家にいたら今も皆でいれたのかな近隣警戒呼び掛け中に土砂が九州北部で豪雨被害(2023年7月10日)

家にいたら今も皆でいれたのかな近隣警戒呼び掛け中に土砂が九州北部で豪雨被害(2023年7月10日)

「家にいたら今も皆でいれたのかな」近隣警戒呼び掛け中に土砂が…九州北部で豪雨被害(2023年7月10日)

10日未明から相次いで発生した線状降水帯が、九州北部に記録的な大雨をもたらしました。福岡・大分・佐賀の各県で死者や行方不明者が出ています。降り続く雨によって、土砂災害の危険性が高まっていて、命を守るための最大級の警戒が必要です。

■福岡・住宅7棟がのみ込まれる

災害級の大雨となった福岡県内のあちこちで、水があふれ出しました。福岡の広川町では道路が濁流となり、家が倒壊。また、軽トラックが用水路に流され、高齢男性が亡くなりました。

久留米市は、市内全域に緊急安全確保を発表。久留米市の東に位置する田主丸町では、巨瀬川が氾濫し、水面の高さは、川沿いの建物にまで達しました。

田主丸町中央病院に水が侵入してきたのは、午前5時過ぎのこと。夜勤のスタッフだけで、1階の入院患者ら50人の避難を急ぎました。

田主丸町中央病院・石飛隆敏PFM事務長:「ベッドのまま、2階の方に午前中移動した。(Q.靴なども落ちているが)それどころではなかったので、慌てて。(病院に)近寄れないので、スタッフも集まっていなかった。院内にいるスタッフの中で一生懸命、急いで上げた」

病室には、飲みかけのお茶などが残されたまま。浸水の影響で、エレベーターは止まっています。外来を再開するめども立っていません。

田主丸町では大規模な土石流も発生。住宅7棟がのみ込まれました。住民の70代男性の死亡が確認されています。

救助を見守る住民:「(Q.家族や知り合いは)知り合いいますよ。ただ、もう近寄れない。1番上の6人は無事その下がちょっとわからない半分も自宅が流されて」

東司幾信さん(69)は、命からがら逃げ出せた1人です。自宅の1階と2階は、もうつながっていません。家ごと、回転したといいます。

東司幾信さん:「中にいる時もグルグル回っていました。とにかくあぜんとして、今からちょっと考えないと」

巻き込まれた10人は救助されましたが、そのうち70代の男性が死亡しました。

朝倉市にも一時、緊急安全確保が出されました。川が暴れ、茶色に染まった街は、6年前の九州豪雨を思い起こさせます。いたるところで、土砂災害が起きていますが全容はまだ、つかめていません。

今回の被害をもたらしたのは、線状降水帯です。夜明け前の午前3時過ぎから、福岡県で4回、大分県と佐賀県で2回ずつ線状降水帯が発生しました。

■佐賀・土砂崩れで2人不明

佐賀県唐津市の住宅にも、土砂が押し寄せました。命からがら逃げ出した筒井由紀さん(57)。同居していた夫と父とは、まだ連絡が取れていません。

筒井由紀さん:「ゴーッと山が鳴って。危ないと思った時には、もう家が…。助かるのを願うだけです」

大きな被害を受けた住宅は2棟。1棟は1階部分が土砂に埋まり、もう1棟は大きな岩に押しつぶされているかのようです。消防などによると「山が崩れた」と通報があったのは午前6時過ぎ。佐賀県に対する「顕著な大雨に関する情報」の発表から、わずか1時間半後のことでした。60~70代の女性1人が死亡し、男性2人とはまだ連絡が取れていないということです。

行方不明の男性2人の家族、筒井紀顕さん(26)です。筒井さんによると、行方不明の2人は筒井さんの父(50代)と祖父(70代)にあたるそうです。当時の状況を話してくれました。

筒井紀顕さん:「雨がやんでから、すごい音がした。土砂が落ちて来るのが見えて、見えたと同時くらいにガシャガシャってガラスが割れる音がし始めて、ここを閉めた」

母と2人で、台所の窓から逃げ出しました。しかし、行方不明の父と祖父は、集落の1軒1軒に警戒を呼び掛けている最中、土砂崩れに巻き込まれてしまったといいます。

筒井紀顕さん:「せめて家の中におってくれたら。皆でいれたんだろうなって。家とか車とかダメになっても」

二次災害の恐れがあるため、夜には捜索をいったん中止し、11日早朝から再開する予定です。

■大分・河川氾濫で“緊急安全確保”

7日から雨が降っていた大分県。10日朝には大雨特別警報が出され、日田市で350ミリを、中津市では420ミリを、この72時間でそれぞれ超える大雨となりました。

一級河川の山国川では、水位が橋や道路と同じ高さにまで上がる事態に。線状降水帯の発生から氾濫発生情報までの時間が1時間半程度だったため、10日朝は短い時間で一気に降ったことになります。

避難した住民:「昨夜からアメダスのレーダーを見ていて、危険が迫っているかどうか常に確認していた。午前5時半ぐらいに“危ない限界だな”と」

中津市と日田市では、複数の地区でレベル5の緊急安全確保の避難情報が出されました。中津市の耶馬渓は“日本新三景”とも言われていて、流れる渓流は穏やかそのものです。しかし、今はその面影もありません。中津市では今回、1人が行方不明となっています。50代の女性が「車に水が入ってきた。今車につかまっている」と消防と話した後、連絡が取れなくなりました。

片付けをする住民に話を聞くことができました。

川野明美さん:「(Q.どういう思い)ここはだめだと。この場所はだめだねっていう気持ちですかね。移らないと同じことが繰り返されるのかなあって。(Q.ずっとこの場所で育った)生まれはここです。(Q.愛着・思い出もある)がっかりです。来たかっていう感じで」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

ANNnewsCHカテゴリの最新記事