“ワグネル反乱”プリゴジン氏は一転してベラルーシ入り 仲裁の舞台裏に警告「民間人に死者が出れば…」【Nスタ解説】|TBS NEWS DIG
ロシアで反乱を起こした民間軍事会社ワグネルの創設者・プリゴジン氏は、消息不明から一転して隣国・ベラルーシに入りました。
仲裁を担ったのがベラルーシのルカシェンコ大統領。その仲裁の舞台裏を探ると…「民間人に死者が出れば交渉の仲介は行わない」という警告も。専門家とともに、今回の反乱を読み解きます。
■プリゴジン氏 消息不明から一転「ベラルーシ入り」のワケは?
南波雅俊キャスター:
ロシアで反乱を起こした民間軍事会社「ワグネル」のプリゴジン氏について。消息不明、そこから一転ベラルーシ入りした理由と、仲裁の舞台裏について詳しく見ていきたいと思います。
まずはこれまでの経緯を見てみましょう。
▼6月10日
ロシア国防省が「ワグネル」など志願兵部隊に対し、契約を結んで傘下に収めようという命令をしました。これに対しプリゴジン氏は反発しました。
▼6月23日
『ロシア国防省が「ワグネル」の陣地にミサイル攻撃し、多くの戦闘員が死亡した』と主張して、ウクライナ・バフムトからロシアに進軍をしていこうと動き出します。
▼6月24日
ロシア・ロストフ州の軍事司令部などを占拠しました。しかし、その日の夜「進軍停止・撤退」を表明しました。そこからプリゴジン氏は消息不明となりました。
▼6月27日
ベラルーシのルカシェンコ大統領が
『プリゴジン氏はベラルーシにいる』こと、ワグネルに対して滞在先を提供することを表明しました。
プリゴジン氏とルカシェンコ大統領、プーチン大統領はそもそもどういった関係なのか、関係性を見ていきたいと思います。
ロシアとベラルーシというのは、深い関係、同盟関係にあります。
ロシアによりますと、プリゴジン氏とルカシェンコ大統領は“20年来の知人”だということです。プリゴジン氏はロシア国内で何をするにしてもプーチン大統領の許可が必要、ということで、「ワグネル」自体もプリゴジン氏自体もプーチン大統領に依存していますし、プーチン大統領はそれを利用する、という関係性にある状況です。
その中でなぜベラルーシがプリゴジン氏らの仲介に入ったのでしょうか?
笹川平和財団 畔蒜泰助 主任研究員によると…
「ロシアとベラルーシは統合に向けて状況が進んでいる。その中で、ロシアで内乱があれば、ベラルーシにも影響が出るため仲裁したのでは」
■ルカシェンコ大統領 仲裁の舞台裏にあった“警告”
南波キャスター:
仲裁の舞台裏というところを見ていきますと…
▼6月24日午前10時(現地時間)
ロシアに対しての進軍を始めているという状況下で、プーチン大統領はプリゴジン氏に電話をしましたが『電話に出ない』という状況でした。
▼午前11時(現地時間)
プリゴジン氏に繋がる電話番号をルカシェンコ大統領が調べ、電話をしたところ“興奮状態”だったということです。
ルカシェンコ大統領はプリゴジン氏に対し「民間人に死者が出たら交渉の仲介はしない」と警告もしました。
▼午後5時(現地時間)
プリゴジン氏からルカシェンコ大統領に電話があり、プリゴジン氏が『進軍の中止は受け入れる。ただ、進軍をやめた際にロシア軍から攻撃されるのでは』という不安を話したため、『ロシア軍の攻撃はないと保証する』と答えました。
▼27日(現地時間)
ルカシェンコ大統領がベラルーシ入りを明かしました。これが“亡命”なのか“一時的な滞在”なのか、大きなポイントになってきます。
ホラン千秋キャスター:
これまでであれば反乱的な動きをプーチン大統領に対して見せたとしたら、それなりの処罰が下されてもおかしくない、というような状況だったと思います。そうではなく、ベラルーシに入る。この背景にはどんなことを考えられますか?
笹川平和財団 畔蒜 主任研究員:
そもそも『プーチン大統領がプリゴジン氏に電話をしたけども出なかった』というわけではないんです。プーチン大統領とルカシェンコ大統領が話したときにも、プーチン大統領は『断固たる措置を取るんだ』という決意をしていたようなので、ルカシェンコ大統領が『急ぐな、待て』と説得をして。そこから自分が電話をしてみるということで、このプロセスが始まったということなんですよね。
今回、ルカシェンコ大統領は、ロシア軍とワグネル軍の軍事衝突という最悪の事態は、ロシアにとってもベラルーシにとっても避けたかったんだと思います。というのは、既にウクライナで戦争をやっていますから。
さらに国内で、もう一つの戦争抱えるというのは、あまりにもリスクが大きい。プーチン大統領を説得をして、最終的にプリゴジン氏をベラルーシが引き受けるということを、最終的な交渉の中でルカシェンコ大統領が引き受けたということですね。
■「最悪の事態は避けた」が…今後の展開は?
井上貴博キャスター:
最悪の事態を避けましたが、多くの専門家の皆さんは「プリゴジン氏の反乱というのは、プーチン大統領にとって大きなダメージだ」というふうにおっしゃいます。しかし、この戦争が始まってから見ていくと、西側諸国の分析が、見立てが外れていることが多いな、というか。「もうプーチンは駄目だろ…(https://newsdig.tbs.co.jp/list/article?id=jnn-20230628-6094130)
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