蒸気噴出で「ヒ素」検出 飲料水基準で2100倍 北海道の掘削現場で何が?【Nスタ解説】|TBS NEWS DIG
■「想定外のところに高温高圧の地下水の層が」
日比麻音子キャスター:
北海道蘭越町の掘削現場で蒸気が噴出している問題。10日以上経った今もその勢いは収まっていません。
蘭越町は札幌から車で約2時間ほど離れた場所にあります。
では、なぜ掘削していたのか?6月25日 、地熱発電の資源量を調査するため掘削をしていました。地下、約3000メートルにある地熱貯留槽まで掘り進めようとしたところ 、6月29日に、約200m掘り進んだところで、蒸気が噴出しました。
静岡大学 北村晃寿教授によりますと、「想定外の場所に高温高圧の地下水の層があり、そこを掘削してしまった可能性が」あるということです。
■「成人でも300ミリリットル程度飲むと中毒症状が起こる」
そして、問題となっているのは検出された成分です。7月5日に掘削現場で採取された水から国が定める飲料水基準の1590倍にもあたる高濃度の「ヒ素」が検出されました。
さらに9日には飲料水基準の2100倍に高まっています。
この「ヒ素」は農林水産省によりますと、地殻中に分布し火山活動など自然現象により環境中に放出され、全国の土や水の中に存在しているということです。
“毒性の強さ”が特徴で殺虫剤や殺鼠剤などに使用されています。今回、検出されたヒ素の濃度について専門家に聞きました。
法科学研究センター 雨宮正欣所長:
「成人でも300ミリリットル程度飲むと中毒症状が起こるくらいの高濃度。発熱・下痢・嘔吐・脱毛などの症状を引き起こす場合も」
■4人が体調不良を訴えるも…掘削している会社は「因果関係は不明」
掘削作業にあたっている三井石油開発は7月8日にホームページ上でヒ素について以下のようなお知らせを掲載しました。
「ただちに人体に影響が出るものではございませんが、(中略)ヒ素は大気中に放出されてもほぼ残存しません。水滴が皮膚に直接付着した可能性がある場合には、よく洗い流して頂きますようお願い致します」
実際に蘭越町の健康被害相談窓口には体調不良を訴える人が4人いるということです。
この4人に関して三井石油開発は「因果関係は不明」としています。
■“川の水が白く濁る”現象が 農家からは「誰か責任をとってください」
日比麻音子キャスター:
そして人体への影響のみならず、農作物への影響なども懸念されています。
蘭越町はお米「らんこし米」や「ようていメロン」など農業が盛んな町ですが、蒸気が噴出して以降、各所で農業用水にも使われる“川の水が白く濁る”現象が確認されています。
7月4日、三井石油開発による住民説明会では、農業用水基準の約1.8倍の「ヒ素」が検出されたと発表しています。この状況を受け、三井石油開発は農業用水の取水制限を呼びかけました。
農家の方からはこんな声も聞こえています。
「誰か責任をとってください」
「農作物は1日たりとも休んでくれない」
「ファミリー農園 日比野」の日々野準さんは、現在メロンを約4000玉(500万円相当)を栽培していますが、取水制限がかかってしまったため、蘭越町に依頼し、給水車で水を運んでもらっているそうです。
また「ファミリー農園 日比野」の日比野準さんはこのように話します。
「あすから使用を再開するが、風評被害が心配。出荷しても購入してもらえなかった場合、どこまで補償してくれるのか・・・」
7月10日の午後7時から2回目の住民説明会がありますが、農家の皆さんにとっても不安な時間が続いています。
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