【解説】ヤフコメ一部記事「閉鎖」理由説明なし 専門家「メディア選別なら説明責任果たすべき」
ヤフーニュースに掲載された記事に付くコメント欄が、3媒体が提供する一部記事で閉鎖されていました。ヤフーはかねて誹謗中傷などの対策を取ってきましたが、特定の社を対象とした理由は明らかになっていません。専門家からは懸念の声が上がっています。
■「契約上のこと」…理由明かさず
有働由美子キャスター
「ヤフーニュースに掲載された記事は、通常ならコメント数が表示され、下の方にコメントが並んでいます。ところが、『NEWSポストセブン』『週刊女性PRIME』『東スポweb』の3媒体が提供する一部の記事で、コメント欄が閉鎖されていることが分かりました」
「例えば『NEWSポストセブン』なら、スポーツに関する記事はコメント数が表示されてコメントできますが、エンタメに関する記事はコメントができなくなっています。なぜこの3メディアなのかと疑問に思いました」
小栗泉・日本テレビ解説委員
「その点は気になりますが、はっきりしません。ヤフーは『契約上のことなのでお答えできない』と、理由を明らかにしていません。また(各メディアを運営している)3社のうち2社も『守秘義務なのでお答えできない』としています」
■かねてトラブル…ヤフーは対策強化
「そもそもコメント欄をめぐっては、これまでもコメントで口論になった相手を呼び出して暴行を加える事件が起きたり、誹謗中傷が問題になったりしていました」
「そのためヤフーは対策を強化していて、例えばAIが違反コメントを判定してその数が基準を超えると自動的に表示できなくなるシステムや、そもそもコメント欄を見たくない人が表示しないことを選べるようにする措置を導入しています」
有働キャスター
「となると、その記事ごと(の判断)でいいのではないかなと(思ってしまいます)。やはり、なぜこの3媒体になっているのか疑問です」
小栗委員
「専門家もその点を指摘しています。ネットメディアの問題に詳しい法政大学の藤代裕之教授は『ヤフーは影響力の大きいプラットフォーム。説明もせずに、特定の媒体や特定の記事だけを選んでコメント閉鎖することは、世論操作につながってしまう』と指摘します」
「その上で『メディアを選別するのであれば、ネットユーザーに説明責任を果たすべきだ』と話しています」
■どうする? 中傷相次ぐコメント欄
辻愛沙子・クリエイティブディレクター(「news zero」パートナー)
「広告業界でも、ヤフーはコンプレックスを過度にあおる広告の出稿を禁止するなど、倫理的な取り組みをしています。ヤフコメだと、誹謗中傷やそれをあおるような釣り見出しの問題は、これまでもずっと指摘され続けています」
「コメント欄をやめるにしても、フィルタリングを強化するにしても、一部メディアだけでなく、全体の方針として理由を開示して判断する必要があるのではないかと思いました」
有働キャスター
「誹謗中傷対策は言わずもがなですが、自由な場と思っていたのが急に『閉鎖』と言われると、『なぜ』という疑問は残ります。その『なぜ』に答えるユーザーとのコミュニケーション、丁寧な説明をしてほしいなと思います」
(2022年6月1日放送「news zero」より)
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