プリゴジン氏“無事はありえない” 反乱を懸念? プーチン氏思惑は(2023年6月27日)
消息不明となっていたプリゴジン氏が11分間の音声メッセージでモスクワへの進軍をやめた理由を説明しました。その音声からおよそ4時間後、今度はプーチン大統領が緊急演説を放送。こうしたなか、プリゴジン氏の所有するビジネスジェットがベラルーシに到着しました。
■所在不明から一転…“11分音声”
モスクワへの進軍を停止して以来、音沙汰がなかったプリゴジン氏。ベラルーシの独立系軍事情報監視団体がプリゴジン氏のビジネスジェットが27日午後、ベラルーシに着陸したと報じました。本人も乗っていたのでしょうか。
最新声明も届いています。公開されたのは11分間、音声だけのメッセージ。プリゴジン氏は引き返した理由を説明しています。
プリゴジン氏の音声メッセージ:「1点はロシア人の血を流したくなかった。2点目は進軍はクーデターを起こすためではなく抗議を示すためでした。我々はロストフ市に入り、完全に制圧した。市民は我々に会えて喜んでいた」
プリゴジン氏は「正義の行進」であって「国家を転覆させるためではなかった」と訴えました。
■4時間後 プーチン氏が“緊急演説”
そのおよそ4時間後、今度はプーチン大統領の演説が始まることが分かるとアメリカのCNNは会話を中断して急きょ、ライブで伝えました。
ロシア、プーチン大統領:「いかなる場合でも反乱は鎮圧される。兄弟同士の殺し合いを望むのはキーウのネオナチ、西側の支援者たち、そして国家反逆者たちだ。反乱の首謀者は国と国民を、さらに仲間であるワグネルの兵士たちまで裏切った」
プーチン大統領は「首謀者は裏切者」と批判したものの、「プリゴジン」という名前を口にすることはありませんでした。
■「ロシアの争い」バイデン氏反発
アメリカのバイデン大統領は、24日から25日にかけて英・独・仏・カナダの首脳と今回の反乱について電話で協議したといいます。
アメリカ、バイデン大統領:「私たちはプーチンがこの件について、西側のせいにしたり、NATOのせいにしたりすることを許さないことで一致した。私たちが関係がないこともはっきりさせた。何も関与していない、これはロシア国内の争いだ」
■“プリゴジンの乱”は「西側のせい」
ロシアのプーチン大統領は、反乱は西側が望んだものと演説。ラブロフ外相は西側の関与を調査するとしています。
防衛省防衛研究所・防衛政策研究室、高橋杉雄室長:「武装組織であるワグネルとプリゴジンを切り離したわけで、一回切り離して様子を見て、これで平定できると判断した段階で西側の陰謀であるということと、これは反逆であると改めて確認した。ある意味、ワグネル、プリゴジンが邪悪な西側に踊らされたんだと」
すでにベラルーシに入った可能性のあるプリゴジン氏。ロシアを出る、というだけで事は済むのでしょうか。
防衛省防衛研究所・防衛政策研究室、高橋杉雄室長:「結局、許すつもりはないということなんだと思いますよ。プーチン大統領にとってプリゴジンに気を使う必要はなくなってきていますよね」
プリゴジン氏の運命が注目されるなか、プーチン大統領にはある思惑があると指摘します。
■プリゴジン氏“無事はありえない”
毒を盛られた元スパイや銃撃された野党指導者など、プーチン政権の関与が疑われる暗殺は数多く発生しています。欧米のメディアでは、プリゴジン氏も無事ではいられないという声が支配的です。
記者:「思い出して下さい。20年間プーチン大統領を取材してきましたが、常に敵対者を素早く残忍に取り除いてきました。週末が明けてもプリゴジン氏は生存しています。プーチン大統領に彼を捕まえる能力がないとは思えない。だけど何かを懸念しているのかもしれません」
プーチン大統領にはどのような思惑があるのでしょうか。
防衛省防衛研究所・防衛政策研究室、高橋杉雄室長:「確実にワグネルの兵士とプリゴジンを切り離すことが先決なんだと思う。発信力があるプリゴジンが武装組織であるワグネルと一緒にいるのが怖いのであって、それを切り離してしまえば怖くない。まだワグネルが組織的なまとまりを持っている段階で殺して、本当にワグネルが反乱を起こしたら困る。皆、プリゴジンを忘れたような頃に謀殺すれば国内のハレーションも起こらないということは考えられる」 (C) CABLE NEWS NETWORK 2023
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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