九州南部で大雨市民生活に打撃河川増水で周辺住民に走る緊張(2023年7月4日)

九州南部で大雨市民生活に打撃河川増水で周辺住民に走る緊張(2023年7月4日)

九州南部で“大雨”市民生活に打撃 河川増水で周辺住民に走る緊張(2023年7月4日)

 九州では鹿児島を中心に4日も雨が強まっていて、市民生活に大きな影響が出ています。4日も静岡であられやひょうが降るなど、各地で大気が不安定な状態となっています。

■“河川増水”周辺住民に走る緊張

 4日も降り続いています。ワイパーをかき消すほどの雨が降る鹿児島県。市街地も状況は同じです。傘も用をなさない雨が降った鹿児島市内。1時間に30ミリを超える激しい雨が観測されました。

 梅雨前線が九州南部に停滞。種子島で今年一番の激しい雨が降るなど危険な状況は4日も続きます。

 指宿に設置された情報カメラ。午前7時半すぎ、まだ雨がぱらつく程度ですが、わずか10分ほどで雲が流れ、遠くがかすんでいく様子が分かります。そして午前8時半すぎ、画面にも雨が当たり始めます。普段は鹿児島湾越しに桜島を臨める場所も。桜島の麓は厚い雲で覆われています。フェリーに乗り、桜島を目指します。神社にも横殴りの雨がたたき付けています。

 交通への影響も出ています。鹿児島の在来線は一部運休となり、人々は行き場を失っています。

 大学生:「大学に行く途中で、通学に(電車を)使おうと思っていた。学校に行けないのは大変。予定が狂う」

 警戒が必要なのは河川の氾濫です。鹿児島市内を流れる稲荷川。この雨でみるみる増水。氾濫注意水位に達しようとしています。

 川の近くに住む人:「きのうも車を全部、高台に持って行った。急激に(水位が)上がる経験がある」

■かすむ視界 関東で局地的に強い雨

 雨は九州だけの話ではありません。午後になり、関東でも局地的に強い雨が降り始めました。栃木でも服を絞るほどの雨です。竜巻注意情報が出た静岡。雷の音はイヤホン越しにも聞こえていました。突然の雨に人々はなすすべもありません。雨だけではなく、ひょうやあられが降りました。

 撮影した人:「雷が先に鳴っていて、突然、大量に降ってきたのでびっくりした」

■益城町 復旧作業を阻む“暑さ”

 3日、2度の線状降水帯に見舞われた熊本県。益城町では複数の川が氾濫し、大量の水が流れ込みました。普段は田んぼや畑が広がるのどかな農地は一面が茶色く濁った水で覆われます。4日は大部分で水が引き、被害の状況が分かってきました。後片付けに追われる人々。立ちはだかるのは容赦ない真夏の暑さです。

 地元農家:「暑い」「(Q.作業は何時から)8時から。(作業は)まだ100メートルくらい。町も手がいっぱい。急きょ、きのうの夜、皆と連絡を取り集合と」

 優先するのは用水路の確保だといいます。ただ、用水路の幅は狭く重機が使えません。地道に手作業で土砂や流木を取り除いていきます。

 地元農家:「雨が上がったら田んぼに水をやらないと。干からびる。水田は水が一番大事」

 益城町では3日、7月の観測史上最大となる1時間に80ミリの猛烈な雨が降りました。濁流が押し寄せ、崩落した道路。一夜明け、川の水位は急激に下がり、復旧作業が急ピッチで行われました。

■本堂“倒壊”の寺 復旧メド立たず

 復旧の見通しが立たない場所もあります。およそ100年前に建てられた浄恩寺の本堂。無残にも押し潰されるように崩れました。一体、何が起きたのでしょうか。現場には。

 浄恩寺住職・玉春勇樹さん:「ここに道路があったが、今は土砂で埋もれている。道の向こうに山があり、その土砂が本堂に向かって流れた」

 もともと寺の横には道路があり、その向こうには山がありました。3日の午前7時半ごろ、山の斜面が崩れ、土砂が本堂に押し寄せたといいます。空から見ると、向かいの山の斜面が大きく削られている様子が分かります。震度7の地震でも崩れなかったという本堂、住職や家族にけがはありませんでした。

 浄恩寺住職・玉春勇樹さん:「熊本地震の時、震度7の地震を2度耐えてくれた。傾きはしたが、おとといまでもってくれた本堂でした。外から見て、屋根が落ちてる以外、私も中は分からない」

 お盆の供養もままならない状況に、ただただ戸惑うばかりです。

 浄恩寺住職・玉春勇樹さん:「元通りになるには、1カ月、2カ月ではないと思う。一番怖いのは土砂がさらに流れ込むこと」

 5日は九州など西日本で局地的に大雨となる見込みです。土砂災害などにさらなる警戒が必要です。
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