「すべて終わる」“プリゴジン包囲網”で影響力排除の動き? “巨大利権”の行方は(2023年7月2日)
反乱から1週間。プリゴジン氏をめぐり情報が錯綜する中、番組はワグネルの関係者を直撃取材しました。
一方、ウクライナが年内の「停戦交渉」を計画していたことが報じられました。
戦況はどうなっていくのでしょうか
■ウクライナ「年内に停戦交渉開始」を計画か
ワシントン・ポストによると、複数の当局者の話として、CIAのバーンズ長官が6月始めにキーウを極秘訪問。ウクライナ側から秋までに広範囲な領土を奪還し、年内にロシアとの停戦交渉を始める計画だと説明されたということです。
(ウクライナゼレンスキー大統領)「もう一度、強調するが、ウクライナは本来の国境線、国際法に基づいた国境線を取り戻したときに特定の交渉を始める。」
■発信途絶えた“反乱のプリゴジン氏”今どこに
反転攻勢を進めるウクライナに対し、ロシアは、民間軍事会社「ワグネル」の創設者プリゴジン氏の反乱で揺れています。
(プリゴジン氏)「ロシア国民は我々の国にある官僚主義や他の疾患との戦いとしてみている」
先月26日のこの音声を最後に、6日間、情報発信が途絶えているプリゴジン氏。そんな中、ロシアのサンクトペテルブルクに、プリゴジン氏と似た人物が現れました。地元メディアが撮影したこの写真。記事では、シャツは、以前プリゴジン氏が着ていたものと似ていて、後ろを歩く男性は、去年のワグネル兵士の葬儀の時にプリゴジン氏と一緒にいた人物だと報じています。
一方、イギリスのBBCは、左手に注目。プリゴジン氏の指は一部が欠けているが、この写真の人物の指はそうは見えないと報じています。ロシアの独立系メディアの編集長は…
(ロシア独立系メディア「iStories」アニン編集長)「ロシア当局は、プリゴジンと結んだ契約によって、7月1日まで時間を与えた。プリゴジンがロシアでやっていたことを全て整理するためにです。今後はベラルーシに行くでしょう。ルカシェンコが約束したプリゴジンの安全が保障されるのはあそこだけでしょうから」
ルカシェンコ大統領は
(ベラルーシルカシェンコ大統領)「ワグネルの教官がベラルーシに来て戦闘経験を伝えてくれるなら自分たちはそれを受け入れるつもりです」
■「急ピッチで建設」ワグネル兵“拠点”ベラルーシに?
そのベラルーシで、ワグネル用のキャンプが建設されていると報じるロシアの独立系メディアも…
先月15日には、何もなかった軍事基地の跡地に30日には、大量の施設が出来上がっていました。
(ロシア独立系メディア「ビョールストカ」レフチェンコ副編集長)「この宿営地の建設に関わっている役人に電話しました。宿営地は8000人を収容することができ、急ピッチで建設が進んでいます。火曜日の昼頃には完成するとのことです」
また、ベラルーシの独立メディアからは…
(ベルサットTV)「ワグネルの戦闘員が使うマットレス8000個の注文を受けたという工場の情報を得ました。かなり緊急性が高い発注のようです」
記者に話を聞くと…
(ベラルーシの独立メディアベルサットTVイーゴル記者)「依頼を受けたとみられる工場に直接電話をしました」
その時の工場の担当者の音声です。
(マットレスの工場長)「ワグネルから注文を受け付けることはない。今後も絶対あり得ないと思う」
工場側は、マットレスの受注はないと否定しましたが…
(イーゴル記者)「ベラルーシは国営企業も民間企業もルカシェンコの命令には逆らえない独裁国家です。特に(再選後の)2020年以降は今のロシアより厳しくなっています」
そもそも、プリゴジン氏の反乱は、ワグネルがロシア国防省の傘下に入ることへの抵抗でした。
■「7月1日に消滅する」ワグネル本社でロゴ撤去
プリゴジン氏が「ワグネルが消滅する」と懸念した、きのう7月1日。サンクトペテルブルクの本社ビルでは、ワグネルのロゴをはがす作業が行われていました。兵士の募集は今も続いているのか…ワグネル事務所の人が取材に応じてくれました。Q.今はワグネル兵の募集はしていますか?
(クルガン州のワグネル事務所)「求人情報はすべてインターネットにあります」
「つまり志願者を募集しているのですね」
Q.ワグネルが消滅するとプリゴジン氏が述べていましたが、今後は?
「誰かがそう言うかもしれないが信じられますか。私はあなたがだまされていると思います。」
一方で、担当者本人の今後について聞いてみると…
Q.今後もワグネルを続ける?
「俺か、神が許すならば…」
Q.今後(ロシア)国防省に行きますか?ワグネルにとどまりますか?
「そのことは多くの人が考えていますが、情報もないし、電話では話せません」
■「すべて終わる」“プリゴジン包囲網”で影響力排除か
プリゴジン氏が手がける事業は、民間軍事会社「ワグネル」に留まりません。プーチン大統領と同じサンクトペテルブルクの出身で、そのパイプを生かし、学校給食や兵士への配食事業などで急成長。今やプリゴジン氏の企業グループ「コンコルド」は不動産やメディアなど、幅広い分野でビジネスを展開しています。さらにワグネルはロシア軍の「別動隊」として、アフリカ諸国の内戦に介入していて、そこでも―
(ロシア独立系メディア「iStories」アニン編集長)「アフリカの地下資源の転売でも大きな収入を得ています。彼はそこに会社を持っており、石油や貴金属の転売をし、何億ドルもの収入を得ています」
今回の「反乱」で、これらの巨大な利権はどうなっていくのか…。「コンコルド」グループに属するレストラン船についてコールセンターに電話してみると―。
「船のレストランです」
Q.このレストランは「コンコルドグループ」に関係ありますか?
(コンコルドグループ担当者)「今はないです」
“今は”レストランとコンコルドグループは関係がないとの答え。さらにケータリング事業を行うグループ会社に電話。その名も「コンコルド・ケータリング」ですが―。
Q.この会社はコンコルドグループの所属ですか?
「知りません」
Q.知りませんか?会社の所有者はプリゴジン氏ではないですか?
「もちろん違いますよ」
Q.プリゴジン氏の事件以降の変化は?
「…(※電話がきれる)」
プリゴジン氏の影響力排除の動きが始まったのでしょうか…
(ロシア独立系メディア「iStories」アニン編集長)「それらの会社も終わるでしょう。アフリカなどでの軍事、メディア活動すべてはロシア当局、国防省と契約を結ばなければ不可能です。これらの金でワグネルが維持されていました。それはすべて終わるでしょう」
プリゴジン氏の今後について、ベラルーシの政治アナリスト・フリードマン氏はルカシェンコ大統領にかかっていると話します。
(ベラルーシの政治アナリストフリードマン氏)「ルカシェンコ大統領はプリゴジン氏なしでアフリカ市場進出は難しいと分かっています。自分にとってメリットがあるうちはプリゴジン氏との関係を続けますが、利益がなくなればベラルーシにとどまらせないでしょう」
7月2日『サンデーステーション』より (C) CABLE NEWS NETWORK 2023
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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