土石流2沢合流地点で発生午前4時台の避難指示に気づけず(2023年7月11日)

土石流2沢合流地点で発生午前4時台の避難指示に気づけず(2023年7月11日)

土石流「2沢」合流地点で発生 午前4時台の避難指示に気づけず(2023年7月11日)

 九州北部を中心とした記録的豪雨では福岡県などで4人が死亡し、4人の行方がいまだ分かっていません。土石流が発生した福岡県久留米市では逃げることが難しい午前4時台に避難指示が出されていたことが分かりました。

■土石流 「2沢」合流地点で発生

 被災地に容赦ない日差しが照り付けます。土石流が発生した久留米市田主丸町では70代男性の死亡が確認されています。土石流は一気に家屋や田畑をのみ込み、人々が暮らしていた景色を一変させました。のどかな、どこにでもある集落の面影は土石流により壊滅的な被害を受けた様子が分かります。6年前の九州豪雨などでも、ここまでの被害はありませんでした。

 なぜこの地域が甚大な被害を受けたのでしょうか。地図で見ると、上流にある2つの沢が合流することが分かります。

 防災システム研究所 山村武彦所長:「立ち木や流倒木がせき止めダムみたいなものを作って、そこに一定量の土砂と水がたまる。起こりやすい所が(渓流の)合流地点やその(合流)前。それが決壊すると、一気に周りの斜面や立ち木を巻き込みながら土石流になることはある」

 被害は防げなかったのか。現場には5段階あるうちのレベル4に相当する「避難指示」が出されていました。ただ、午前4時台に出されたため、住民が気付きにくい時間帯でした。これまでの災害では大丈夫だったこと、気付きにくい時間の避難指示も重なり、油断が生じていたとの証言もあります。

 被害に遭った住民:「仕事があったから寝ておかないときつい(と思い)また寝た。安心してた。まだレベル4だったから」

■「緊急放流」命守る情報共有

 福岡県朝倉市でも緊迫する局面でぎりぎりの判断がありました。寺内ダムで10日午前9時50分ごろから行われたのが緊急放流です。

 水資源機構 寺内ダム管理所 木屋俊治所長:「断続的に計画を上回る規模の雨が続いておりまして、元々のためられる容量をすべて使い切ってしまった」

 緊急放流は、ダムの貯水量が限界を越す前に放流する水量と流入する水量を同じにする操作です。その影響で、下流の佐田川の水位は一時いつ氾濫してもおかしくない氾濫危険水位に達しました。

 5年前の西日本豪雨では、愛媛県西予市でダムの緊急放流後に川が氾濫し、5人が死亡しました。

 寺内ダムの下流に住む人たちは初めての緊急放流に直面し、どんな行動を取ったのでしょうか。緊急放流は決まり、警戒レベル5の「緊急安全確保」が出された三奈木地区では。

 三奈木コミュニティ協議会 武田雄一会長:「『今までにないような放水量になる』ということで、『地域の方に避難をするように伝えてくれ』と(連絡があった)」

 結果は、佐田川の氾濫は免れましたが、多くの住民が避難を完了させていました。それを可能にしたのが情報共有の仕組みです。

 三奈木コミュニティ協議会 武田雄一会長:「避難は午前7時半すぎからですね」

 実際の緊急放流開始は午前9時50分ごろ、それに対して予告通知は過去の豪雨災害の教訓を受け、2時間早めての3時間前と1時間前、2段階となっていました。さらに伝え方にも工夫が。屋外に設置された防災無線だけではなく、有線放送も活用。

 三奈木コミュニティ協議会 武田雄一会長:「家庭の中に聞こえるわけですね。雨や風の音が影響なく聞こえる。常に災害に対して取り込む姿勢できていたので、訓練に基づいて今回スムーズにできた」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

ANNnewsCHカテゴリの最新記事