ふるさと納税のルール見直し税金の半分が個人の利益に競争過熱でゆがみ指摘もnews23TBSNEWSDIG

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ふるさと納税のルール見直し 「税金の半分が個人の利益に…」競争過熱で“ゆがみ”指摘も【news23】|TBS NEWS DIG

寄付総額が年々増加しているふるさと納税ですが、そのルールの一部が見直されます。返礼品競争が過熱する中で制度の“ゆがみ”が背景にあるのではとも指摘されています。地方と都市部、それぞれの自治体が抱える「悩み」から、制度のあり方を考えます。

■ふるさと納税「ルール見直し」 競争過熱で“ゆがみ”も

NEWSDIG 久保田智子 編集長:
ふるさと納税を使っている方も多いと思います。制度開始から15年が経ち、寄付額は年々増加していて、2021年度は8300億円を超えています。

ふるさと納税といいますと、都市部と税収の少ない地域の格差是正が目的とされています。ただ、その制度には“いびつさ”もあると問題視されてきているんですね。

総務省は「10月から一部のルールを見直す」としています。
返礼品にかかわるもの、経費にかかわるもの、大きく二つあります。

まずは返礼品について、加工品の中でも「熟成肉」や「精米」に関しては、原材料は自治体が属する都道府県産に限るとします。そして、経費に関しては、返礼品の経費総額は「寄付額の5割以下」としていますが、これを厳格化するということです。

注目していただきたいのが、「経費総額が5割以下」ってご存知でしたか?
実は、多くの自治体がおよそ5割ぐらい使っている、ということです。どういうことなのか、長野県の例で見ていきます。

■寄付の半分は“経費” ふるさと納税「見直し」

長野県のケースですと寄付額は約12億円なのですが、これ全てが税収になるわけではありません。内訳を見ますと、▼返礼品が3割、▼民間のポータルサイト手数料が1割、▼配送料などが1割、ということで、寄付額のおよそ半分は消えてしまうということです。

では、残りのおよそ6億円が税収になるかというと、そうでもない。というのも、長野県からふるさと納税で流出する額というのもあるんですね。

流出額がおよそ14億円。ただ国が75%補填するなど条件があり、最終的に計算をすると、税収としては約2.5億円になるということです。それにしてもそもそもの寄付額と比べるとだいぶ少なくはなりますよね。

山本恵里伽キャスター:
そうですよね。12億円の寄付額だったのが最終的に税収は2.5億円になる。

久保田編集長:
寄付額の部分について問題点をまず指摘したいと思います。経費総額が半分になることについて、ふるさと納税に詳しい吉弘教授に聞きました。

桃山学院大学 吉弘憲介 教授は「行政サービスに使われる税金の半分を、個人の利益や行動に交換するために使ったと言える」と指摘しています。

小川彩佳キャスター:
「言われてしまった〜」という感じはありますよね。

山本キャスター:
利用している人間からすると、すごく複雑な思いで今いっぱいです

小川キャスター:
本当に魅力的な返礼品がいっぱいありますから、そこに心躍ってしまうとか、そういうところが正直ありますけれどもそれだけではなくて、こういったお金の流れというのは把握しておくことも必要だな、と思いました。

■一方、都市部では「97億円流出」の自治体も

久保田編集長:
こうした状況に一石を投じようと、長野県は、4月に「ガチなが」という県直営のふるさと納税サイトを立ち上げました。

伝統工芸品の支援など、10の事業への寄付を呼びかけていますが、最大の特徴は「返礼品を提供していない」点です。返礼品などにかかるコストを減らし、地域で使える金額を増やすことを目的としていて、開設から2か月で、125万円ほどが集まっているということです。

県は当面、現在のふるさと納税制度と「ガチなが」の共存を図っていくとしていますが、将来的には「ガチなが」への一本化を目指したいとしています。

一方、都市部では税金がかなり流出していて、世田谷区は速報値で今年度の流出額は”約97億円”になるということです。こちら、どれくらいの額かというと、例えるならば「小学校2校を改築可能な額」だということです。

山本キャスター:
本来の目的としては「格差是正」だからいいと思うんですけど、額の問題ですよね。

久保田編集長:
「制度設計についてどうなのか」と思われる方も多いかもしれません。再び吉弘教授に聞きました。

吉弘教授は「自治体への寄付総額や個人の控除額に大胆に条件を設ける必要があるのではないか」と指摘しています。このままだと“歪んだ状態”のまま続いてしまうのではないか、ということです。

小川キャスター:
今回のルールの変更はこの“いびつな形”を是正するものにはなっていないわけですね。

久保田編集長:
まだ大胆とは言えないかもしれませんね。

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