛星等の打ち上げ数(JAXA情報・報道発表資料に基づき内閣府が作成)を見ていきますと、2013年に206機だったものが、2022年には2368機。ここ10年で一気に増えて約11倍になっています。

このうち、約7割がイーロン・マスク氏のスペースX社の人工衛星であるということもわかっています。日本もここに食い込んでいこうと開発が急がれている中で、これまでの実験等を見てみますと、トラブルが相次いでいます。

例えば、2022年10月「イプシロンロケット6号機」は“姿勢制御装置”への燃料供給がうまくいかず、指令破壊信号が出され失敗。さらには、2023年3月にも「H3ロケット初号機」の実験がありましたが、2段目のエンジンに着火せず、指令破壊信号が出され、打ち上げ失敗、トラブルが相次いでいます。

今後の展開について宇宙開発に詳しい、大同大学・澤岡昭名誉学長によると「ロケットの打ち上げ事業の民間移管は1年以上遅れてしまうだろう。特に日本はGPSなど通信の分野で後れており、近年急速に進出している中国にも今後後れをとることが懸念される」ということです。日本がどこまで食い込んでいけるのかというところですね。

井上キャスター:
今回の実験場は民間も利用できる、そして学生教育の場にも使われているということで期待されていたそうですけど、起点が違いますし、得手不得手それぞれの国によって違いますし、軍事利用をしようとしている中国やアメリカは、ものすごい莫大な金と人をつぎ込んでるわけですので、日本が得意な部分を細分化して勝負していくという戦い方もあるのかなと思います。

産婦人科医 宋美玄氏:
宇宙開発について詳しくわかるわけではないですが、やはり日本は研究全体への国の投資がものすごく少ない。研究者もかなり外に流れたり、私が知っているだけでも宇宙関係の人もアメリカとかヨーロッパに流れたりしているので、ぜひここはドーンと投資してほしいと思いますね。

井上キャスター:
選択と集中で良い人材の奪い合いですから。ノーベル賞関係者も日本は今後、枯渇してしまうのではないかと。良い研修者がどんどん海外にとられていく。

産婦人科医 宋美玄氏:
宇宙に関係なく、研究にもっと投資してほしいですね。

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